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今回紹介いたしますのはこちら。

「シャドーハウス」第1巻 ソウマトウ先生 

集英社さんのヤングジャンプコミックスより刊行です。


さて、「黒」で先生ならではの世界観を見せてくれたソウマトウ先生の最新作となる本作。
本作はそんな「黒」とどこか似た雰囲気を持つ、不思議な味わいのあるお話になっていまして……



あるところに、貴族のまねごとをしている者達が住んでいました。
人々は誰もその者達の顔を知りません。
何故なら、顔がないから。
そこで彼ら、「シャドー一族」は、自分たちの「顔」の代わりとして、「生き人形」を従者として従えることにしたのです。



ケイト・シャドーに仕える生き人形のエミリコは、今日も掃除をします。
機能もしましたし、明日もするでしょう。
なぜなら彼女の敬愛するご主人様、ケイトは……
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黒いから。
ケイトの体からは時折、煙のようにすすが立ち上ります。
するとそのすすは当然天井や壁にこびりつき、部屋に汚れをつけます。
エミリコは文句ひとつ言わず、献身的に掃除をするのですが……彼女の目下の悩みは、ケイトとどう接していいのかよくわからない事。
仕える身としては、主人のさりげない仕草から何をして欲しいのか読み取り、先手を打って奉仕したいところ。
なのですが、なにせその主人の顔はただただ黒く、表情どころか顔そのものがないわけで……
エミリコは、じっとケイトの顔を見つめる子尾しかできないのです。
するとケイト、エミリコにあんまり顔を見つめないでくれるか、と言ってきました。
ごめんなさい!とすぐ顔をそらして謝るエミリコに、ケイトはこう続けます。
ケイトね、人の目を見て話すの苦手なの。
そんなケイトの話を聞き、エミリコはこうアドバイス。
おでこのあたりを見ながら話すと目が合っているように見えませんか、と。
……ケイトは素直にそのアドバイスに従い、こうかしら?と一言。
エミリコはそんなケイトの顔をじっと見つめ……はい、こっちを見ているように見えます!とにこやかに笑いかけるのです。
しかしケイトは不意とすぐ横を向いてしまいます。
まあわからないでしょうけど。
嘘をつかなくていいわ。
シャドーの顔は、だれにもわからないから……
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ケイトの表情はわかりませんが、きっとその時彼女の顔には寂しさが浮かんでいたことでしょう……
ケイトの頭からはまた、黒いすすが立ち上り……エミリコは再び掃除に戻るのでした。

ケイトは洗面所にたち、顔を洗います。
タオルで寝れた顔を拭うと、タオルはすすで真っ黒に汚れてしまいます。
今日はこんなにすすが……
そう呟くケイトですが、そこでエミリコは、タオルにすすで顔の方チゲ出来ていることに気がつきました。
わぁ、タオルにお顔がうつってますよ!
そう言ってタオルのすすを見ようとするエミリコなのですが、ケイトはそんなエミリコに見ないで!と強く否定の言葉をかけるとともに、手でドンと突き飛ばしてくるのです。
自分が軽率なことをしてしまった、と反省したのか、慌ててその場を離れて総司を再開しようとするエミリコ。
そして、不意の事だったとはいえ、突き飛ばすのはやり過ぎたと反省していると思しきケイト。
ケイトはうつむき加減で、そっと顔を横にそむけるのです。
と、そこでまたエミリコは気が付きました!
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顔!!
横顔なら、表情がわかるかも!
わらってください!!
エミリコのそんな言葉にほだされて、早速笑ってみるのですが……
お上品なほほえみでは、横顔で伺うことは出来なさそう。
そこでエミリコはこんな風に派手に笑ってもらえます?と大口を開けて大笑いをするのですが……
ケイトは、何もないのによくそんなに笑えるわね、凄いわ、と想定とは違うところで感心したり。
すっかり緊張の糸もほぐれたのか、さっきは叩いたりしてごめんなさいね、と謝罪もするものの、エミリコはいえいえ、と気にしていないそぶりを取って物の……叩かれましたっけ?と本気でこのことを覚えていない様子。
そんなエミリコにケイトは、こう語りかけました。
あなたの言う通り大事だわ、横顔。
それにお洋服。
そしてエミリコが、ケイト・シャドーにとって大切な「個性」だから……

ケイトにとって自分が大切だ、と言う言葉を聞き、一層気合を入れて頑張ろうとするエミリコ。
ですが作業中、つい口を滑らせてこんなことを行ってしまうのです。
やっと綺麗になった、ケイト様からすすも出なくなったし。
慌てて口をふさぎ、失礼なことを言いました、と深々と頭を下げるエミリコ……なのですが、圭とは別に失礼ではない、と言いました。
「すす」は、怒ったり、よくない感情の時に出るの。
……先ほど時折すすを出していた時のケイトは、不安に似た負の感情を抱き、すすを出してしまっていたのだとか。
それを聞くとエミリコは、じゃあ今は私といることに不安が亡くなったのですね?と嬉しそうに尋ねてきまして……
ケイトもまた、そうかもね、と答えてくれたのです。
瞬間、エミリコは声を張り上げて言いました!
笑った!今わかりました!!
エミリコには、真っ黒で見えないケイトの顔がにこやかに微笑んだのが見えたのでしょう。
……ですが、その言葉を聞いてケイトは、くるり、とエミリコを振り返ったのです。
…………今までケイトは、後ろを向いていた、と言う事。
ケイトは本当に笑顔だったのかもしれませんが……とりあえず笑ったように見えたのは、エミリコの気のせいだったと言う事のようで。
あ、後ろ向きでしたか……とバツが悪そうに言うエミリコに、服の向きで気付きなさい、と漏らすケイト。
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ケイトの頭からは、またちょっぴりすすが出てしまうのでした。



と言うわけで、またまたソウマトウ先生でなければ描けない、不思議な関係性の二人を主役にした日常ものとなる本作。
「黒」ではクロとココの穏やかな日常の裏に潜んでいる真実を、読者の想像を掻きたてつつゆっくりと描いていくお話となっていました。
和やかな空気と不穏な気配が両立する不思議な読後感のある物語で、最初から最後まで読者を楽しませてくれた「黒」ですが……
本作もまた、何やら恐ろしい気配のする物語と、ケイトとエミリコの二人が心を通わせていく和やかな物語、その二つが同時に存在する興味深い内容となっているのです!!

「シャドー一族」と言うあまりにも謎の多い種族で、その真実をあまり本人も知らなさそうなケイト。
そのケイトに従うと言う命令を第一に考えながらも、決して意思のない、ただの人形などではないエミリコ。
その二人にも気になる点が様々見え隠れしておりまして、暖かな気持ちになりながらも、その裏にあるものを想像して胸がざわめく展開はソウマトウ先生ならでは!
今巻では二人の関係性をしっかり描いていきつつや、この屋敷の構造を徐々に明かしていくのがメインとなっておりますが、ところどころ恐ろしさを感じる要素も見え隠れ。
さらに今巻の最後に収録されたお話では、その少しずつ感じていた不穏な空気が間違いではないことがわからされてしまう、驚愕の演出も……!!
本作もやはり目の離せない物語となっているのです!!



……余談ですが個人的には、せっかくweb連載ではフルカラーなので、お値段プラス300円くらいしてもいいので単行本もフルカラーにして欲しかったな、と思ってみたり……!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!