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今回紹介いたしますのはこちら。

「花待ついばら めぐる春」第1巻 スガワラエスコ先生 

集英社さんのヤングジャンプコミックスより刊行です。


スガワラ先生は同人活動描いていた作品をセルフリメイクした「マドンナはガラスケースの中」でデビューした漫画家さんです。
「マドンナ~」ではペット用爬虫類を中心として、壮年男性と小学生女子の恋愛を描くと言う少し(?)変わったラブストーリーを描かれました。
そんなスガワラ先生の最新作となる本作は、やはりまた少し変わった恋愛もの。
気になるその内容はと言いますと……?



花壇に水を撒く教師、大草拓馬。
真夏の暑い日でもマメに水やりをする姿はもはやこの学校では見慣れた風景でして、ねぎらいの言葉をかけてくれる先生たちに返す返答も手慣れたものです。
これも僕の仕事です、と言うより半分趣味なんですよ。
そんなことをしている大草のところに、女子生徒二人組が現れてテスト範囲を教えてくれと可愛らしく手を合わせてきました。
ちゃんと授業を聞いてればわかるはずだぞ、と言いながらも、結局教えてあげる大草。
まったく、とぼやきながら女子生徒を見送っていますと、今度は同僚の富田先生が登場。
大草の口に温泉まんじゅうを突っ込みながら、富田は微笑みます。
ダメですよ、周りのお世話ばっかじゃ。
自分のお世話もしてくださいね。
そう言ってにこにこしている富田、あれこれと言いたいことを言っているうちに別の先生に呼び出され、立ち去っていってしまいました。
そんな富田を見送りながら、大草は……よからぬ妄想を始めます。
富田先生、下着、派手めな黒のレースだった。
もしや俺に見せるつもりで……?
富田が自分を誘惑してくる姿まで想像してしまい、慌ててその妄想を振り払う大草。
妄想が消えた後に残った思いは、こんなものでした。
一体、どんな男があの人を咲かせたのだろう。

大草は、奇妙な癖を持っていました。
女性を見るたび、「この人を最初に咲かせたのはどんな男だろう」という疑問がわいてしまうのです。
「初めての相手になりたい」という欲求を抱くことは、思春期の男ならば珍しいことではありません。
とはいえ、大草は25歳。
誰かれかまわずそんなことを考え、執着を持ってしまうのはやはりちょっと普通ではない、のかも知れません。
そんな妄想癖を治そうと、知人の紹介で女性とデートしてみたりもしましたが、会話すらかみ合わず失敗。
やむなく大草は、別の方法でその癖を紛らわすことにしたのです。
それが、学校の花壇の手入れでした。
花は手を尽くした分だけ答えてくれる。
飽きになればコスモス、ヒャクニチソウも咲くはず。
楽しみだ、鼻の世話をしてる間は、世界はこんなに広くて楽しい!

逃避めいたことをしていた大草の元に、同窓会の報せが届きます。
大草を含め、同級生たちはほとんどが地元で暮らしています。
大して変わり映えのしない面子で飲むだけの同窓会なのですが……今回は、いつも参加しないある人物が参加する、と言うのです。
姫川いばら。
クラスのマドンナ、高嶺の花のような存在だった彼女が、はじめて同窓会に参加するらしい。
そんな情報を聞いて、どうしても大草は彼女のことを思い出してしまうのです。
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姫川いばらは学校のマドンナにして、大草の幼馴染でした。
茨の家は大きなお屋敷で、大草はその近所に住んでいまして……お互い一人っ子だったこともあり、子供のころからよくいっしょに過ごしていました。
中学生になってもその関係は変わらず……大草はともかく、可愛らしい容姿をしているいばらも恋人を作らずにいたのです。
いばらは俺が好きに違いない。
俺の告白を待っているから、誰ともつきあわないんだ。
そう確信していた大草なのですが……何と言う事なのでしょう、何の前触れもなくいばらは急に転校してしまったのです。
それだけならまだいいのですが、そこで焦ってしまった大草とんでもないことをしでかしてしまいます。
いばらへの告白をメールでしようと思った大草……何とそのメールを、クラスメイトや担任の先生、みんなに誤送信してしまったのでした!!

