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今回紹介いたしますのはこちら。

「デスタメント -真・女神転生 DSJ Another Report-」第1巻 カノウヤスオ先生 

秋田書店さんのヤングチャンピオン烈コミックスより刊行です。


さて、「グングニル」以降、サイコホラーに原作付きでヤンキーものと、様々なジャンルを手掛けてこられてきたカノウ先生。
今回は17年に発売されたゲームソフト、「真・女神転生 DEEP STRANGE JORNEY」を、その制作者である石田栄司先生の監修のもと漫画化した作品となっています。

こう言ったゲームの漫画化と言った作品はだいたい原作をなぞった物、主人公たちの別の戦いを描いた物、サブキャラのストーリーを描いた物、世界観を下敷きにして別のストーリーを描く物、の四パターンのどれかになることが多いです。
実際数々の漫画家がされてきた「女神転生」シリーズは枝分かれした分家の作品を合わせて、上田信舟先生の「ペルソナ」、綾村切人先生の「コドクノマレビト」、4のサブキャラ二人をそれぞれ主人公にした「デモニックジーン」「プレイヤーズ」、藤真秀明先生の「デビルチルドレン」と、その全てのパターンが存在しております。
それだけに本作はある程度自由な発想でストーリーを作り出せるのでしょうか、原作のゲーム内で名前と一枚絵くらいしか出てこなかった(部分的に使われましたけど)物を主役に据えた作品となっています!!
気になるその内容はと言いますと……?



南極点に突如発生し、徐々にその勢力を拡大していった謎のエリア、シュバルツバース。
その外縁部は接近した物体を分子レベルで分解するプラズマ雲で形成されていて、ありとあらゆるものを飲み込んでいきます。
このまま拡大を続ければ、この地球全てがシュバルツバースに呑み込まれてしまうのも時間の問題……
そこで、人類は総力を集結し、4台の次世代揚陸艦を製作。
レッドスプライト号、ブルージェット号、エルブス号、そしてギガンティック号。
その4台に選りすぐりの腕利きや技術者を乗せ、内部を調査、そしてシュバルツバースを破壊するてだてを見つける……!!
人類の存亡をかけた決死の作戦が幕を開けたのです。

4号艦、ギガンティック号。
その艦長、ゼナは突入を前にクルーたちの前で最後の確認作業を行いました。
ですがその確認は、作戦支援AIのアイザックによって行われます。
調査隊の任務はシュバルツバースを調査してその構造を明らかにして、シュバルツバース破壊の糸口をつかむためのデータを入手していく。
ですがこのギガンティック号のクルー、そんなすでに分かり切った情報を、大人しく聞いているような優等生ばかりのチームではないようです。
人間もAIに指示される側になるとはな、機会に命を預けるのはごめんだぜ。
そうぼやくのは、アッシュと言うノリの軽そうな男。
お前さんもそう思うだろう、と横を振り向くと……隣の男はアッシュをギロリとにらみつけました。
男はどうやら、日本人のようです。
ジンと名乗ったその男に、アッシュは軽いノリのまま、レッドスプライト号に「ビジター」の日本人がいるって聞いたもんだからつい話しかけてしまった、といきなり話を振った非礼を詫びてきました。
ですがジン、最初の印象からはちょっぴり違う、洒落のわかるタイプの人物だったようで。
二人は一気に打ち解け、挨拶をかわすのです。

……と、そんな時でした。
航行中のギガンティック号に、激しい振動が襲い掛かったのは!!
謎の重力場が発生し、ギガンティック号は一気に危険域に!!
何者かによる、成体型防衛システムの攻撃の可能性があり、現在追尾ロックオンをされている。
アイザックのそんなデータを聞かされているうちにも、攻撃は繰り返されています。
他の船との連絡すらとれないまま、ギガンティック号は深刻なダメージを負ってしまい……
もはや航行は不可能。
ギガンティック号はもはや不時着をする以外の道は用意されておらず……
凄まじい衝撃とともに、ギガンティック号は地面にたたきつけられたのでした……

真っ白い空間の中に立ち尽くすワンピースの少女。
……夢、でしょうか。
ジンはそんな映像を最後に、意識を取り戻しました。
先に目を覚ましていたアッシュによれば、機動班のけが人は数名で済んだ、とのこと。
そんな幸運に恵まれたギガンティック号でしたが、今の状況はとても幸運とは言えない絶望的なものでした。
他の3艦との連絡は全く取れず、ギガンティック号も航行不能。
シュバルツバース内で孤立無援の遭難状態となってしまっているのですから。
なにせ外からの観測は全くの不可能であったシュバルツバース。
中がどうなっているのかは全く分かりませんが……人体に有毒な期待で満たされているのは既に予測済み。
そんな過酷な状況下の中で調査をするために、クルーたちにはデモニカスーツと呼ばれる防護服が支給されています。
そして動力班がギガンティック号の動力であるリアクターを復旧させ、プラズマ雲から機体を守るプラズマ走行が再起動するまで、どれだけかかるかわかりません。
となれば……その間やることは一つ。
シュバルツバースの調査しかないではありませんか!

