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今回紹介いたしますのはこちら。

「さよならミニスカート」第1巻 牧野あおい先生 

集英社さんのりぼんマスコットコミックスより刊行です。


牧野先生は08年にりぼんの漫画賞を受賞、りぼんスペシャルでデビューした漫画家さんです。
その後りぼん系の雑誌で多数の読み切りを発表、短期集中連載や連載を経験。
そして18年に本作の連載を開始されました。

そんな牧野先生の最新作となる本作は、少女漫画の王道である恋愛……はもちろん盛り込まれているものの、そのストーリー展開はとても王道とは言えない衝撃的なものとなっているのです!



とある高校の柔道部では、男子たちが他愛ない話に花を咲かせていました。
窓の外を眺め、通りすがる女の子を品定め。
あの子がいい、俺はそっちの子がいい。
そんな男子たちの話に一切興味を示さず、黙々と筋トレに打ち込んでいる男子もいます。
彼は光。
貴重な高校生活を柔道だけで終わらせるのか、好みのタイプだけでも教えろよ、などと部活仲間にからかわれるのですが、その際にドンと押されて体勢を崩し、通りがかりの生徒にぶつかってしまいました。
その生徒は、ぎろりと光の方をにらみつけ、どけよ、と一言。
それに加えて、柔道部の事をサカったゴリラの集会だと思った、と吐き捨ててその場を去って行くのです。
当然怒り狂う男子たちはただじゃ置かないと報復しようとするのですが、その中の一部はそれを諫めました。
なぜなら……短い黒髪にすらりとしたスラックスタイプの制服が似合うその生徒、神山仁那は……
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女子なのですから!

神山は、クラスの中でも浮いた存在です。
いつも一人でいることを好み、誰にも話しかけようとしない彼女に女子たちも腫れ物を触るかのような扱いをするばかり。
そんな中でもクラスの女子の中心的存在の美玖は、神山に積極的に話しかけているのですが……
スタイルよさそうなのに、どうしてスカートは履かないの?もったいないよ。
そう語りかける美玖に、神山は冷たい対応をするばかり。
もったいないってなに?
自分にはそれ以外ないってこと?
……完全なる拒絶、そればかりか女子たち全員を敵に回すようなその発言を聞いては、美玖も引き下がるしかないのです。

そんなこの学校に、突然不穏な空気の漂う報せが届きました。
女生徒は放課後の部活動を禁止、女子はなるべく集団で下校するように。
突然のその報せに当然女子たちは文句を言うのですが、その理由を聞かされれば頷くしかありません。
なんとこの辺りに不審者が現れ、他校の女生徒が被害に遭ったというのです!
ざわつく校内ではありますが、それでもみんなどこか他人事。
美玖を筆頭にして女子たちは危機感なくキャーキャー言いながら、男子の部活を見学したりするのです。
微妙な空気の中で、光が気になるのは神山でした。
いつも一人でいる彼女、当然下校も一人きり。
光は大丈夫かな、と心配するのですが、女子たちはあの人が襲われるわけないじゃん、と全く気にしていない様子。
ですが光はどうしても神山の事が気にかかって仕方ないのでした。

神山は一人自宅のマンションまで帰るものの、やはり彼女なりに問題を抱えているようです。
学校のではない友達らしいサラと言う女生徒の会話で、神山仁奈は普通に友達を作って恋愛だってできるんだから、彼氏作ろうよと言う話題を振られるのですが、自分は男に媚びうるようなバカ女じゃない、とそれをはねのけます。
そして家に帰れば帰ったで、テレビに映し出される人気アイドル「PURE CLUB」の可愛らしいスカートの衣装を眺め、膝を抱えるのです。
神山さんはどうしてスカートをはかないの?
あの美玖の言葉が神山の中でリフレインします。
神山はテレビの電源を消し……ギュッと自分の腕を握りしめ、うるさい、と絞り出すの出して……

翌日も、神山は一人で下校していました。
その帰宅途中、わき道から不意に出てきた光を不審者と見間違い、驚きしりもちをついてしまいました。
光はランニング途中か何かだったようで、キュウに出てきてごめんと彼女の手を取って引き起こすのですが……その時ちらりと袖から見えた彼女の右腕に、痛々しい古傷があるのが見えてしまいます。
神山はそれを見られて戸惑い、バッと手を払うのですが、そのせいでまたよろよろと地面に倒れてしまいました。
光は家まで送ると彼女に持ち掛けるものの、神山はここでも光を突っぱねるのです。
うるさい、弱ぶって男に守ってもらうような、そんな女と一緒にするな!!
彼女の後ろ姿を見送る光。
やっぱりあの子……
そう呟く彼は、神山の「何か」に気が付いたようです。

