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今回紹介いたしますのはこちら。

「はじめての虐殺」第1巻 稲光伸二先生 

講談社さんのモーニングKCより刊行です。


さて、現在も「性食鬼」を好評連載中の稲光先生による最新作となる本作。
「性食鬼」のほうでは、エロスと人類の存亡が密接にかかわったエロスアクションコメディを繰り広げられておりますが、こちらの方もとある性癖と人間の生死が密接にかかわった作品となっております。
そしてコミカルな色合いの強い「性食鬼」に比べますと、こちらの方はだいぶバイオレンスでシリアスな方向の物語が進んでいくようで……?



リトル・プリヴァス。
5人の魔法少女が怪物と戦うというストーリーのゲームです。
そのゲーム内のムービーを作っているのは、CGスタジオに勤める青年、寺田。
職場の仲間からも本当に小さな子が好きじゃないと作れないデキだと絶賛されるクオリティを誇るそのムービーですが、寺田は頑として自分はそっちの趣味はないと譲らないのです。
自分はデザインとして小さいこのスタイルが好きなだけで、性欲はない。
そう言い切る寺田に、同僚はそんなはずはないと反論……しようとしたところで、その同僚は突然鼻血を垂らしてしまいました。
最近妙に鼻血が出ると言うその同僚、すぐ止まるから大丈夫だと言うのですが……少し前に死に至る謎の感染症がはやったこともありますから、大丈夫と言われても不安は残るところ。
それでも本人は、そんなことよりもこのムービーを作ったやつがロリコンじゃない何でありえない、とそっちの方に情熱を注ぐのでした。

そんなある日、寺田は先輩と飲みに行くことになりました。
友人は彼女連れでやって来ていまして、そこでもお話がロリコンがどうのと言う方向へと進んでいきます。
先輩は俺はロリコンではない、この彼女みたいにおっぱいの大きい子が好きだ、と断言。
寺田の方はそこでも、自分がこの業界を志したきっかけになる作品で、少女でありながら運命と戦っていく強さと人の過ちを正す優しさを持っている主人公に感銘したから少女が好きであり、それはあくまで守りたいと言う感情なんだ、と熱く語るのです。
そんな寺田の反応を肴にしながら飲み会は続くのですが……
先輩はすぐに酒の席で大いびきをかいてしまっています。
彼女さんに聞けば、先輩は最近すぐ寝てしまうし、よく鼻血を出しているとのこと。
やむなく彼女さんと一緒に先輩を自宅まで連れて行くことになるのです。

……そして、何故なんでしょう。
彼女さんは眠りこける先輩を自宅に置いていったあと、寺田を誘うではありませんか!!
そして彼女に誘われるまま、寺田は関係を持とうとするのですが……いざ、と言うときにものが役に立たない状態になってしまうのです!
寺田は緊張でこうなってしまった、と言い逃れするのですが、彼女さんは大激怒!
大人の女ではダメなロリコン野郎だったなんて、そんなやつに貸す布団はない!そう叫んで、寺田を追いだしてしまうのです。
バレた、完全に。
そううなだれながら、寺田は自宅に帰るのですが……
残された彼女さんは、一人こう呟いていました。
どうして、どいつもこいつも、と。

翌日。
寺田は警察に呼び出され、とんでもない事実を聞かされます。
あの後、先輩が何者かに殺害された、と言う!!
幸い彼女さんに誘われたりしたことがアリバイにもつながって疑われることはなかったのですが……
この事件には様々な秘密が隠されていたのです。
まず先輩と同じように、突然男性が惨殺される事件が複数起こっていること。
そして、少し前に彼女さんが、先輩の家でロリコン向けの雑誌やDVDが大量に出てきたこと。
そのせいで彼女さんはロリコンに過剰反応するようにナタそうなのですが……

