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今回紹介いたしますのはこちら。

「金剛寺さんは面倒臭い」第3巻 とよ田みのる先生 

小学館さんのゲッサン少年サンデーコミックススペシャルより刊行です。


さて、樺山君と金剛寺さんの初々しい恋愛模様と、それを取り巻く大スペクタクルな本編とは大きくかかわりのない事件を描いていく本作。
今巻でも様々な事件が巻き起こっていくようですが……?




ある日のことです。
あまりに突然ではありますが、天文観測員も気が付かないうちに、地球に直径300キロメートルという超巨大隕石が迫ってきておりました。
その隕石の軌道は通常考えられないもので、動きを予測することは不可能。
このまま地球にぶつかれば、人類の滅亡は間違いなさそうです。
当然世界中の人々はうろたえ、助けを求めるのですが…… 何せあまりに突然のことで、逃げる場所などどこにもありません。
世界は一気に混沌と化したのですが……
金剛寺家は至って平静。
日々我々が生きている事こそが奇跡なのだから、突飛な話ひとつで心を惑わせてはならない。
そう穏やかに語るお父さん。
金剛寺さんも落ち着いていまして、今日もいつものように学校に行って学びたいと思う、と一言。
妹さんも友達に会いたいから学校に行くと笑顔で言うのです。
朝ごはんを終えると、今日もいい一日でありますように、と合掌し、いつもの日常をスタートさせるのでした。

通学途中に出会った樺山君も、やはり家族でいつも通り過ごそうということになったそうで。
樺山君に会えてよかった、とニコリと笑う金剛寺さん、学校につきますと、それじゃあ放課後また、とそれぞれの教室へと向かいます。
樺山君が自分の教室にたどり着きますと……やはりというべきでしょうか、教室内は閑散としております。
同やら樺山君のクラスで登校しているのは、あまり交友が無い女子が一人と、親友のカオルだけの様子。
カオルはいた、うれしい、と笑いかける樺山君。
カオルはといいますと、こんな話をし始めました。
ちょっと突飛な話するけどさ、漫画や映画、ゲームなんかはいろんなジャンルあるじゃん?
でも例えば恋愛ものでラブやってる後ろにさ、怪獣とか幽霊とかヤクザの抗争とか滅多に出てこないじゃん。
俺は自分が日常物の主人公だと思ってた。何も起こらないくそ退屈な毎日を過ごして何も得ないまま死んでいくんだろうなーって思ってた。
そしたら隕石とか超ウケるし。現実はジャンルを超えてんなー。
そのお話は樺山君には今一つ理解できなかったようですが……
首をひねっておりますと、そこに教室に来ていた女子が話しかけてきました。
樺山君、少しだけお話しできません?
そう話しかけてきた彼女……交友が少ないとはいえ、名前くらいは覚えています。
天道修羅さん。
樺山君が名前を憶えていてくれた事を喜ぶ彼女、できたら外で話をしたい、と持ちかけてきましたので……無碍にもできない樺山君、カオルと帰りいつもみたいにお好み焼きを食べよう、と約束をして彼女と一緒に外に出るのでした。

