is0
今回紹介いたしますのはこちら。

「アイドルの姉が死にました」第1巻 エトオミユキ先生 

スクウェア・エニックスさんのガンガンコミックスUP!より刊行です。


エトオ先生は98年になかよしの増刊でデビューしたベテランの漫画家さんです。
代表作となるのは人気アニメのコミック版を手掛けた「地獄少女」シリーズで、アニメとともに息の長い人気作となりました。

そんなエトオ先生の最新作となるのは、アイドルをメインに据えた復讐劇。
この単行本と同日に同じレーベルで同じような「アイドルがらみの復讐劇」である「イジメカエシ。」が発売されておりますが、そちらとはまた一味違った復讐劇となっております!!


「U.プリンセスくる」
そんなメールを残して、
is1
アイドルグループ「U.(アンダー)プリンセス」所属の少女、一ノ瀬奏は死にました。
高所からの転落死。
事故とも自殺ともとれるこの詩を一番悲しんだのは、彼女の一番のファンであり、かつ妹である玲でした。
物言わぬ彼女の体に寄り添い、お姉ちゃんかわいそう、痛かったね、私がいたいの治してあげる。
そう言って、奏を抱き寄せ、いたいのいたいのとんでいけ、と繰り返し、繰り返しとなる玲。
繰り返し繰り返し、何度も何度も、何度も何度も、何度も何度も……
ですが幾度繰り返しても奏は二度と目を覚ますことはなく……
玲はあまりに残酷な現実に打ちのめされ、泣き暮れるのでした。

奏が死ぬ直前の喰った、謎のメール。
メンバーと何かあったのか、それとも……?
玲はそんな疑念が渦巻く中、U.プリンセスがらみの動画を見ていました。
その動画は、なにやら奏の部屋がばれてしまい、ストーカーからプレゼントが届けられた、と言う衝撃的な内容の様子。
再生してみますと、奏の部屋でくつろいでいるU.プリンセスの面々が談笑している様子から始まっていました。
ほどなくすると何やら呼び鈴が鳴りまして、誰か来たのかと玄関へ向かう奏。
するとそこには誰の姿もなく、代わりにドアノブに何やら袋がぶら下がっていました。
袋の中身を検めてみますと、中に入っていたのは

蝶の標本に奏の写真を貼った物に、「今日のメイクはクジャクチョウみたいで素敵だね。似合ってるよ。」と言う超のキャラクターのマーク付きのメッセージカードをつけたものでした。
……ストーカーです。
奏はこのところストーカー被害に悩まされていたようで、この贈り物が初めてではなかったのです。
この他にも、ゴミをあさられたり、ポストに手紙を入れたり、奏の個人情報をネットに流したりと、数々の被害を受けていました。
それでも奏は、警察沙汰にはしたくないから、と耐え続けていたのですが……
そんな痛ましい様子を記録した動画を見ていた玲、あることを確信しました。
動画の中に見られるいくつかのファクター。
それらを統合し……
ストーカーが誰なのか、それがわかったと言うのです!!

玲は、奏の死の真相を暴き、復讐をするために立ち上がります。
彼女はある事情によって、長い間引きこもっていました。
引きこもってしまった妹に、いつか自分のライブを見に来てもらう。
奏がアイドルになった理由の一つには、そんな目的もあったのです。
期せずしてその目的は果たされることになったわけですが……

奏を追い詰めた人物は必ずここに来ている。
そう確信し、玲は奏の告別式にやって来ました。
そこには多くの親戚も集まっていまして、玲や奏に心ない言葉を投げかけるものも少なくはないようです。
そのうちの一人の中年の男は、こんなことを言いだします。
お前の姉ちゃんもどうせアイドルだの調子乗って、酒やら煙草やら、枕してた癖に。
それで妊娠して自殺したんじゃないのか?
姉妹二人とも出来損ないじゃ、こいつが小学生の時人を殺しかけた事、みんな知ってるだろう。
それに比べてうちの息子は優秀だ、東京の大企業で働いとるのにわざわざ葬式に来てくれたんだ、感謝しろよ!
……あまりの言い草にカッとなった玲、思わずビール瓶を握り、その親戚の男に殴りかかろうとしてしまいます!!
が、そこで止めてくれたのは、奏の担任だった学校の先生。
奏も玲もそんなことをする子じゃない、とかばってくれ、その場は事なきを得たのです。

