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今回紹介いたしますのはこちら。

「下剋♡嬢」第1巻 倉島圭先生 

リイド社さんのSPコミックスより刊行です。


さて、08年に刊行された「24のひとみ」最終巻以来、実に10年ぶりの倉島先生の単行本となった本作。
「24のひとみ」終了後もあちこちでショートコミックを連載したり単発で掲載したりしていたのですが、単行本化は残念ながら果たされておりませんでした。
近年ではリイド社さんのコミック乱ツインズで不定期に「緊急特番 江戸ワイド」を発表しておりましたが、それもいつ単行本になるのか分からない……と言うところで15年より本作をコミック乱ツインズの増刊、戦国武将列伝で連載開始。
単行本刊行も見えてきたかと言うところで戦国武将列伝が休刊となってしまいました。
また未単行本化かと言うところで、なんでも担当編集者さんの移動がきっかけとなり、18年よりコミック乱で移籍連載開始!
ようやくこの度単行本化までこぎつけたわけです!!

そんな紆余曲折あった倉島先生の最新作、やっぱりその内容は倉島先生が得意とする、主人公と登場人物の掛け合いがひたすら描かれていく掛け合いギャグ。
ブラックなネタから下ネタ、ダジャレにパロディまで駆使した、倉島先生の持ち味がいかんなく発揮された作品となっているのです!




武田信玄の元に、「怪しい姿の者」が連れられてきました。
怪しい姿、と言うところですでに信玄は何となくピンと来ていたようですが……
その怪しい姿の者、近頃流行のタイムスリップしてきた現代人。
ですがお医者さんでも料理人でもなければ、信長にクリソツでもなく、OLのようです。
とりあえずあっさりその事実を受け入れた信玄、そのOLに未来ではどんなことが起こっているのか聞いてみました。
なんでも出版業界は不況で、1本ヒットがでると似たような作品が次々と生み出されるとか。
……このお話の発表は15年の10月号。
今でもこの状況は変わっていないのが悲しいところですねぇ……
ともかくそんなピンポイントな寂しい内幕は知っても仕方ありません。
信玄は、彼女にお前は何者なのだと尋ねることにします。
すると彼女、わからない、と言いました。
まさかタイムスリップの上に記憶喪失!?
それは大変な設定の渋滞だ……と思いきや、彼女がわからないと言っていたのは。まだキャラが固まっていないから、何者なのか答えられない、ということの様子。
真面目につきあっていても仕方なさそうなので、さっさと本題に入ってもらうことにしました。

なんでも彼女、危険思想の持ち主なのだとか。
無差別テロを計画していたら突然爆弾が爆発して、戦国時代に来ていた、と嘘か本当かわからないいきさつを話してくれました。
何考えてんだ、ととりあえず突っ込む信玄ですが、彼女はいい歳して天下統一とかヤンキーみたいなこと言ってる人たちに言われたくないんですけど、と現代と戦国時代の価値観の違いを無視してふてくされて……
そんな益体もない話をしているうちに、ようやく彼女は名乗ってくれました。
彼女の名はゆい。
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OLと言うのは「大勢の人たちを理由もなく不幸にする」の略だ、と嘯く彼女、未来に変える暇で精一杯とのに乙返したいと思いますと頭を下げて傅くのです。
が、正直言って彼女が近くにいてはトラブルが巻き起こる気配しかしません!
必要ない、と一瞬の躊躇すらなく結を拒絶鶴憲伸なのですが、ゆいを連れてきた家臣は戦国時代にタイムスリップしてきた現代人は無精に使えるのが習わしでございます、とメタな口出しをしてきまして。
実際メディアミックスがされるような人気作はだいたい大物武将に仕えますし、この作品がドラマ化を目指す第一歩ということで……彼女を迎え入れざるを得ないのでした!!

数日後。
信玄のしらないところで、なんか信濃攻略が進んでおりました。
逆らうものはおんな子供でも容赦するな、逃げた者らは城ごと焼き払えと言う殿の命令に従って、志賀城を攻め滅ぼしたのだとか。
もちろんそんな血も涙もない命令をだす信玄ではありません!
そのような名をワシが下すものか、と家臣に告げますと、では討ち取った敵の首3000個を見せしめに白の周りに並べると言うのも?とさらにとんでもない命令が下されていたことが判明!!
誰がそんな命令を出したのか、と調べてみますと……そうです、ゆいです。
なぜあんなさらし首を並べるような暴挙に出たのかと聞いてみれば、ゆいはこう言いだします。
あれは私の殿への思いを示そうとしたのです。
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あなたに首ったけ。
……もう突っ込むのもめんどくさくなってきます。
いい加減しかるべき処罰を取らなければならない所ですが、ここに来てゆい、そもそも国同士の問題を武力によって解決しようとする人たちに自分を非難する資格はあるのか、といきなりまっとうな非難をしてきまして……
そんな時、家臣が走り寄ってきて、とんでもない報告をしてきます。
越後の上杉が、死なのに向けて挙兵をした、と!!
このままでは武田と上杉がぶつかり合うことは避けられません!
なぜこんな事態になってしまったのか?
やっぱり原因はゆい!
勝手に上杉家に宣戦布告していたのです!!
いずれやるんだから早いほうが良い、と言うゆいですが、今の戦力で上杉とやればかなり厳しい戦いを強いられてしまうでしょう。
しかしゆいには朔がある、と言うのです。
敵を一か所に集めて火を放ち、一酸化炭素中毒にする……
敵にCOを送る、と言うわけです。
……あるいは、最高責任者である信玄が自ら出向く、と言うのはどうでしょう。
敵にCEOを送る。
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…………おあとがよろしいようで。



と言うわけで、型破りOLゆいが、信玄をはじめとした戦国武将たちを口車に乗せたり口車でひき逃げしたりしていく様子を描いていく本作。
この後も信玄はゆいに翻弄されまくりますが、ゆいもひとところに収まる人間ではありませんで。
上杉謙信の元に行ってみたり、明智光秀をそそのかしてみたり、羽柴秀吉のお悩み相談にのってみたり、徳川家康のもとで進むべき道を模索してみたりと、八面六臂の二枚舌を披露してくれます!
そして戦国武将列伝連載分が終わった後のコミック乱連載分に突入しますと、ゆいとともにもう一人の主人公としてくのいちが登場!
くのいちはある目的のためにゆいを大阪まで連れて行くことになるのですが……
勿論その道中が順調なわけがありません!!
あれやこれやとトラブルが巻き起こり、そしてゆいはそのトラブルをなんだかんだかわしていくのです!!

そんな倉島先生ならではの、キャラ同士の会話掛け合いで進んでいく持ち味は健在の本作、「24のひとみ」のころと変わらぬ切れ味と、見た目も飽きさせない工夫の凝らされた様々な演出も相変わらず楽しめます。
ですが今作で目を引くのが、今までの作品のような完全一話完結型ではなく、ストーリーに流れがあるところでしょう!
前半の戦国武将と戦国武将を渡り歩くお話、そして後半のくのいちとの二人旅、どちらもいつもの一話完結型でありながら、お話も進展していく倉島先生作品初(少なくとも単行本化したものでは!)の試みがなされているのです!!

さらに本作には、表題作連載前の不定期連載作、「江戸ワイド」の傑作選5話が収録。
さらにさらに巻末にはゆいとくのいちが子供になってしまう描き下ろしのおまけ漫画が4P、カバー下本体には4コマが4本収録!!
十年越しの単行本にふさわしい、ボリューム満点の一冊となっているのです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!