ジンは機動班第1部隊に所属しています。
第1部隊には、隊長のアーロン、柔和な印象を受けるデビッド、男顔負けの鋭い眼光と鍛え抜かれた体を持つダリア、そしてアッシュもいました。
5人は十分に警戒しながら、ギガンティック号からシュバルツバースの大地を踏みしめるのです。

そこは、異様としか言えない風景が広がっていました。
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南極の真っただ中であるはずなのに、不気味な植物めいた物が林立、奇怪な得体のしれない物体が天上のように空を覆い隠しています。
その合間を縫って何かの巣のような繭玉のようなものが垂れ下がり、かと思えば巨岩がごろごろと転がっている……
まるで悪夢を体現したかのようなその空間の中を、注意深く歩いていきます。
この得体の知れない空間では空気すらも謎に包まれていて、デモニカスーツなしで歩けばすぐさま人体に影響が出る致死性の「何か」が含まれているのだとか。
そんな空気すら螺も調べる対象だと言う、まるで右も左もわからない空間を一同は歩いていくのですが……
そこで、ジンが何かの気配を感じて足を止めました。
が、その気配の方向を振り向いても誰も、何もありません。
何かしらの生物がいてもおかしくない、大型の補色生物の恐れ磨ある。
そんな最大の注意を払いながら、一同はさらに注意深くあたりを見回すのです。
すると今度は、デモニカスーツのスピーカーからノイズ混じりで奇妙な声が聞こえてきたのです。
迷い入りし者達よ。
我らは送ろう、彼らを知り、従える術を。
……その言葉とともに、デモニカスーツに何らかのデータが送りつけられてきました!!
ですが受信に失敗したのか、全く未知で何なのかわからないデータだったのか、デモニカスーツのモニターにはエラー表示が現れてしまいます。
一同が慌ててそれを確認しようとすると、今度は何やら何かが羽ばたくかのような大きな音が聞こえたのです!!
やはり何かいる!!
謎のプログラムはなと廻しにして、一同は背中合わせに密集!!
全方位に警戒しながら、銃を構えるのですが……
なんなのでしょうか、何か奇妙な違和感のようなものがぬぐいきれません。
アーロンが一同に気を付けろ、何かがおかしいと警戒を促す言葉を叫ぶのですが……その言葉の直後、アーロンを振り向いたジンの目に飛び込んできたのは
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頭をもぎ取られたまま立ち尽くす、アーロンの亡骸だったのです……!!
あの一瞬の間に何が起きたと言うのでしょうか。
……その答えは、アーロンの失われた頭が教えてくれました。
ぽたぽたと滴り落ちる、血液。
その血液は上の方からしたたり落ちてきます。
視界を上へと移動させると、そこで……
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今まで見たことのない、奇怪な鳥のような怪物が上空からジンたちを狙っていたのでした!!



と言うわけで、シュバルツバースでの決死行が描かれる本作。
本作では、原作で本当にちょい役と言いますか、正直何の情報も活躍もなかったと言っていい4号艦、ギガンティック号のクルーたちの戦いが描かれていきます。
原作の方ではアントリアと呼ばれる地域に不時着したレッドスプライト号のクルーたちが中心となっていたわけですが、そのストーリーの中でギガンティック号は無残な姿となって発見されることに。
と言う事はこの後、ギガンティック号に待っているのはおそらくレッドスプライト号以上に過酷な運命でしょう。
やはりこの後、ジンたちだけではなく、ギガンティック号の方にも恐怖が降りかかってきて……!!
ジンはこのピンチを潜り抜け、生き延びることは出来るのでしょうか!?
シュバルツバースの破壊を成すことができるのでしょうか!?
……そして本作の冒頭に描かれている、ショッキングなシーンにはどのようにつながり、どのように展開していくのか!?
あまりに過酷なサバイバルが描かれていく本作、原作を知らない人でも楽しめることでしょう!!

そしてもちろん原作好きにはたまらない要素もたっぷりと用意されています。
最初に出てきた怪物……女神転生シリーズファンならばおなじみのレベル40はありそうなあの悪魔なのは皆様お気づきでしょう!!
さらにこの後、レベル36くらいあるであろう悪霊や、まさかの役割を与えられたレベル33はあろうかと言う龍王など、様々な悪魔が登場!!
本作のボスになりそうな悪魔はまだシルエットしか出てきませんが、意外にレベル低そうなあの悪魔じゃないか?と言うような原作ファンならではの楽しみ方もアリ!!
原作未プレイの方も楽しめ、プレイ済みならばより一層楽しめる、内容となっているのです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!