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今回紹介いたしますのはこちら。

「えっちすけっちわんたっち ~僕がおしっこに目覚めるまで~」 玉置勉強先生 

秋田書店さんのヤングチャンピオン烈コミックスより刊行です。


さて、玉置先生の最新作となる本作。
近年では日常漫画的な作品や、原作付きでの部活物的な作品など様々な作品を手掛けられている玉置で先生ですが、玉置先生と言えばやはり(?)フェチズム溢れるエロス要素と言うイメージも強いはず。
本作はそんな要素が前面に押し出された、玉置先生色が濃い作品となっているのです!



1980年代の事。
インターネットも一般には全くなじみのないこの時代、子供たちの中で絶大な影響を持っているのは、今となっては奇妙極まりない独自のローカルルールや、噂話でした。
小学生男子はそんな謎ルールに最も敏感な世代。
ある小学校では、男子グループがふざけ合って一人を無理やり女子トイレに押し込み、こいつ女子便に入った、エロい、変態だ!などとからかっています。
そんなばかばかしい様子を横目で見ていた女子たちは、男子馬鹿過ぎ、ガキ過ぎ、と冷たい視線を送ります。
とりわけ男子たちの中で嫌われているのが、ガキ大将的なポジションにいる平尾。
本来なら授業中でもない今、触らぬ神に祟りなしとばかりに放っておくのが面倒を回避する手段なのですが……そこに話しかけて行く女子が現れます。
ごめん、トイレ使うからどいてくれないかな、平尾くん。
その女子の名前は、山本。
彼女は「プッツン女」と男子から呼ばれていまして、女子からも孤立している少し変わった立ち位置にいる女子でした。
男子たちもシカトしようぜと言うほど、晴れ者扱いされている彼女ですが、なるほどその扱いも何となくわかるような言葉を続けるのです。
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こんなトイレの前で何してるの、トイレの音でも聞くの?
そんな挑発的とも取れるような言葉を聞いた男子たち、驚きと面倒くささもあってその場から逃げ出してしまうのでした。

その後男子たちは団地の一角にある人気のない階段の踊り場で、お菓子をこっそり食べることに、
するとそこに、またも山本が姿を現すのです。
厄介なやつが来た、とばかりに顔をしかめる平尾達なのですが、山本はまったく悪びれずに声をかけてきました。
自宅がここにあると言う彼女、私にもそのお菓子ちょうだいよ、と話しかけてきたかと思うと、今度は全く違う話を始めます。
ところでなんかさ、5年の時の視聴覚室の授業から、男子と女子、おかしくない?
男子は何を見たのかな?
……微妙な年ごろの彼らに戸惑いを与えるその言葉。
そんなのどうだっていいだろ、とうろたえながら、女子は何を見たんだ?と質問を返すくらいしかできませんでした。
そう聞かれた山本は、こともなげに言うのです。
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んー、エロいの。
ねぇ、そのお菓子くれたらさ、授業で見たこととか、本当に見せてあげる。
パンツ、見せてあげる。
……とうとう山本は、お菓子もいらない、と言いながら自分のスカートをたくし上げ始めます。
触ったりしたら、大声出すからね。
そんなことを言う山本に、男子たちの目は釘付けになってしまい……!!
この状況で声を上げたのは、平尾でした。
俺、誰かにちょっと言いつけてくる!
腹が減ったから帰る!
女のパンツなんか見ても嬉しくねーし!!
そう言って、平尾は一人その場から逃げ出してしまうのです。
残された男子たちは、山本を食い入るように見つめます。
山本は、完全に自分の行動の虜となった男子たちを弄ぶように囁きました。
布越しじゃわかんなくない?
少しずらして見せてあげよっか、内緒にしてくれれば。
……男子たちの興奮が最高潮に達したその時、今度はさっと立ち上がり、やっぱここまで、と一方的に中断してしまう山本。
平尾君が大人呼びに行ったかもしれないし、気分じゃなくなってきた。
補導されちゃうかもしんないもんね。
……平尾のせいで一大イベントが中止されてしまった男子たちは、平尾に不満の声を漏らしながらも、素直にその場は解散するのでした。

家に逃げ帰った平尾は、机に突っ伏してうめきます。
なんだよ、あの女も皆も!!
怖ぇ、なんだよあいつ……
平尾の脳裏には、山本のどこか闇を感じさせる視線と、現実には言われていない「平尾君にはまだ早い?」と言う小馬鹿にしたような言葉が反響しています。
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目を血走らせる平尾は、そんな妄想を胸に、何を考えるのでしょうか……?

……そして、山本の方はひとりこんなことを呟いてました。
すごく退屈。
でも、面白い遊び、見つけちゃったかも。
山本が見つけた遊び。
それは、いまだ目覚めていない平尾をターゲットにした、普通ではない遊び、なのです。



と言うわけで、山本の見つけた「遊び」によって、平尾が目覚めていくことになる本作。
この後平尾は山本に翻弄され、どんどんと今まで知らなかった自分の一面を知らされることになります。
そんな山本の遊びに、巻き込まれていく形になる気弱な少女、飯塚。
山本と平尾、そして飯塚。
その三人が中心となり、平尾の運命はねじ曲がっていくのです。
その捻じ曲げられた……いや、本来隠し持っていて、下手をすれば生涯気が付かなかったかもしれない平尾の隠された趣味。
それは……サブタイトルにも描かれている、「おしっこ」。
それはまだ成人男性としての第一歩を踏み出していない平尾の足を確実に進めていく……!
どんどんと開かれていく扉、踏み外していく平尾。
そんな様子を、玉置先生らしい生々しさで描いていくのです!!

もともと全1巻予定とのことで、玉置先生の描きたいことが描き切られていると言う本作は、それだけに玉置先生らしさの詰め込まれた作品になっていまして。
踏み外していく平尾、それに伴うように少しずつ歪んでいく飯塚、そしてその中心にいる、はずだった山本。
それらのドラマが淡々と描かれ、そして迎えるエンディングはおそらくみなさんの予想とは大きく違う予想外の、不思議な読後感あるものとなっています。
とんでもない幕開けとなった本作はどのような結末を迎えるのか?
エロス要素だけではない、玉置先生ならではの味わいを存分にお楽しみください!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!