女性に対して上手く対応できないのは、そんなトラウマも原因の一つかもしれません。
そしてその原因となったいばらが来るとしたら……同窓会になんて行けるはずがありません。
適当に嘘をついて、同窓会を欠席する大草。
ですが同窓会に行かなくても、アレから10年経った大人のいばらがいる、と言うのが引っかかってしまうのです。
せっかく忘れたと思ったのに、忘れてると思ったのに、心があの頃に戻る。
コントロールできない自分に怯える大草。
そんな彼の妄想の中で、女生徒や富田があれこれと囁きかけてきます。
戻ってもいいんじゃないか、チャンスなんじゃないか?
いや、いまさら無理だろう、あんなにかわいい子が今でもフリーなんてありえない、きっとイケメンの旦那がいて、もしかしたら子供がいるかもしれない。
早くすっきりして次に行こう。
それなら婚活だ、結婚はいいよ。
……大草はそんな妄想を振り払い、叫びます。
今日が終われば、いばらは麻績でのままだ。
誰がなんといおうと俺は、あの頃のいばらを手放したくないんだよ!!
勢いに任せて家を飛び出してしまう大草。
すると……部屋を出たすぐそこに、思いもよらない人物がいたのです。
それは……
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まぎれもない、あの頃の、いばら……!?
さっきの妄想の続きなのかと考えた大草、彼女があの頃のままなわけがないし、今はどう総会に出ているはずだ、といばらの頭をポンと叩きました。
するといばらは、おもむろにスタンガンを取り出し、大草にきつい一撃を食らわせてきたのです!!
子供みたいに頭をなでたりしないで、私妄想なんかじゃないわ。
……いばらは、あの頃からちゃんと時間を重ねた、25歳の姫川いばらである、と名乗ります。
ですが、その見た目はどう見てもあの頃のまま。
これは一体どういうことなのでしょうか……?
いばらは大草に説明を始めました。
「少女性徴覚醒」。
恋をすることで体の成長を促す女性特有の生理現象、それが始まった少女達は「咲いた」と言われる、思春期の証明のようなもの。
みんな大なり小なり初恋を経験していると言うものの、いばらは「人を好きになる気持ちがわからない」と言うのです。
少女性徴覚醒が起こらないまま、子供の姿のまま成長が止まっている。
そう言ういばらは、おもむろに何かを読みだしました。
いばら、久しぶり、メールを送るのは初めてだね。
今までこんな風にメールする必要ないくらい一緒にいたから変な感じだよ。
……これは、例の大草の告白メール……!!
止めてと言っても読むのをやめないいばら、口を押さえるとやっと読むのをやめてくれましたが……いばらは、このメールの最後の一行を頼りにここにやって来たのです。
「返事ずっと待ってる」。
いばらが今になってこの街に帰ってきたのは、このメールに応える為。
初めての相手は、よく知っている人がいい。
拓馬に子の体を大人にして欲しいの。
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「わたしを咲かせて」。
……10年越しのメールとともに、彼女は大草に、そう告げたのです……!




と言うわけで、過去の思い出に縛られた男の前に、その思い出がそのころの姿のまま現れてしまう本作。
こうして大草と、いばらの奇妙な共同生活が幕を開けることとなるのですが……
いばらが求めているのは、恋をすること。
要するに大草に、自分に惚れさせてみろと言っているのも同然なわけです。
そんなことができるのならば当時やっていたであろう大草ですが、これはチャンス……なのでしょうか?
大草からすればいばらはずっと思いを寄せていた意中の人物。
とはいっても、今の彼女はもともと小柄なこともあって、小学生と思われても仕方ないくらいです。
そんないばらと一緒にデートなんかをしているところを見られたら?
一緒に住んでいることが関係者に知られてしまったら……!?
大草は社会的に死んでしまうことになってしまうかもしれないわけです!!

さらにここに思いがけない第三者が絡んでくることになり、物語はますますややこしくなっていきます。
初恋を取り戻すか、決別するか。
そんなお話に、様々なスパイスが投げ込まれていく本作、穏やかにお話が進むことはなさそうです!!

そんな変化球のラブコメと言える本作、そこかしこにスガワラ先生らしい要素がしっかり盛り込まれているのも見どころの一つ。
つり目の女の子の印象が強いスガワラ先生作品ですが、今回のいばらや、ドラマに波紋を巻き起こす新キャラもまたつり目キャラ。
そんな彼女達が見せる、ツンツンしたところや、乙女らしい顔、漂ってくる色気などなど、先生の持ち味がいかんなく発揮されております!
彼女達が見せる様々な顔にときめくのも本作の楽しみと言えましょう!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!