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今回紹介いたしますのはこちら。

「草薙先生は試されている。」第1巻 安田剛助先生 

星海社さんの星海社コミックスより刊行です。


さて、現在も「じけんじゃけん!」を好評連載中の安田先生の最新作となる本作。
安田先生と言えば百合風味のイメージのお話もあるかと思いますが、本作はそんな味わいをさらに強めた作品となっているのです!!


今をさかのぼること15年前、草薙美奈子と久保田八重はいつも一緒にいる仲良しの二人でした。
八重は少しぼんやりとしたところがある子で、美奈子は自分がついていないとだめだ、と勝手に思い込んでいました。
そうして二人仲良く過ごしていたある日のこと、八重は突然美奈子にこんな報告をしてきたのです。
私ね、結婚することになったの。
頬を染め、幸せそうにそう告げる彼女を見て……美奈子は笑顔で、おめでとう、と答えます。
ですが……その心のうちには穏やかではない思いが渦巻いていたのです。
……もとより実るなんて思っていない、打ち明けるつもりもない。
何も感じないわけじゃないけど、仕事に打ち込んで考える余裕のない「ふり」をした。
そして八重の方も子育てに忙しくなり、二人は次第に疎遠になっていったのです。

草薙美奈子、36歳、教師。
その年の新入生の名前を見て、入学する前からもしかして、とは感じていました。
八重の娘が、偶然自分の勤めている中学校に入学してくる。
しかも、自分が担任を務めるクラスに……!
そんな偶然が、本当に起こってしまったのです。

入学式で八重と再会しなかったとしても、一目見ればすぐに彼女が八重の娘であることはすぐにわかったでしょう。
何故なら彼女、あの頃の八重にそっくりだから。
そんな八重の娘、一姫がなぜか放課後を過ぎてもいつまでも教室に残っています。
どうしたのか、まだ帰らないのか?そう尋ねてみますと……一姫はとんでもないことを言いだしました。
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好きです、付き合ってください!
本気だと言う一姫に対して、美奈子は気持ちは嬉しいけど、ごめんなさい、あなたの気持ちには応えられないわ、と冷静に返……そうとするのですが、頭の中はもういっぱいいっぱいでまともに答えられません。
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教師と教え子だし、相手は中学生で自分は36、思春期特有の一過性の感情かもしれないし、そもそも親友の娘だし、でもめちゃくちゃ好みだし……と、冷静なふりなどすることもできず。
顔を真っ赤にしてフリーズしてしまう美奈子を見つめる一姫は、卒業まで押し続ければイケる、と密かに手ごたえをつかむのでした。

それから一姫の攻撃は始まりました。
下校中の美奈子の元に現れた一姫は、電車通勤ですよね、途中までご一緒していいですか、とアプローチ。
私はしっかり断ったはずだけど、と拒絶しようとする美奈子なのですが、一姫はそこで、これくらい教師と生徒なら普通でしょ、もしかして何か意識してんの?と断った方がおかしいような空気を作るのです。
そうなれば突っぱねるのもおかしくなってきますし……
やむなく腕に絡みついて来る一姫を受け入れる美奈子。
末恐ろしいわ、久保田さん、と漏らすのが精いっぱいの反撃なのでした。

せめてを休めない一姫は、黒板に書かれた問題に回答したご褒美にとばかりにさらっとキスを迫ってみたり、テストの答案にかわいいイラスト付きで採点頑張ってください、とコメントをつけてみたりと、あの手この手を使ってきます。
その度に心をかき乱されてしまう美奈子なのですが……
何かにつけて迫って来る一姫に、どうしても強く逆らうことができないのです。
……そう、ずっと思いを寄せていた八重にそっくりな彼女に、嫌われたくない。
そんな思いが、美奈子の中には確かにあるのですから。

それでも、遠慮がちにやはりお付き合いできない旨を伝える美奈子。
教え子と付け合えないなんて言う建前を聞かされるくらいなら、女同士なんか気持ち悪いって正直に言ってもらったほうが良い。
そう不機嫌そうに言う一姫に、思わず大きな声でそれは違うと答えてしまった美奈子。
彼女はその想いでずっと悩み続けてきたのですから、その言葉だけは否定しなければならないのですが、そんなのは嘘だと一姫は突っぱねました。
だって、こんなに可愛くて、若くて、頭も良くて、友達も多い皆の人気者、そして誰よりも先生を思っている、そんな私をフる理由が他にあるなら行ってみなさいよ!!
……なんだか八重とはまるで違う方面に育っている彼女を見て、美奈子はたくましく育ったわね、と漏らしてしまうのです。
その感想はともかく、美奈子は彼女に諦めてもらうため、素直にこう語りました。
実は私には好きな人がいる。
その人は何年も前に結婚してしまったんだけど、多分一生その人のことを思い続けることになる。
だからごめんなさい、あなたとは付き合えないの。
……その言葉を聞くと、流石の一姫も何も答えられず、教室から去って行ってしまうのでした。
…………その時は!

翌日、一姫は
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バッサリと髪の毛を切って学校に現れました。
クラスメイトは失恋か何かかと驚くのですが、一姫はにっこりと笑ってこう言うのです。
宣戦布告、みたいな、と。
その髪型は……あの頃の八重と同じ髪形!!
まさか、自分がずっと好きな人、と言った人物が、彼女の母親であることがばれている……!?
美奈子は、本当に末恐ろしい……いや、今すでに底しれない彼女に驚き戸惑うのでした……!!



と言うわけで、美奈子の苦難と忍耐の日々が続く本作。
愛の形はいろいろで、どんな性別同士で結ばれるのもアリですが、ここで問題なのは二人が教師と教え子と言う事。
大っぴらにつきあったり、そうでなくとも噂が立ったりしてしまえば、美奈子の現在の地位は危ういですし、美奈子のその後の学校生活に支障をきたすようなことが起きてしまいかねません。
とにかく重要なのは、耐えること!
少なくとも現在進行形の教師打と教え子でなくなるまでは……!!
そんな美奈子の思いも知らず、いや、知っているかもしれませんがそれでもどんどんと押してくる一姫。
アレコレとアプローチしてくる一姫と、それに耐える美奈子の心情。
それらが本作のメインとなっているのです!!
さらにそこに八重本人や美奈子の後輩教師、一姫のお友達なんかも絡んできて物語をにぎやかに彩ります。
立場の違い、年の差や周囲の目と言った様々な困難に囲まれた二人の関係はどうなっていってしまうのでしょうか!?

と、そんな煽りをしてみましたが、本作の巻末に収録されているおまけには何とおそらく本作の完結後、「10年後」のある日が描かれていたりします!!
その内容も十分興味深いところなのですが、ゴールした後の様子を描いたうえで連載をしていく、というちょっと珍しいスタイルの漫画としてもこれから楽しんでいけそう!!
こう言う凄いオマケは、ウェブ連載だけ読んでいれば十分と思っている方も引き込めるかも……!?
連載だけの読者と単行本を買う読者の二通りの楽しみ方ができるわけですが……連載だけの読者の方、このおまけは必見ですよ……!!




今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!