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今回紹介いたしますのはこちら。

「夜明け後の静」第3巻 石川秀幸先生 

集英社さんのヤングジャンプコミックスより刊行です。


さて、文明開化が進む中で、それでも武家の娘としての誇りを胸に、夢に向かって進んでいる静。
ですがそれだけに、近代化の進む明治の代ではいろいろと恥をかいてしまうことも少なくありません。
それでも、静を慕う茅の支えもあり、日々前を向いて勉学に励むのです。



それは、七夕の日の事でした。
もうそろそろ授業が始まる頃だと言うのに、級友の市江が教室にやって来ませんでした。
静が心配していますと、クラスメイトから驚くべき事実を聞かされるのです。
市江はもう学校には来ない。
結婚した、寿退学だ、と!

実は密かに、クラスで一番早く寿退学をしようともくろんでいたらしいさち子は羨ましがるのですが、浮世離れした静は男性とのあれこれなど考えたことすらありませんで。
血痕など皆目見当もつかんのう、と茅に話を振るのですが……茅はなぜか反応を返しません。
もう一度静が名前を呼ぶと、あ、はい、そうですね、と一応は返事をするのですが、どこか上の空なのです。
そんなところにやって来たキャロライン先生。
やって来るなり彼女、織姫と彦星みたいにべたべたしすぎて別居させられなければいいけど、などと言いだしました。
七夕と葉機織りや手芸の上達を祈願する祭ではないのか?と静が尋ねると、キャロライン先生は本来の伝承を教えてくれました。
機織りが得意な織姫と工作が得意な牽牛が夫婦になったが、お互いイチャイチャべたべたしすぎて仕事をしなくなったので、神様が起こって川を挟んで二人を別居させ、7月7日にしか会えないようにした、と。
そう言う話を聞いても、まだピンと来ない静。そもそも「べたべたいちゃいちゃ」とは何なのか……そこからすでに分かっていないのです。
そんな反応をみて、キャロライン先生の悪い虫がまた騒ぎ出したようで。
将来の夫婦生活で困らないように、予習しなさい、と言い残して彼女は立ち去っていくのでした。

三人はその場に居合わせていた先をはじめとした級友を交え、あれやこれやと話し合いまして……
やがてさち子が「べたべたいちゃいちゃ」西洋で言うところの「フィジカルインティマシー」……いわゆるスキンシップである事に気が付きました。
西洋では相手の体に触れて親愛をアピールする、べたべたというのはきっとその事だ、とさち子は言うのです。
そこで静は、咲とべたべたしてみることにします。
とりあえずお互いの頬をつつきあい、そしてさわさわと頬を撫であいまして。
こんなことのどこが楽しいのか、頭部約静なのですが……気が付けば、咲の顔が目の前に。
流石に気恥しいのか、二人は頬を染めてそのまま見つめ合うのですが……
校内一綺麗と言われる静と、校内一可愛いと言われる咲、絵になる!とギャラリーは息を飲むのです。
と、そこで茅が我慢しきれず、
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二人の間に掌底で割って入ってしまいました!
フィジカルインティマシーだとごまかす茅なのですが……ともかくこれで仕切り直し。
改めてべたべたを学び始めるのです。

お互いの背中をたたき、肩をたたき、手を握る。
同棲とするには何と言う事はない動作なのですが、静の価値観からすれば男性とそんなことをするなんて考えられません!
そんなことをしたら子供ができてしまう、とまたずれた発言をしつつ、結婚なんて見当がつかない、まだ静たちには早い、と漏らすのでした。
が、そこで意外にも茅が大きな声を張り上げます。
そんなことありません、親が決めた許嫁と急遽結婚が決まって、さよならも言えずに女学校を去らないといけないこともあるんです!
なので夫婦生活で街内の内容今のうちにもっとべたべたを学ぶのです!!
そう言いだした茅は、その勢いのまま、今夜は静と一緒に寝てください、と頼みだして……!?

その晩、二人は一つの布団に入り込んで寝ることになりました。
まさしくべたべたいちゃいちゃの第一歩であるこの行動ですが、やはり一人用のベッドに二人で入ると言うのは狭いもの。
普通に寝てしまうとどうしても落ちてしまうので、二人は自然と寄り添う形になるのです。
が、背中合わせに寄り添うと、どうしても掛け布団を引っ張りこんでしまいやすく、布団の取り合いのような形になってしまい……
自然と二人は、向かいあって寄り添うことになるのです!

向かいあうと、今度は相手の動向が気になるもの。
茅がなんだかもじもじとしていることに気が付いた静は、どうしたのかと尋ねました。
すると、枕がないとちょっと落ち着かない、と言う茅。
枕は静が使っていますし、就寝時間の今、自分のものを持ってくるというのも無理な話。
そこで静が取った行動は
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腕を差し伸べること。
そう、茅に腕枕をしてあげることにしたのです!!
頬を染めながら、そっとその腕を枕にする茅。
茅は笑いながら言いました。
静さまはやっぱりおやさしいです、わたし、静さまの家臣で本当によかったです。
そんな彼女の言葉に照れまくる静ですが……最後にポツリと茅が言った言葉は、どうしても気になってしまうものでした。
わたし、今夜のこと一生忘れません。

翌朝、気が付くと茅はもうベッドにはいませんでした。
外に出ても、いつもならば庭の掃き掃除などをしている彼女の姿はありません。
一体何があったのでしょうか。
キャロライン先生がちょうど通りがかったので、茅はどうしたのか、と尋ねてみるのですが……
なんということでしょうか、とんでもない事実を知らされることとなるのです!
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寿退学よ。
相手が海外在住の外交官らしくて、今朝明け方に海外に発ったわ。



と言うわけで、まさかの展開が待っている今巻。
静と茅はお互いがお互いを信頼し合い、好いている無二の存在。
ふたり尾はこれから長くお互いを支え合っていくのだと思われていたのですが……
まさかの急展開となってしまいました。
面と向かっては別れが惜しくなって、取り乱してしまうかもしれない。
茅にはそんな思いもあったのでしょうが……
このまま二人はお別れの言葉もなく離れ離れになってしまうのでしょうか。
この注目のエピソード、必見の内容となっております!!

この他にも、お洗濯や勉強、海水浴にお化粧と言った様々なものに挑戦しては、恥をかいたりかかなかったり、エロスな目に会ってしまったり会わなかったりとあれこれトラブルが巻き起こります。
どれもこれも静や茅のキュートな魅力が満載ですよ!
そんな日々も今巻で一区切り。
今巻収録分で第1部完となりまして、ヤングジャンプでの連載を終了したしました。
ですがすぐにウェブコミックのとなりのヤングジャンプへと活躍の場を移しまして、第2部の連載を開始予定!!
第2部ではどうも恋愛要素を取り入れていくようで……そっち方面で静がどうなっていくのか、楽しみでもあり、不安でもありますね!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!