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今回紹介いたしますのはこちら。

「その着せ替え人形(ビスク・ドール)は恋をする」第1・2巻 福田晋一先生 

スクウェア・エニックスさんのヤングガンガンコミックスより刊行です。


福田先生は00年代の後半から少年エースで商業活動を開始された漫画家さんです。
読み切りの発表やアンソロジーの発表を経て、09年に「シバラク」で連載デビュー。
ですが1年半で連載が続いたものの単行本の3巻以降が発売されずじまいで終わってしまいました。
そのあたりで何かがあったのかはわかりませんが、12年より活躍の場を少年画報社さんのヤングキングに移して「桃色メロイック」の連載を開始、こちらは4年半、全10巻と言うヒット作となりました。
そして18年よりヤングガンガンで本作の連載を開始、この度第1・2巻同時刊行となりました。

そんな本作は、最近はやりの地味系男子とギャル系女子のアレコレを描いた作品なのですが、その主人公たち二人はちょっと変わった関係で繋がることになるようで……?



なんでわっちゃん男の子のくせに女の子のお人形好きなのよ、気持ち悪い!
わっちゃんなんて大嫌い!
女の子にそうなじられる悪夢で目を覚ますのは、高校1年生の五条新菜。
彼は祖父と二人暮らしでして、昔から悪夢の中の女の子になじられてしまうような夢を抱いているのです。
彼の家は、人形店。
現在その店を切り盛りする祖父のような、雛人形の頭を作る「頭師」になる、と言う夢が。

ですがその夢は、一般にはあまり理解されないもののようで。
子供のころに女の子に気持ち悪いと言われてしまったことを今でも気に病んでいまして、俺がいない方がみんなの気を悪くしないだろうと考え、積極的になれないでいました。
そのせいで今もクラスでは友達もできずに一人ぼっち。
いじめられているわけではないものの、掃除当番を体よく押し付けられるなど、あまり充実した学園生活は遅れずにいたのです。

そんな新菜の目に、ひときわ眩しく映るクラスメイトがいます。
喜多川海夢(まりん)。
いかにもギャルと言った感じの風貌の彼女ですが、そんな見た目とは裏腹に新菜に対しても分け隔てなく接してきてくれます。
それだけではなく、こんなうわさも耳に入ってきまして。
ナンパ目的で話しかけてきたときに、彼女が自分のバッグにつけていたアニメキャラのバッヂを見て、話すきっかけにしようと弄ってきたそうなのですが……
なんとかってアニメのヤツ?ないわ、と笑ってきたそのイケメンを、オメーがねえわ、と庭見つけて一喝したのだとか。
海夢曰く、人の好きなものを馬鹿にすんなよ、ってなる、とのことですが……
その言葉も、新菜を揺さぶっていたのです。
……新菜は海夢を見るたび思います。
自分とは真逆の世界で生きている人がいる。
ありのままの自分を受け入れてもらえる世界は、きっと生きやすいんだろうな。

そんなある日の放課後、みんなに押し付けられた掃除を独りでやろうとしていた新菜。
そこに、海夢が入ってきまして、掃除をし始めるではありませんか。
トイレに行っていて遅れたけど、掃除当番だから普通にやる、と言う彼女。
新菜はみんなバイトがあるとかで帰ったみたいだけど、と、暗に海夢も帰っていいと言う言葉を投げかけました。
一人で掃除するより誰かと沈黙が続くのがイヤだと考えている新菜だったのですが、そんな新菜に海夢はこう言うのです。
押し付けられてない、と。
当然押し付けられていることはわかっている新菜ですが、みんな頼りになると言ってくれているからいいかなって思っている、と答えました。
しかし海夢は新菜にピシャリとこう言うのです。
それ、頼られてるんじゃなくてパシられてるだけだから。
嫌なのに何でも言うこと聞くって違くない?
てか自分のために絶対しちゃだめでしょ。
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自分の気持ちは、自分のために言わなきゃだめだよ。