いざ外に出てみますと、隕石がかなり近づいてきているのが見て取れます。
すると天道さん、こんな時だから勇気を出して言います、と早速話を切り出してきました。
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樺山君が好きです!!付き合ってください!!……と!!
仰天する樺山君に向けて、さらに続ける天道さん。
突飛な話じゃないんです、前にバスに乗っていたとき、後ろのおばあさんが小銭を落としたところに樺山君が通りがかって、拾っている間にバスが出ちゃって。
そのお金は10円玉に見えたけど、樺山君ずっと追いかけてた。
追いついたのは四つ先の停留所。
おばあさんにお金を渡すと、そのままバスを降りて元の方向に帰っていきました。
英雄(ヒーロー)が現れた!!って思いました。
それからずっと見てました。
道を聞かれたおじいさんに二時間付き添っていたこと、買い物するとき募金箱があると絶対募金している事、猫ちゃんが捨てられてたら絶対拾って飼い主を探してますよね。
冥王町の人、正直怖かったんだけど、樺山君はジャンルを超え、人は見かけによらず……
あ、見すぎてて気持ち悪いですよね……
そう言う天道さんに、樺山君もまた正面から見向きあって答えます。
とっても嬉しいです、
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でもごめんなさい!!
……天道さん、その答えもわかってはいたようです。
これだけ見ている彼女ですから、金剛寺さんとお付き合いしていることも知らないはずがないのですから。
そこで彼女は、もし自分の方が先に出会っていたら答えは変わっていたか?と尋ねてきました。
樺山君はしばらく考え……また、包み隠さず応えるのです。
僕はずっと、死にたいなあと思っていました。
優しい人もたくさんいるから内緒の気持ち、自分がこの世界にそぐわないってずっと思っていて。
だから隕石が来ても怖くはなかったんだけど、今朝いつもの道を歩いていたらドキドキしました。
金剛寺さんとさよならも言えなかったらどうしよう、そう思ったらむちゃくちゃ駆け足になっていて……いつもの場所にいた金剛寺さんが、ピカピカに輝いていました。
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理屈は分からないんだけど、金剛寺さんにしか思わない気がします。
これが答えになるかな……?
樺山君の気持ちは、きちんと天道さんに伝わったようです。
分かりましたと答えた彼女は、お願いを一つ聞いてくれないかと切り出しました。
これから大きな仕事をしなくちゃいけなくて、勇気が出るように握手してくれませんか?
おずおずと差し出される天道さんの右手。
その右手はふるふると震えています。
樺山君は……それもできない、と大慌てで謝り始めました!!
握手ってすごいんですよ、ブワーッといろんな気持ちが流れ込んできて、金剛寺さんとしたときは心臓が爆発しそうで……!!
アワアワとする樺山君の様子を見た天道さん、クスリと笑って……
樺山君が思っていた通りの人で良かった、もし私の手を握っていたら……
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殺していたかも。
どこか恐ろしさを感じる笑顔で、完全に恐ろしい発言をする天道さん!!
直後、天道さんは全力でどこかに走り去っていきました!!
言っちゃった、言っちゃった。殺すって言っちゃった!!
まるで告白しちゃった、みたいなテンションでそうつぶやく彼女でしたが……いつの間にかそのすぐ横に、なんだか奇妙な小さい顔のような物体が姿を見せていまして、「ヤバイヨ」と語りかけ始めます。
分かってる!
そう答えた彼女は校舎の屋上に躍り出まして、その物体に呼びかけます。
コアビちゃんお願い!!
するとそのコアビとやらは、バック里と大きな口を開け、フープ状に形を変え……天道さんを頭から呑み込みました!!
コアビに飲み込まれた天道さん、もうもうと立ち込める煙から姿を現すと、その姿は……さながら変身ヒーローのそれへと変わっております!!
そしてコアビに隕石の表面の様子を映し出させますと、その表面に何やら鬼が張り付いている様子が見えました。
やっぱり鬼、鬼は許さない。
彼女がそうつぶやきますと、コアビは「火車」なる金棒のような形をした乗り物を出現させました。
天道さんは火車に乗り込み……猛然と隕石の方へと突っ込んでいき……
そして!!!!



というわけで、思いもよらない新キャラクターが登場する今巻。
今までも様々な大事件が巻き起こっては、愛の力が作用したりしなかったりして解決していきました。
そんな中でも今回の出来事は一番の大ピンチだったといえましょうが……ここで天道さんという思いがけない存在が登場することとなります!!
天道さん、その正体も気になるところではありますが、彼女が樺山君に対してこれからどう接していくのか、というところこそが本作で重要な部分なのではないでしょうか!?
完全につけ入る隙のないカップルである二人ではありますが、何やらその恋愛感情以外にも鬼に対して思うところがあるらしい彼女がこれから何かを巻き起こさないはずがありません!!
これから先の樺山君と金剛寺さんの関係と共に、天道さんの動向にも注目していきたいものです!!

今回紹介したエピソード以外も注目のお話は満載!
二人がとうとう初チッスに臨むことになるお話、金剛寺さんの柔道をメインにした将来のあれこれを詳らかにしてしまうお話、意外すぎるあの人物の過去のお話、樺山君の出自に迫る今後のカギの一つとなりそうなお話……
どれをとってもドラマチックでありながらほっこりするお話ばかり!!
漫画技法的にも面白い試みがされているエピソードもありまして、今回も読者を飽きさせない、愛と輝きに満ち満ちた一冊となっているのです!!



今回はこんなところで!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!