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今回紹介いたしますのはこちら。

「彼女はお義父さん」第2巻 川田大智先生 

エンターブレインさんのハルタコミックスより刊行です。


さて、崖からの転落をきっかけに、詩織とお父さんが一体化するという大事件が巻き起こってしまいました。
しかも詩織と付き合っている小野が彼女に触れているときだけお父さんと入れ替わる、という難儀な体質に!!
二人が元の二つの体に戻れるかもしれないその日を夢見て、小野の全面協力を得ながら、詩織の学生生活とお父さんの作家業の両立を目指すのですが……?



基本的には小野が触っている間だけお父さんの体になる詩織。
なのですが、小野の体の一部……髪の毛一本でも体に触れていれば、とりあえず1時間ほどはお父さんのままでいられることがわかりました。
そんな特性もフル活用し、小野の負担とお父さんのやきもきは僅かながら軽減されることとなったのでした。

そんなある日のこと、小野は昔から大ファンである映画監督が来場する試写会のチケットを手に入れることができました。
憧れの監督の生のコメントが聞けるのはその日だけ。
是非とも行きたいところなのですが、なんとその日はお父さんの絶対にはずせない大切なサイン会が完全に被ってしまっているのです。
最初はおとなしくあきらめようとした小野ですが、実は小野がその監督に心酔しきっていることをお父さんも知っていまして。
自分のためにその大好きな監督に会えるチャンスをあきらめようとする彼の心根、そして彼の可能性を自分のせいで摘んでしまうかもしれないという引け目を感じ、お父さんは何とか小野を試写会に活かせてやりたいと考えます。
そこで……お父さんは、毛の効果が切れて詩織に戻りそうになったその時、自意識を強く持つことによって詩織に戻ることをすこしだけ耐えることができる、という特性を延ばすことを決断します。
徐々に徐々にならすことによって、ついにその効果時間は3時間20分にまで延ばすことに成功!!
これならばなんとかサイン会の間はぎりぎり耐えきることができそうだ、というレベルに達したのでした!!

二人は行き先がわかれるぎりぎりの、駅のホームで分かれます。
お父さんはその別れ際、不安がぬぐいきれないといった表情の小野にこう言い含めました。
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今日君がすべきことはなんだ?
いいか、これまでの私の特訓を無駄にしたくなければ、絶対に戻ってくるな。
お父さんの固い決意と、小野を思っての言葉。
それを感じた小野は、ようやく踏ん切りがついたようで……
手を離して電車に乗り込むお父さんに、ありがとうございます、と告げて試写会に向かうのでした。

サイン会にやってきたお父さん。
長くてもせいぜい3時間くらいだろう、と踏んでいたサイン会なのですが、こんな時に限ってサイン会は大盛況!!
新作が大好評で若い世代も来場している、というこの状況、作家としてはうれしいはずですが……やはりよりによって、という感情も持ち上がってしまいます!!
鏡で自分の顔を見つめ、大丈夫だ、人前に出ることでむしろ自意識は高まっている、と自分に言い聞かせるお父さん。
ですが、個々で思いもよらない障害がお父さんの前に立ちはだかるのです!!
担当さんが雑談などで詩織の名前を出す度、
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一気に詩織化が進んでしまいそうになる、という……!!
自意識を強く持ちなおすことにより、なんとか耐えることができはしますが、この調子で何度も詩織の名前を出されればどうなってしまうかわかりません!!
担当さんにはとりあえず詩織の名前は出すな、と言って当面の危機は免れた、かに思えたのですが……!?

サイン会が始まって2時間後。
当初の不安はどこへやら、順調にサイン会は進んでいきます。
ところがそこで、詩織の友人である篠原がやってきてしまったのです!!
当然彼女の口からは、話の流れで詩織の名前が出てくるわけで。
なんとかかんとかぎりぎりで詩織化は防ぐことができたのですが、サインした後に篠原が言ってくれたこんなセリフが更なる窮地を招くのです!!
これ、詩織にはいうなって言われてるんですけど、詩織、おじさんの作品全部読んでますよ。
詩織もああ見えて意地っ張りなところあるからなかなか素直になれないみたいですけど、一番好きな作品の話とか、時々だめだししたりとか、なんだかんだ言いながら楽しそうに話してて。
私ずっと思ってたんです、お父さんのこと本当に尊敬してるんだなぁって。
……知らなかった、詩織がそんな風に私の事を……
胸に感動が込み上げてきたお父さん。
もっと聞きたい、でもそうすると詩織化が進んでしまう!!
お父さんは書店用にサイン本を何冊も作って自分の名前を書くことで自意識を強め、さらに詩織の話を聞くといういばらの道を選びます!
篠崎は何も知らず詩織のお父さんに関するエピソードを話すのですが……
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もうどうしようもないくらい詩織化力が強くなり、お父さんはものすごい形相になってしまうのです!!
それでも詩織の話を聞こうと歯を食いしばって自意識を強くするお父さん、なのですが……!?

ほどなくして、小野がサイン会の会場である書店に駆けつけます。
やはりいてもたってもいられなくなり、上映前の監督の挨拶だけ聞いて、映画館を飛び出してしまっていたのです。
不安いっぱいの中、サイン会の会場を見回すと……サイン会は終わったところで、お父さんも当然のようにそこにいました。
戻ってくるなといっただろう、とお父さんは小野を注意するのですが……なんだか様子がおかしいです。
それに気が付かず、小野はもう4時間近くたつのに余裕で姿を維持できてるなんてすごいじゃないですか、とお父さんに言うのですが……
お父さんは、ここでとんでもない事実を明らかにするのです!!
喜んでいる場合ではない。
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詩織に、戻れなくなってしまった。
……まさか、詩織はこのまま、消えてしまうのでしょうか……!?




というわけで、詩織が出てこなくなってしまうという衝撃の展開を迎える本作。
詩織はこのあと、どうやってお父さんの中から出てくるのでしょうか。
そしてこのまま、二重生活を続けることとなるのでしょうか?
この栞消失事件をきっかけに、事態はみるみると変化!!
怒涛の展開が連続し、物語は急転直下!!
クライマックスを迎え、まさかまさかのフィナーレを迎えるのです!!
コメディをメインに、時折ぐっと感動を込み上げる展開を見せてくれる本作でしたが、そんな本作が迎えるフィナーレもまた感動+コミカルで楽しませてくれます。
最終回近辺は涙なくしては見られない……と思わせておいての最後のオチは、笑えるやら感動するやら……
本作でなければ見ることのできないラスト近辺の流れはまさしく必見!!
是非とも皆様の目でご確認下さい!!



今回はこんなところで!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!