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今回紹介いたしますのはこちら。

「さつきちゃん」第1巻 さノ助先生 

集英社さんのヤングジャンプコミックスより刊行です。


さノ助先生は16年にヤングジャンプの漫画賞で佳作を受賞してデビューした新人の漫画家さんです。
受賞作は本作のひな型となる作品で、ヤングジャンプの増刊号で読み切りとして三号連続掲載となりました。
そして18年より本作の連載を開始、この度めでたく単行本刊行となりました。

そんな本作は、とある少女を主人公に据えた日常ものとなっています。
ちょっとだけ(?)変わったところのある彼女、五月ちゃんの過ごす毎日とは一体どんなものなのでしょうか?



とある閑静な住宅街、ひよどり市。
そこに今日から中学生となる少女、久野さつきちゃんが住んでおります。
めでたい中学校の入学式であるこの日に、彼女は一人玄関で何やら講釈をしております。
父上、母上、いつまで待たせる気ですか。
早くしないと入学式が終わって新学期が始まって、友達がたくさんできていっぱい遊んで遠足一手修学旅行行ってついには卒業してしまいますよ。
そんな言葉に突っ込む声が、二階の方から聞こえてきます。
そんなには待たせないわよ、それから中学言ったらまず勉強しろ。

さつきちゃんのお父さんとお母さんは、その後無事に出発、入学式に参列しております。
さつきもついに中学生か、ドキドキするなあ、とつぶやくお父さんに、あなたが緊張することないでしょう、と突っ込むお母さん。
そうこうしている間にひよどり私立ひばり第三中学校入学式が始まりました。
校長先生のお話、校歌斉唱、在校生歓迎の言葉。
どこにでもあるプログラムが着々と進行しまして、次なるプログラムは新入生代表による決意の言葉です。
新入生代表に呼ばれたのは……
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なぜか、さつきちゃん!!
はいっ!と大きく返事をし、しっかりとした足取りで壇上に上がっていくさつきちゃん。
そんな様子を見て、顔色を変えたのがお母さんでした!
新入生代表!?聞いてない!あなた今すぐ止めさせて!
あの子がまともなこと言うわけないじゃない、どう言う人選よ、ありえない!
血相を変えてそうお父さんにまくし立てるお母さんですが、もうこうなっては止めることなどできません。
お母さんの不安をよそに、さつきちゃんは真剣な顔でお話をし始めました。
本日はお日柄も良く、お足元の悪い中、遠路はるばるお越しいただきありがとうございます。
まるで結婚式か何かのような前口上。
今日は天気も良くて足元は悪くありませんし、そもそも中学校ですから学区内からしか来ていないので遠路はるばる来ている人はおりません。
そんなお母さんのツッコミが聞こえるはずもなく、またまたさつきちゃんは何処かで聞いたことのあるようなないようなテーマで話を続けました。
中学生になるにあたって、大事にしていきたい三つの箱がある、と。
三つの袋、と言うのはよくありますが、三つの箱とはなんなのか。
早速箱の説明を始めるさつきちゃん。
一つ目は、筆箱です。
筆箱は、勉強を意味しています。
二つ目は、跳び箱!
跳び箱は運動を意味しています。
……おや、なんだかわりと考えられているスピーチではありませんか。
意外と上手いこと言えてる、とちょっと安心するお母さんでしたが、さつきちゃんは三つ目の箱で動きを止めてしまいました。
……どうもその場で考えている「箱」だったようで……
ですがすぐに何かひらめいたさつきちゃん、その口から出てきたのは
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百葉箱!!
百葉箱と言えば小学校の庭先にあった白い小さな小屋みたいなアレ。
気象観測用の器具が入っていたりするわけですが、あれを実際に使ったことのある生徒はあまりいないのではないでしょうか……?
そもそもほとんどの中学校では存在すらしていないような気もします!!
しかもさつきちゃん、慌ててしまったのか百葉箱は部活を意味しています、と全然つながりのないものをつなげてみたり、グダグダになり始めていたのですが……
そこで、ふと四つ目の箱が思いついたのです!
それは、「お弁当箱」!!
小学校では給食だった人がほとんどのはず、でも中学校からはお弁当です。(どうもさつきちゃんの通う中学はお弁当性の様子!)
中には保護者の方が忙しくて購買部でパンを買うことになる人もいるでしょう、でもそれは、家族の方が一生懸命働いてくれたお金です。
このお弁当箱に詰まっているのはおかずと、家族の愛情です。
この家族の愛がいっぱい詰まったお弁当箱を持って、私たちは勉強に運動に励んでいきます!
これで、筆箱、跳び箱、お弁当箱、大事な三つの箱の話を終わります!!
……百葉箱をなかったことにしたのはともかくとしまして、なんだかいい感じにまとまってくれました。
お母さんも素直に、いいスピーチだったよ、と拍手の鳴り響く体育館の中で彼女を賛美するのでした……

数日後。
もろもろのイベントを終えて通常の授業になった最初の日、さつきちゃんは初めてのお弁当を持っていくことになりました。
ですがそのお弁当箱……
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タッパーです、普通の。
何でもしばらく使っていなかったため、捨てていたのを忘れていたとのこと。
明日お弁当箱を買ってきてあげるから、タッパーで我慢して。
そう言われたさつきちゃんなのですが……
あれだけのことを言っておいてタッパーがお弁当箱だったさつきちゃん、その日は羞恥に震えることとなってしまうのでした!!




と言うわけで、ちょっと変わった女の子、さつきちゃんの学校生活をメインに描いていく本作。
さつきちゃんは少しばかりひねくれたシニカルな女の子ではありますが、意地が悪かったり意固地だったりはしない、根は素直ないい子でして。
ただそのひねくれ方がちょっと普通のひねくれ方とは違いまして、周りの人を(主に家族を)その独特の言い分で言いくるめようとしていくのです!
とはいえそこは相手が大人だったり、さつきちゃんの扱いに慣れているお母さんだったりしますので、そううまく事は運びません!
それでもさつきちゃんはその独特のスタンスを崩すことなく、マイペースに日常を突き進んでいってくれるのです!!

絵柄はいわゆる萌え系ではありませんし、サービスシーンもキラキラした日常もありません。
ですが、ただ可愛いだけではないからこそ存在しているさつきちゃんの魅力が確かにあるのです!
ともすれば生意気でしかないようにも見えるさつきちゃんの行動、お話が進んでいくにつれてそれが癖になってくるはず!!
ひねくれた子が大人をやりこめる……と言うだけではない、本作ならではの魅力をお楽しみくださいませ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!