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今回紹介いたしますのはこちら。

「君に愛されて痛かった」第2巻 知るかバカうどん先生 

新潮社さんのバンチコミックスより刊行です。



さて、承認欲求を満たすことばかりを考え、普段はおどおどしたいじめられっ子として暮らしながら、時として人の道に悖る行動をとると言う二面性を持つ少女、かなえ。
かなえは学校でいじめられる辛い日々を、男性に体を売ると言うとんでもない方法で承認欲求を満たすことで耐えていたのですが……
他校の野球部員である寛と知り合い、惹かれ始めてしまったことをきっかけにどす黒い感情が爆発!
自分をいじめていた者達の中心であり、寛を狙っていたクラスメイトの一花に、友人である鳴海に依頼して暴行を働かせてしまうのでした!!



一花がいなくなった後の学校生活は、かなえにとって素晴らしいものになっていました。
人と言うのは現金なもので、いざその場からいなくなってみると、今まで仲良くしていたのが嘘のように悪口ばかりを言い、あっと言う間に「ずっと嫌いだった存在」に仕立て上げてしまうことも珍しくありません。
叶の所属していたグループもそうなりまして、一花の代わりにかなえが加入したような状態で何事もなかったかのように回りだすのでした。

寛との関係も良好で、かなえはグループのみんなと一緒に彼の部の試合を見に行くことになりました。
試合開始当初はピリッとしない内容で、ガラの悪いおじさんがそのふがいなさにヤジを飛ばすなど、かなえの心が痛むような光景が拡がっていました。
ところが、控えだった寛が登板するや否や、八面六臂の大活躍!
試合の流れを一気に変え、勝利を引き寄せたのです!!
そうなれば会場の雰囲気もがらりと変化、今までの空気はどこへやら、一気に押せ押せムードになるのでした!
ですがその変化もまた、かなえを苛むのです。
人の価値が周りの評価で決まるのなら、自分の価値とは何なんだろう。
そう考えると……かなえの中には今までの様々な出来事が廻り、一気に吐き気が押し寄せてきてしまいます。
トイレに駆け込んで胃袋の中身を出しながら……叶は思い悩むのです。
こんなことを考える自分も嫌だし、周りの態度も気持ち悪い。
寛君はずっと前から寛君なのに……
自信が欲しい。

試合を終えた後、かなえは寛と一緒のベンチに腰かけて話をします。
ですが頭の中は、先ほど考えたことばかり。
人の価値が周りの判断で決まるなら……私が、寛君の一番になれば。
そんなことを考えてしまうと……かなえの頭の中はめちゃくちゃになってしまい、とんでもない行動をとってしまうのです。
かなえは、
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いきなり寛にキス!!
さらに舌まで絡ませようとして……!!
あまりにも突然すぎる行動に寛は戸惑い、思わずかなえの体を引きはがしてしまいました。
もちろん嫌だったわけではないのですが……そんな寛の心の機微を感じ取ることなど、今の花菜恵にはできません。
なんで?嫌なの?私何か間違ってた?
私が全部悪いの?どうして私が悪いの?
私が悪いって、間違ってるって、言おうとしてたんだ!!
何でいつもこうなるの!?
寛の言葉など聞かず、叫び続けるかなえ!!
ですがそんなかなえの肩をつかみ、寛は彼女の目を見て言い聞かせるように尋ねるのです。
叶ちゃんのこと怒ってないし、責めてない!
俺が聞きたいのは、なんで俺にキスしたの、ってこと。

どうしてなんだろう。
かなえは首をかしげました。
その日の夜、かなえは鳴海と会ってそのことを尋ねました。
……鳴海はうつむいたまま、お前よくそんなことを俺に聞けるな、と言うばかり。
かなえはきょとんとしたまま、だって鳴海はたくさん相談にのってくれて、私のことを何でも知ってるから、ダメだった?と鳴海の顔を見つめてくるのです。
鳴海は頭を抱えて叫んだあと、その場を立ち去りながら、こう吐き捨てました。
分かんねーし、知らねーし、寛とかどーでもいいけど。
けど、
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お前はきっと、好きなんだと思うよ……!!!
かなえはその言葉を聞いて、やっと自分が寛に恋愛感情を持っているかもしれない、と言う事を自覚したようです。
そのまま立ち去っていく鳴海を、ありがとう、と見送るのでした。
……が。
かなえから見ることのできなかった鳴海の表情は
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怒りを隠し切れない、鬼の形相と化していたのです……!!



と言うわけで、また物語が良くない方向へ転がっていってしまう今巻。
今巻では前巻以上に悲壮で悪辣な出来事が巻き起こってしまい、さらに読む人を選ぶ内容になって言ってしまっております。
ですが凄惨な内容に身震いするだけではない、かなえと鳴海の心が動く様子もまたしっかりと描かれ、読み応えのある内容にもなっているのです!
鳴海とかなえが知り合った時、そして今に至るまで抱えていた鳴海の思いなどがこの後明かされていき……そして、その想いが募った結果、鳴海はとんでもない行動をとってしまうこととなります!!
とどまることを知らず、ますます悪い方向へと進んでいく本作。
果たして一体この後どんな事態へと転がり落ちて行くのか。
その先に待っているのがあの第1巻の冒頭で描かれた出来事なのか?
絶望と不安ばかりがよぎる物語、今巻も、そして今後も見逃すことはできません!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!