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今回紹介いたしますのはこちら。

「モモノ怪トガリ」第1巻 黒谷宗史先生 

双葉社さんのアクションコミックスより刊行です。


さて、「オニマダラ」が残念ながら不完全燃焼で連載終了となってしまった黒谷先生。
そんな黒谷先生が新天地で連載を始めた本作は、黒谷先生らしい「ちょっと変わった女の子」+「バトルアクション」モノとなっております。
気になるその内容はと言いますと……?


目の前に悠然と闊歩している、四本角の怪物。
巨大な体躯を真っ黒い毛で覆ったその体の中で、とりわけ印象的な巨大な目をぎょろつかせて、怪物は一人の少年に因縁をつけていました。
おいてめえ、絶対俺見えてるよな?足ガックガクだしよ、何とか言えよ?
怪物に因縁をつけられている少年は、思いっきり顔をそらして「見えてねーし!」と反論。
その反応はどう考えても見えている反応なのですが……
怪物は、すぐにつまらないヤツ、と少年に興味を失って立ち去っていってしまいます。
少年の体を、まっすぐ突き抜けながら!!

少年の名は、叢雨徒狩(むらさめ とがり)。
ついこの間から急に、今のような妖怪めいた物が見えるようになってしまった少年です。
妖怪は恐ろしい姿をしているものも珍しくなく、会話も成立してしまいます。
ですが幸い、触れることはできないようで……トガリはものすごく恐ろしい目には会うものの、実害はない日々を送っていたのでした。
……いままでは、ですが。

妖怪に怯えながら毎日を過ごす。
このままでは、そのうち一度も彼女ができた事のないまま妖怪に食われて死んでしまうのではないか!?
そんなことを考えて危機感を覚えるトガリですが、突然髪の毛が一本ピンと立ち上がりました!!
まるで某ゲゲゲな妖怪アンテナのようですが……実際、その髪の毛は何か危ないものが近づいていることを表しているようで。
一本だけ立っている今は、恐怖レベル1、それほどでもない恐怖が近づいているとのこと。
そのアンテナが指し示す方を見てみますと……

2つ年上の先輩、万野天華が現れるではありませんか!!
彼女はその愛らしい顔と抜群のスタイルで、学校でも評判の美少女なのですが……その頭の上に、小さな妖怪がちょこんと座っているのです。
あれはきっと妖怪に取り付かれているに違いない、と判断したトガリは、そそくさとその場を離れるのでした。
……そんな様子を、じっと天華がうかがっていることも知らずに!!

そんなことがあった日の下校時。
トガリはいつもお願いして一緒に帰ってもらっていた友人に裏切られ、すっかり暗くなってしまった夜道を一人おびえながら歩いておりました。
すると背後から、ひときわ恐ろしい妖怪が姿を現したのです!!
無数の目を体中につけ、その中心には大きな口。
その妖怪は、おもむろに手を伸ばし、トガリ近くに舞っていた無害な日の球を鷲掴み!
そして、その口の中に放り込んでむしゃむしゃと食べ始めたではありませんか!
もう少しだ、もう少しで。
そう呟く妖怪ですが、トガリにとってその言葉なんてどうでもいい事!
慌てて逃げ出すのですが、その先に……なぜかチャイナドレスに身を包んだ天華があらわれるのです!
見つけた、と彼女微笑むと……「憑依」!と叫び、朝方見た時頭上にいた妖怪を、自らの左足に宿します!
そしてそのままその妖怪を宿した左足で
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妖怪を蹴り飛ばし、跡形もなく消し飛ばしてしまったのです!!
百々目鬼、鎮魂完了。
両手を合わせて平然とそうつぶやく天華。
トガリは彼女の登場を見て、とうとう妖怪をぶっ殺してくれる人が現れた、俺の救世主だ、全ての妖怪を滅ぼしてくれるに違いない!と喜びに打ち震えたのです。
そんなトガリの名前を、天華が呼び掛けてきました。
なぜ彼女が自分の名前を知っているのだろう。
単純な疑問をぶつけてみますと、そばにいたあの妖怪がその理由を教えてくれました。
実は天華、トガリのことをずっと見張っていたと言うのです。
下校するまで?朝出会ってから授業中に至るまで?
いいえ……子供のころから、ずっと!!
いくら美人で妖怪を倒してくれる存在とはいえ、ストーカーとしか思えないその行動には戸惑うしかないトガリ……なのですが、天華はほほを染めながらこう言うのです。
やっぱり覚えてないのね。
私はずっと君を見ていた、この時を待っていた、トガリ君が妖怪を見えるようになるこの時を。
……自分と彼女はあったことがあるのだろうか。
まったく覚えていないトガリではありますが、美人で妖怪を倒せる、あげくにそんな気になることを言われてしまえば、どうしても気になってしまうもの。
妖怪に怯えて暮らしていたから、妖怪を倒せるなんて興味津々だ、とフォローめいた言葉をかけますと、天華はいきなりとトガリを抱きしめ、とてもうれしい、共に戦おう、と言いだしたのです。
すると当然、天華のお胸がトガリに押し付けられる形になるわけで。
あまりの衝撃に、思わずおっぱいと呟いてしまうトガリなのですが、何と言う事なのでしょうか。
天華は、
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おっぱい?はいどうぞ、とトガリの手を自分の胸に導くではありませんか!!
思いだした?私の事、とその感触で記憶を思い起こさせようとする(?)天華ですが、その衝撃はとんでもなさすぎまして、思い出すどころではございません!
そもそも「共に戦おう」と言われても、ひたすら臆病で怖がりなトガリが戦うことなんてとてもとても……
そんな勇気あるわけない、君はめっちゃ強いんだから一人で十分でしょ!と叫ぶのですが、天華はにこりと笑って、トガリ君なら絶対大丈夫、と言うばかりなのです。
人の話聞いてる?と天華に問いかけたいところでしたが……その時でした。
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ビルより巨大な大きさになった、妖怪が姿を現したのは!!!
その姿は、今朝がた見たあの四本角の妖怪と同じような。
ですがなぜあんなにも大きくなったのでしょうか?
そこには、人間をも脅かす驚愕の真実と……あの物語の真実に迫る謎が隠されていたのでした!!



と言うわけで、妖怪とのバトルが行われる本作。
この後、トガリは天華に導かれるまま、戦いの中に身を投じることとなります。
トガリと天華にしか見えていないあの妖怪とは一体何なのか?
触れることのできないはずの妖怪を倒すことのできる天華の正体は?
突然巨大になって現れた妖怪の目的とその巨大化の秘密とは!?
そしてあの巨大すぎる妖怪を相手に、天華は太刀打ちできるのか……!?
そんな見どころ満載のバトルストーリーが繰り広げられるのです!!

黒谷先生の持ち味である、迫力満点でスピーディーなバトルと、キャラの立った女性陣の魅力は相変わらず健在。
そして本作の肝となるのはそれに加え、ズバリ昔話の「桃太郎」となります。
「桃太郎」のお話に隠された真実、そして桃太郎自身の秘密。
それらこそが本作の軸となり、バトル+お色気と言う本作に更なるふくらみを持たせているのです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!