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今回紹介いたしますのはこちら。

「火ノ丸相撲」第23巻 川田先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。


さて、運命の九月場所を迎えた鬼丸。
初日は大典太との顔合わせとなり、お互いの死力を尽くす激戦となりました。
果たして鬼丸はこのまま、全力以上の力で走り続けることができるのでしょうか……?



ただがむしゃらに勝利を追い求め、未来など見もせず突き進み続ける鬼丸。
その姿を見て、彼とともに歩んでいく関係になった礼奈は悩むことしかできません。
彼の力になりたいのに、自分に何ができるのか分からない。
今は顔を合わせるもの辛い……
そんな悩みを最近懇意にしてくれている横綱・刃皇の妻でる由美に吐露した所、なんと彼女は半ば強引に礼奈を刃皇の所属しているへやにまねいたのでした!!

自身の引退を表明した場所中の事。
さぞやピリピリしているかと思えば、刃皇は予想をはるかに超えるリラックスムードでした。
ゴルフのパットの練習なんかを、付け人と笑いながら興じてみるなど、全く緊張などしていなさそう。
由美によれば、何をしているかはどの時々でまちまち、場所中のルーティーンと言えばせいぜいお酒を飲まないくらいだとか。
十年近く横綱の地位を守り、それにふさわしい成績を収めてきた刃皇にとっては、この自然体の状態こそが調整法。
由美ができることは、うろたえず信じることだけです。
……もちろん、鬼丸にもルーティーンはあります。
いや、ルーティーンと言っていいのでしょうか、鬼丸がしているのはずっと自分の部屋にこもり、会場に向かうまでひたすら取組相手のビデオを見続ける、というもの……
それを聞いた刃皇は、自分は普段通りの実力を発揮するために高ぶりを押さえようとするが、鬼丸のそれは高ぶりを土俵に持ち込んで実力以上の結果を出そうとしている、と見破るのです。
何もかも、わかっている。
そんな刃皇に、礼奈はこんな質問をしてしまいました。
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相撲と奥様、どちらをより愛していますか?
……すぐその発言が失礼極まりないものだと気が付き、謝る礼奈……なのですが、刃皇はにこりと笑い、こう言うのです。
なるほど、隣にいる君がそんな顔をしていることにも気づかぬほど彼は追い込まれているんだね。
刃皇の全てを見透かしたかのような言葉に、礼奈の目からは堰を切ったかのように涙があふれ出してきて……!!
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わかってたんです、私が彼の「一番」になれないことなんて。
でも、ならせめて幸せそうにして欲しい。
あんなにつらそうに相撲を取るアイツを、私は応援できない……
昨日だって、ずっと心の中で思ってたんです。
「負けちゃえばいいのに」って……
と言う、最後の言葉は礼奈の口から出ることはありませんでした。
刃皇が遮ったからです。
そして、刃皇は答えてくれました。
妻がいて相撲があり、相撲があって妻がいる、全ては繋がっているんだ。
そして君が悲しい顔をしていると言う事は、彼は間違っていると言う事なんだ。
いつしか気付く、大切な人たちが自分の勝利に喜んでいないことに。
私もそうだった。
だが、彼の場合気付くより先にその身が持たないだろう。
彼にとっての幸いは……につかめに横綱と当たれた事。
導いてやろう、相撲を愛し、相撲に愛されたものの使命として。
そして何より
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女の子を泣かすような悪い奴は、懲らしめてやらないとねぇ……!!
そして二人は、土俵上で対峙します。
刃皇の前に立つ鬼丸は……全身から鬼気迫るオーラを溢れださせる、さながら鬼そのもの。
そんな鬼丸を見て、刃皇は不敵に笑うのです。
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さぁ、鬼退治と行こうじゃないか……!



と言うわけで、まさかの展開を迎える本作。
今までの本作は、その体格差を乗り越える為、ひたすら鍛えて限界を越えようとした潮火ノ丸を描いてきたものでした。
ですが今回の戦いは、その限界を越えようとした結果、間違えた方向に進んでしまった鬼丸が敵かのように描かれています!!
刃皇が鬼丸の目を覚ます。
それは鬼丸の力士寿命を延ばし、礼奈と本当の意味で結びつくこととなるでしょう。
しかしそれは、刃皇が鬼丸に土をつける、と言う事にもなるはず。
鬼丸は今場所なんとしても刃皇を倒して優勝し、その引退を防ぐと言う大目標があるわけで……
鬼丸が目を覚ませば、その目標は一気に遠ざかります。
かといって刃皇を倒せば、この限界を超え続ける相撲を取り続け、下手をすれば今場所すらも乗り切れないかもしれません。
一体このどちらに転んでも鬼丸が追い詰められてしまう二者択一は、どちらに転んでしまうのでしょうか?
もしかすれば、鬼丸が目を覚ましたうえで刃皇を倒す道もあるかもしれませんが、逆に鬼丸が負けたうえで目を覚まさない可能性もあるわけで。
この運命の一戦の結末、そしてその後鬼丸と礼奈が歩む道……是非ともその目でご確認ください!!!




今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!