大きな事件があったのはその翌日でした。
なんと美玖が変質者の被害に遭った、と言うのです。
不幸中の幸いで、三玖は太ももを触られただけ、とのこと。
一応は安心する女子たちなのですが、心ない男子たちはそんなに怖がるならスラックス履けばいい、短いスカートなんか男に媚びうるためにはいてるんだろ、そんなの触られて当たり前、などと暴言を吐いてきて……
たまらず立ち上がったのは、なんと神山です。
暴言の吐いた男子のネクタイをつかみ上げ、神山は吐き捨てます。
スカートは、あんたらみたいな男のために履いてんじゃねえよ。
……一瞬の静寂の後、女子たちの歓声が上がる教室。
この後いろいろと何かが起こりそうな雰囲気になってしまいましたが、そこに当の美玖が現れ、みんなおおげさ、たかが太ももだよ、と笑ったことで事態はとりあえず収まりました。
ですがその三玖の言葉に、神山はショックを受けたようです。
それでいいの?
本当に、それでいいの……?

放課後の屋上で、神山は一人うつむいていました。
そこにまたも光が現れ……光はとんでもないことを神山に尋ねたのです。
もっと早く聞いておけばよかった、でも自信がなくて、学校で始めてみた神山さんはがりがりで、髪の毛も全然違って……誰も気づいてないみたいだし。
でも俺は本当は最初から気づいてた。
君は、麻宮花恋だよね?
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「PURE CLUB」元センターの、雨宮花恋。
……握手会の傷害事件で引退した……

握手会の事件。
それは半年前に行われた握手会の際、PURE CLUBの絶対的センターだった雨宮花恋が、ファンとしてやって来た不審者に右腕を切りつけられる、と言うとんでもない事件です。
結局その犯人は捕まらず、花恋の右腕と心に消えない傷をつけてしまいました。
それ以来花恋は男性に対する恐怖感、そして「男性に媚びを売って人気を稼いれいるアイドル」と言われてしまう自分に対する嫌気に苛まれ……
自ら髪をばっさりと切り、「女」であることを捨てたのです……

光はこんな話をしました。
俺の妹は担任にセクハラされて引きこもりになった。
「自分が女だったから」と言い続けて沈んでいた妹だったが、たまたまPURE CLUBの動画を見て、励まされたと言っていた。
短いスカートで堂々とステージに立って、男女問わず笑顔を向けて、どんな時も何を言われても「女の子」を崩さない。
「アイドルは女の子の自分を許してくれるんだ」「自分だって女の子でいいんだ」。
そう励まされた……
光は花恋の、いや、神山の手をきゅっと握り、言うのです。
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アイドルになってくれて、ありがとう。
そんな光の言葉と、柔らかな笑顔。
それを見て……神山の胸には、忘れかけていた感情がよみがえりつつあって……



と言うわけで、雨宮花恋こと神山仁那が光と出会い、忘れようとしていた感情と向かいあうことになる本作。
消えない傷を刻み付けられた彼女が、一人だけ本当の自分を見出してくれ、暖かな言葉を掻けrてくれた光によって心をほぐされ、元の自分を取り戻していく……
そんな話になればそれはそれで面白いのかもしれませんが……本作はそう簡単に物事が進まないのです!!
神山の心と体を傷つけた謎の不審者。
その人物はいまだ彼女のことを諦めてはおらず、神山を狙っているようなのです!
ですがそんな不審者をどうにかするために光と神山が奮闘する……ともならないのが本作の凄いところ!!
普通ならばヒロインに対するヒーローであるはずの光。
そんな光に、とんでもない疑惑が持ち上がることとなるのです!!

男装の女生徒がアイドルだった、と言うどんでん返しだけでは終わらない、さらなる仕掛けが施され、恋愛漫画であるものの、サスペンスの様相も呈してくるこの物語。
神山と光を中心としながら、美玖やPURE CLUBと言った人物たちも巻き込んでいき、物語は予想不可能な領域に!
今巻のラストではさらにとんでもない展開が待っておりまして、ますます目が離せなくなっていきますよ!!




今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!