fm0
今回紹介いたしますのはこちら。

「ふたりモノローグ」第5巻 ツナミノユウ先生 

Cygamesさんのサイコミックスより刊行です。


さて、夏休みも終わってますます距離を縮めていくみかげとひなた。
二人はもう完全に親友と言っていい状態で、あとはみかげが一歩踏み出せるかどうか、と言った感じのような、そうでもないような……
そんな二人の関係はおいておきまして、目下の問題はみかげがいまだその正体を知らない風紀委員、田中のこと。
今巻ではとうとうその関係に変化が……!!



ある日の事。
みかげと洸がとりとめもない会話を楽しんでおりますと、そこに田中が現れました。
風紀委員の参上に及び腰になってしまう洸ですが、別に取り締まりに来たわけではありません。
みかげと軽い挨拶をかわすだけ、のはずだったのですが……
そもそも洸はなぜ風紀委員を苦手にしているのでしょう。
気になったみかげ、あきらは何をやらかしたんだと尋ねてみれば、なんてことはありませんで、ブレザーの下にパーカーを着ていたり、リュックに大量のバッヂをつけていたり、と小さな違反を何度か注意したんだとのこと。
みかげはそれを聞きまして、それは重罪だ、退学処分が妥当だ、と洸をからかうのですが、かく言うみかげもバリバリ校則違反の金髪少女。
田中も、はしもだいさんの言う通り金髪はやめてほしいと常々言いたい、と言うのです。
……少し違和感を覚えたみかげ。
とりあえずそのまま泳がせておきますと、田中は明にあれこれと話しかけ始めます。
そういえばは…もだいさん、サッカー3位おめでとう。
はスもだいさんの来年が楽しみだなぁ。
ここでみかげは完全に確信します。
fm1
こいつ、「はすもだい」か「はしもだい」か迷って探ってやがる!
よくよく聞けば「はしゅもだい」等と、どっちともとれるような言い方をしてみたりもしています。
こいつにこんなセコいところがあったんだ、面白すぎる!
流石の洸も自分からは言いだしづらいだろうから訂正してやろうか、とみかげが洸の方に視線をやりますと……
洸は丁度限界を迎えたところでした。
みかげと洸は顔を見合わせると、同時に噴き出してしまいます。
大笑いする二人を見て、田中もさすがに自分の浅はかなその場しのぎがばれていることに気が付いたのでしょう。
思いっきり頭を下げて、申し訳ない、お察しの通り名前がわからなくなってしまって、と謝罪!
あんまりテンパってるから面白くて、ふーきは全身で頑張るよなぁ、おもしれー、と許すも何もない和やかな雰囲気になるのです。
……ですがその和やかな雰囲気は、何気ないみかげの一言で壊れてしまうこととなりました。
そういえば、ふーきふーき呼んでるけど、ごめん、なんてったっけ、あんたの名前。
……突然しんと静まり返り、張りつめた空気の漂いだす教室。
何この空気?と戸惑うみかげに、田中は一言、シンプルに答えました。
田中弘美、と。
最初こそぴんと来なかったようですが、すぐみかげの顔色が変わっていきます。
そして田中は、ダメ押しにこう告げるのです。
fm2
小学生の時、君と麻績村産の間に割って入った、田中弘美だよ。
みかげの脳裏によみがえる、過去の辛い思い出。
硬直するみかげ、何も言えずたたずむ田中、置いてきぼりの洸。
そんな場面に、ひなたがやって来ました。
何気なく、ひろちゃん来てたの、と田中に声をかけてしまうひなた。
……そこで、みかげはすべてを悟ってしまいました。
日向の方を振り返りもせず、みかげはつぶやくように確認します。
ひなたちゃんは知ってたんだ?田中弘美……
そしてそのまま、みかげは教室を出ていきました。
待って、と言って彼女を引き留めようとするひなたなのですが……
fm3
全身から血の気が引いてしまったひなたの口はうごかず、足も前には出ません。
……今まで順調に来ていたように見えたみかげとひなた。
時間をかけて築き上げてきた信頼が崩れるのは……一瞬なのでしょうか……




と言うわけで、とうとう田中弘美との、過去との決着をつけることになるエピソードが描かれる今巻。
こんなことでみかげが今まで募らせてきたひなたへの想いが亡くなることはないでしょう。
ないでしょうが、その心に受けるショックは生半可なものではないでしょう。
田中弘美のことを伏せられていた、と言う事は、自分がその事を受け入れられないかもしれない、と思われていたと言う事。
みかげはまだ、自分がひなたに全幅の信頼を寄せられていない、と言う事を思い知らされてしまったわけですから……
そしてひなたの方も大きなショックを受けているはずです。
最近の調子で田中とみかげが仲良くなっていけば、いずれ自然と打ち解け、かつてのトラウマを作った田中と、作られてしまったみかげを取り持つことができるはず。
自分が二人の仲を取り持つ、と意気込んでいただけに、それが全くの無力で終わってしまったそのショックはいかばかりか……
深く傷ついてしまった二人、果たしてその絆を再び取り戻すことができるのでしょうか!?
過去を乗り越えると言う意味でも外せない田中弘美との決着……必見です!!

さらにこのほかにも見どころはたくさん用意されております。
愛の魔物、佐呂間の暴走は止むことはなく、まさかの行動に出ることに。
風紀委員の方を主役にしたエピソードも用意され、サブキャラたちも生き生きと活躍してくれます!!
ツナミノ先生ならではと言っていい圧倒的な暴走と、膨大な台詞で押し切るかと思えば、削るべきところではバッチリと台詞を削って見せ場を作るその手腕も健在で、一層キャラクターたちを鮮やかに彩ってくれるのです!!

そしてツナミノ先生最長連載作となった本作も、次巻でいよいよ完結!!
みかげとひなたの不思議な関係は、どのような結末を迎えるのか!?
最後の瞬間まで、二人を見守っていきましょう!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!