騒ぎを防ぐため、近しいものにしか伝えず、マスコミにすら公表していなかったこの告別式。
だと言うのに、なぜかマスコミが大挙して押し寄せてきます。
どこでこのことを嗅ぎ付けてきたのか?
驚く親戚たちでしたが……玲はこの騒動の犯人が誰かわかっていました。
なんとその犯人は、あの東京の大企業で働いている親戚の男!
面白半分、そしてアイドルとして成功しつつあった奏への妬みで情報を拡散し、騒ぎを起こしていたのです!!
たまらず逃げ出した男。
男は誰にも見つからない、彼だけの秘密基地、廃工場に逃げ込んだのですが……
玲と先生はすぐにそこも見つけてしまいました。
何故なら男はSNSで、以前自分自身でこの秘密基地の事も呟いていたから。
奏と同じように、自分もSNSで情報を探られてしまった……
完全に逃げ場を失った男は、なんと自らの体に傷をつけ始めました!!
最後の悪あがきです。
怒り狂った玲に殺されかけたと吹聴し、玲も道連れにしてやろうと考えたようで……
いくらなんでも、警察もそれを信じてしまうような調査はしないはず。
仕方ないとばかりに先生は救急車を呼ぼうとするのですが……そこで、玲はこう言うのです。
先生、
is2
お姉ちゃんが死んだ日もストーカーしてましたよね。
……そう、ストーカーは先ほどの男だけではなかったのです。
奇妙なプレゼントに添えられていたメッセージに押されていたスタンプ。
それは、かつて奏が苦手な寡黙で初めて満点を取った時、一度だけ使ったスタンプだったのです。
奏の事なら何でも知っている、玲だからこそ分かるそのか細すぎる手がかり。
それを頼りに、自分までたどり着いたことに敬意を表したのでしょうか。
先生は自らそれを認め、自分がいかに奏を観察し、信奉していたかをうっとりと語り始めたのです。
ですが、こっそりとあのメッセージを送った後、奏はああなってしまった。
だからこれからは玲を観察することにした、と言いだし始め……!!
君と奏ちゃんは似てないよね、奏ちゃんが世界一美しいモルフォチョウなら、君は地味なクロアゲハだ。
これから僕が奏ちゃんと似てるところを探してあげる。
足の関節は似てるね、でも他はどこも似てないなぁ。
そんなことを言いながら、先生は玲を裸にして、さらに奏と似たところを探そうとするのですが……
そこで、玲は突如として笑いだすのです。
この程度で観察してたなんて笑わせないで、お姉ちゃんを誰よりも見てたのは私よ。
ねぇ先生、「いたいのいたいのとんでいけ」って知ってますか?
本来はただの気休めですけど、本当に飛ばせたらどうなると思います?
そう言って、玲はあの大企業の男を指してから、こう唱えだすのです。
あの人の、いたいのいたいのこの人のところにとんでいけ。
すると……何と言う事でしょう。
立てかけてあった鉄パイプや古い足場が突然揺れ動き始め……
一斉に崩れたかと思うと、意思を持っているかのように
is3
先生の体を串刺しにしたのです!!
大企業の男はあくまで本命をおびき寄せるための餌。
玲からすればこの男も殺してやりたいところですが、プライドの高いこの男がやってきたことがこの後明るみに出れば、社会的に死んだも同然でしょう。
これで、玲は次のステップに進むことができます。
姉が死んだあの日、姉のところに来た人物を探し出して……全員、自分の手で……!!
と、その時でした。
見慣れない男が現れ、返り血で真っ赤になった玲の手を取ってこうささやいたのは。
僕はU.プリンセスのプロデューサーです。
is4
迎えに来ました、お姫様。
……そう言ってこの男は、玲にとんでもない誘いをかけてきたのです。
アイドルに。
U.プリンセスに加入しろ、と……!!




と言うわけで、アイドル活動と復讐劇が同時に幕を開けることになる本作。
全ては死んだ姉の復讐のため、自分の全てをなげうって外へと出た玲ですが……
何故かアイドル活動もきちんとやらざるを得ないことに。
引きこもりでまともに外の事は知らないながら、誰よりも姉のことを観察し続け、誰よりも姉のことを知っている例ですから、アイドルの「動き」だけは完璧に頭に叩き込んであるわけで。
そしてその奏の妹ですから、ルックス的にも磨けば光ると言うやつで、そちらに関しては真面目に打ち込めば問題はなさそうです。
なさそうですが、あくまで玲の目的は奏の復讐のみ!!
その復讐の相手は、アイドルを支えるべき裏方かもしれませんし、熱心、と言うよりも熱狂的なファンかもしれませんし、同じアイドル……ともすればU.プリンセスの中にいると言う可能性すら捨てきれないでしょう。
その犯人の正体が、玲の予想を超えた人物だったりしたとき、彼女はどうするのか……
そんな要素の加わった、アイドル復讐劇となるわけです!!

本作の肝は当然誰が何のために奏を追い詰めたのか、そして奏は他殺なのか自殺なのか、と言うところでしょう。
ですがその調査と復讐を進めていく玲に備わっている謎の力、「いたいのいたいのとんでいけ」も気になるところ!!
深層を探る調査や奏の死に絡む部分はこれでもかと言うくらい現実的にもかかわらず、ここだけ明らかに現実離れした能力となっている玲の力も、きっとこれから先の鍵となるはず!!
こちらも注目必至です!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!