……海夢の言葉が頭に反響し、その日から日課の仕事がはかどらない新菜。
まだ雛人形の顔を書かせてもらう段階ではない新菜は、基本的に雛人形の服を作っています。
彼女の言うことは間違っていない、今でも夢に見る言葉を投げかけられたあの時も、本当は……
そんなことを考えて、気もそぞろになっていた……からではないのでしょうが、長年使っていたミシンがとうとう寿命を迎え、使えなくなってしまいました。
新しいのを買うしかないのですが、流石に今すぐ買いに行くと言うわけにはいきません。
せめてキリのいいところまでやりたかった、とうなだれる新菜ですが……そこで一つのアイディアが思い浮かびます。
それは……学校のミシンを使わせてもらう事!!
放課後に被服室を借り、ミシンを使って一人黙々と作業に打ち込もうとする新菜。
その前に、持ってきた雛人形の頭を眺めてうっとりしていると……
そのタイミングで海夢が入ってくるではありませんか!!
衝撃的な出来事に遭遇し、思わず雛人形の頭を取り落としてしまう新菜、慌ててその頭を拾い上げ、大丈夫!?痛くなかった!?と、雛人形の頭に話しかけます!
……目の前に海夢がいるにもかかわらず……!!
大失敗をしてしまったと後悔する新菜ですが、海夢の反応は予想外のモノでした。
すっごーい!!
ごじょー君、ミシン出来る人なの?マジ凄いんだけど!!
そう手放しでほめまくった後、雛人形の頭を見ても、めっちゃきれーじゃん、目、キラキラしてる、とそちらも称賛の声をかけてくれまして。
あわてて、これはじいちゃんが作ったやつで、自分はまだ服を作るぐらいしかできない、と告げるのですが……海夢は、そちらの方に食いついてきました。
新菜に後ろを向くように指示し、しばらくして特牛を見てくれと声をかけてくる海夢。
すると彼女は、なんだか黒いきれのようなものを纏っています。
なんでもそれ、あるゲームのキャラクターを模して作った衣装なのだとか。
携帯にそのキャラの画像を表示して、新菜に見せる海夢なのですが……
新菜は職業柄なのか、思わず本気で突っ込んでしまうのです。
冗談ですか?狙っても普通ここまで下手にできませんよ!!
何で裏地がないのか、返し縫いもしてないし、下糸がない、縫い代を忘れてる、どうしてここダイヤルを変えているのか?
無意識のうちに突っ込みまくってしまった新菜ですが、涙目になってしまっている海夢を見て瘴気に帰りました。
土下座して、調子に乗ってすみませんでしたと許しを請う新菜……
ですが、そんな新菜に海夢は言うのです。
えっと、これはね、
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あたしが、コスしたくて作ったの!
あたしね、漫画とかアニメとかゲームのキャラと同じ格好がしたいの、それって推しへの思いを全力でアピれんのよ、スゴくない?
それって究極の愛じゃん!
ごじょー君、あたしにコス衣装作ってくれないかな……!?
ギュッと新菜の手を握ってそう懇願する海夢。
それは空会など一切ない、真剣そのものなお願いでした。
自分じゃどうにもできなくて、でもどうしてもこのキャラが大好きだから、なりたいの。
おねがい、ごじょー君!
……今までの彼女の様々な言葉を思い返す新菜。
彼女の好きなものへの想い、自分の行動を否定せずに誉めてくれたあの顔、そして自分の気持ちは自分のために言わなくちゃダメだと一喝したあの言葉。
……新菜は、決意します。
分かりました。
ヒト用は作ったことがないのでうまくいくかわかりませんが、できるだけやってみます。
すると海夢は、涙を流して喜んでくれて……
自分とは真逆の世界で生きている人と、こんな約束をするなんて、思ってもみなかった。
こみ上げてくる未知の感情に胸を熱くする新菜。
そんな新菜に、海夢はそのキャラクターの事を軽く教えてくれました。
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「聖ヌルヌル女学園 お嬢様は恥辱倶楽部 破廉恥ミラクルライブ2」の、黒江雫たん!!
……新菜は思わず真顔で、なんですって?と聞き返してしまうのでした!!



と言うわけで、頭師を夢見る新菜と、愛を体現するためにコスプレをしたい海夢の関係がスタートする本作。
この後、二人はコスプレのためのあれこれをスタートすることになります。
生地の購入や小道具の購入はもちろんの事、きちんとした服を作るためには絶対に必要な採寸、と言ったドキドキのイベントが盛りだくさん!
そんな中で、屈託のない笑顔で新菜にあれこれ教えられたり教えたりする海夢に、新菜はどうしてもドキドキしっぱなし!!
コスプレ意匠の制作風景や、新菜の想い、服の出来上がりはどうなのか、と言う様々な要素と、最も気になると言ってもいい二人の関係からも目が離せませんよ!!

そして本作は第1・2巻が同時発売。
話題作などによくある売り方ですが、本作はこの第2巻までで一区切りとなっています。
ただの萌え系のお話ではない、きっちりとした起伏あるドラマが繰り広げられ、この黒江雫編が第2巻で決着となるのですが、その決着と同時に物語がここから始まる重大なイベントが用意されていまして……!?
連載が続けばあの悪夢に見る女の子の正体も明らかになっていくでしょうし、おはなしはまだまだこれから!!
今後の展開、気になって仕方ありませんね!!




今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!