その日の夜、またもとんでもないことが起きてしまいます。
会社の同僚や先輩の誘いで、仕事に関しての話もあるから、と飲み会に参加することになってしまった寺田。
ですがそこで行われたのは、職場の先輩の姪だと言う9歳の女の子、りあなちゃんのコスプレ撮影会だったのです!
なんでもリトル・プリヴァスが好きだと言うりあなちゃんにコスプレさせてあげる代わりに撮影をしよう、と言う事のようで……寺田も、今後の資料になるだろうと言いくるめられ、やむなくその場に同席することにします。
しかし他のメンバーのようにノリノリにはなれないため、席を外して落ち着こうとする寺田。
するとそこで、りあなちゃんのランドセルを発見するのです。
そこに貼ってあった名札の名前に何かを感じ、ネットで検索してみると……なんとりあなちゃん、行方不明扱いされているではありませんか!
職場の先輩の姪と言うのは真っ赤な嘘、赤の他人だったのです!!
そこにぬっとあらわれた職場の先輩、見てはならないものを見てしまったね、と寺田を縛り上げて口をふさいでしまいました。
そして、これでお前も現場に居合わせた共犯者だ、と告げるではありませんか。
あの子はゲームで知り合って、開発に携わっているって言ったらついてきただけ、いろいろ買ってあげたりもしたし、誰も不幸になってないだろう。
そこまではまだかろうじて、アウトではありますが納得できなくもない言い分です。
しかしその後、職場の先輩はこんな内容のことを言うのですから、流石にどうにもできません!
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このあと、みんなで彼女に乱暴する、それには参加してもらう、と……!!
こいつらロリコンとかそう言う次元じゃない、単なる犯罪者だ!
そう危機感を募らせる寺田ですが、身動きの取れない状態では何もできず……
これから始まる無惨な出来事を、見ていることしかできないのです。
……その無惨な出来事は、寺田の考えていたものとはだいぶ違う内容となるのですが。

突然、玄関の扉をたたくような音が響きました。
まさか警察か、とおびえる先輩たちですが、そうしている間に玄関のドアの隙間から激しい火花が飛び散ります!!
玄関のドアの鍵を無理やり切断した……?
ゆっくりと開いた扉から、中に入ってきたのは
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水着姿の少女4人組!?
一体彼女たちは何なのでしょう。
何ドアを壊して勝手に入ってきているんだ、と激昂する職場の先輩たちですが、少女達から帰ってきたのは、ネイルガンで射出された釘でした!!
顔面に釘を受けた同僚は地面に倒れこんでしまいます。
そして少女達は血液を採取し、何かの検査をし始めました。
陽性が出た、と検査した少女が告げますと、横で待機していた別の少女は

電動のこぎりでその同僚の首を掻っ切って殺害したではありませんか!!
さらに他の同僚も次々に少女たちによって殺されていってしまいます。
気が付けば、部屋は血の海。
拘束されて床に寝かされていたため、まだ見つかってはいない寺田でしたが……すぐに少女達に取り囲まれてしまいました。
そこでようやく口をふさいでいたガムテープがはがれたので、寺田は必死に弁明。
自分は騙されて連れてこられただけ、誘拐とは関係ない、殺さないでください。
必死にそう告げるのですが……少女達は……こう言うのです。
おじさん、こいつらが悪い奴らだから殺したわけじゃないんだよ。
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こいつらロリコンだから、ロリコンは殺すしかないんだよ。


と言うわけで、ロリコンに死を与える少女たち、というとんでもない構図で描かれていく本作。
一見すると少女達に暴行を働く者たちを断罪する復讐劇的なものにも見えるのですが、本作はそう言うお話ではないのです!
この後徐々に明かされていくのですが、本作における「ロリコン」と言うのは単に小さな女の子が好きと言う性癖を指しているのではありません。
少し前に流行った感染症、妙に鼻血を出す男たち、そしてその男たちがロリコンだったと言う事実……
既にいくつかの伏線が敷いてあるのがお分かりかと思いますが、そんな本作における「ロリコン」を、少女たちが容赦なく殺していくお話になっているのです!!
たとえるならばゾンビもののように、何かに感染しているとしても人間ではないか、そんな人間を殺してもいいのか?と言う葛藤もそこにはあるべきですが、少女達からはそれも感じられず。
そんな少女達に指揮をするものもあらわれまして……
きな臭さを隠し切れないお話が進んでいくのですが、さらにその後、今巻のラストでまた物語がひっくり返る驚きの展開を迎えるのです!!
水着の少女がロリコンを殺す、と言うインパクト重視のお話と思いきや、それだけではない思いがけない展開も用意されている本作。
今後の展開が気になるストーリーも要注目ですよ!!

ちなみに本作、主にアクションシーンの作画に自作のCGモデルを積極的に活用されているご様子!
時折見えるそんなシーンに、漫画演出の新たな可能性を感じるのもまた一興かもしれません……!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!