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今回紹介いたしますのはこちら。

「異世界のトイレで大をする。」第1巻 ルーツ先生 

秋田書店さんのヤングチャンピオン烈コミックスより刊行です。 


ルーツ先生は08年ごろから実況動画の配信者として活動を始め、09年よりそちらの流れでwebマガジンで四コマ漫画を執筆、漫画家としてデビュー。
自信でも漫画を描きながら漫画原作業も手がけられておりまして、原作者として手掛けられた「てーきゅう」 はアニメ化も果たした人気作となりました。

そんなルーツ先生の最新作となる本作は、今が旬の異世界転生もの。
ですがそのタイトルから伺えますように、トイレという転生ものならずともなかなかピックアップされることのないモノをメインに据えた作品となっているのです!!




細かいことは置いておきまして、ヨータローは異世界に飛ばさました。
もはやおなじみの、剣と魔法のファンタジー的な世界観のその異世界で、ヨータローはギギーとヌラエルという二人の冒険者の女の子と共に旅をしています。
その場に早速、スライムが現れました。
こちらももはやおなじみのモンスター、姿を見るなりギギーは得意技、炎舞剣(フレイム・カンチャルス)であっさり蹴散らしてしまいました。
バラバラになって息絶えたスライム。
死んだあとでもその体はプルプルで……匂いはほぼ無臭、毒の類もなさそうです。
じっくりとそのスライムを観察していたヨータローに、ギギーはおそるおそる「食う気か?」と尋ねました。
モンスターを食べる食事漫画も人気を集める昨今ではございますが、そこまで職に追い詰められているわけではないヨータロー、当然モンスターなんて食べるわけがありません!!
何せ下手をすれば人を殺して捕食しているのかもしれませんし……
僕のことを何だと思ってるのさ、とヨータローはご立腹です。
……が。
そのあとに続いたヨータローの言葉を聞くと、やっぱり彼が普通ではないことを思い知らされてしまうのです。
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おしりふくのに使ってみるだけ!
……一瞬、聞き間違いかと思ったギギー。
ヨータローは聞き返してくる彼女をスルーして、町に戻ってスライム討伐の報酬をもらおう、とスライムを抱えて歩き出すのでした。

スライム討伐はまあまあの実入りとなったようです。
お金は心を豊かにするね、と笑いあう三人。
ギギーは、自分は新しい短剣が欲しいんだけど、このお金で何を買おうか、と来るショッピングに心を躍らせております。
ですがヨータロー、その前にちょっと行くところがある、と言い出しました。
それは……カジノ!!
せっかくのお金をカジノで使うのか、自分は賭け事は嫌いだ、と異論を唱えるギギー。
ですがヨータロー、カジノで賭け事をするつもりではありません。
ではなぜカジノに行くのかといいますと……トイレを借りるため、なのです。
古今東西どこでも、とばく場のトイレが一番きれい、パチンコ屋のトイレみたいなもんだよ、と自信ありげに語るヨータロー。
確かに賭け事をするところはお店のイメージをよくするためにトイレをきれいにしていることが多いとか……
当然パチンコ屋何で知るはずもないギギーとヌラエル、全くヨータローの言葉は理解できないのですが、ヨータローは二人に何かおいしいものでも食べてて、と分け前を渡し、一人カジノに向かうのでした!

広い個室、清潔な便器、リラックスできる抗争やハーブの香り。
個々が異世界で一番いいトイレだ、と一人カジノのトイレでうっとりするヨータロー。
日とは一生のうち三年はトイレで過ごすという話もあります。
ですから彼は、トイレの時間を大切にしないやつはバカだ、という持論を持っております。
少しでも快適なトイレライフを楽しみたいヨータローなのですが、いくら異世界で一倍いいトイレに来ているとはいえ、所詮は剣と魔法の世界、中世ヨーロッパ的なレベルの技術しかありません。
お尻を拭くために用意されているのは安価な葉っぱですし、ウォシュレットなどあるはずもありません。
そこでウォシュレットの代わりにならないかと考えたのが、
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スライムというわけ!!
期待に満ち満ちた表情でおしりにスライムをあてがうヨータロー。
その感触は……ひんやり冷たく、でも冷たすぎない、よく濡れたスポンジといった感じでしょうか。
あまり感じたことのない感触ですが、決して悪くありません!
なかなかの拭き心地に満足のヨータロー、後処理もこのまま捨てればいいだけだ、とおしりを拭いたスライムは便器の中に廃棄。
久しぶりにいいトイレをした、と立ち上がるのですが……その時のことでした。
スライムの破片にわずかに命が残っていたのでしょう。
小さなひとかけらがぴょんと便器から飛び出し、
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ヨータローのズボンの中にもぐりこんだのは!!

異世界の人間はみんなトイレにこだわるのかな、などと言いながら食事をしていたギギーとヌラエル。
ちょうどその時ヨータローが戻ってきましたので、とりあえずどうだったと尋ねてみますと……
とてもいい顔で親指を立てるヨータロー!!
今一つその感情は理解できませんが、とにかく二人はよかったね、と声をかけるのです。
次もまたスライム討伐しよう!と、その下心が伺えるよーたりーの誘いには突っ込みをせざる得ないのですが!!

さて、おしりからヨータローのおなかの中にまでもぐりこんでいたスライムはといいますと……ヨータローの胃の中の食べ物を捕食し、どんどんと成長していました。
そして夜が明け、朝になりますと……ヨータローのは猛烈な腹痛に襲われます!!
食べすぎとかそういった次元ではないその痛みに耐えかね、やむなく手近なトイレに駆け込むヨータロー。
切羽詰まったそんな時でも、個室の仕切りがなく、便座が冷たく、匂いも強いトイレへの不満がわいてくるヨータローではありますが、背に腹は代えられません。
何やら強烈な手ごたえのあるおしり、どれだけ踏ん張っても何かが出る様子はなし。
ヨータローはあらんかぎりのパワーを込めて放出を試みまして……
雄叫びと共に気合一閃!!
ものすごい勢いで
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おしりから成長したスライムが飛び出してしまうのでした……!!



というわけで、異世界で快適なトイレ生活を求めて(?)旅をするヨータローの日々を描く本作。
この後も、理想のトイレを求めてヨータローの戦いは続くのです!!
一応モンスターを倒すクエスト的なものをこなし、生活を成り立たせているヨータローなのですが、なかなかうまいこと物事は進みません。
異世界ならではの、魔法的なものを使ったトイレなど、面白いものもあるのですが、やはりかつての快適だったトイレとは比べるべくもないのです。
ではどうするかといいますと、そんな夢のトイレ実現のために使えそうなものを探すわけです。
今回はスライムでしたが、この後も理想のトイレを求め異世界での代用品を探してみるのです!
更にそれだけで飽き足らず、異世界のトイレ文化をちょっと研究してみたり、ダンジョン内でトイレを探してさまよってみたり、あげくの果てにトイレ掃除に打ち込んでみたりと、トイレに対しての情熱はさめやることなし!!
ヨータローの異常なまでのトイレ愛と、それにちょっと引きながらもなんだかんだ付き合ってくれるギギーとヌラエル、その三人の冒険が楽しめるわけです!!

こういった作品のお約束として、主人公は元の世界で「どこにでもいる学生」となるのが基本ですが……本作は自称どこにでもいる学生、その実態はトイレにだけ異様に情熱を燃やす学生!
ついつい世界を救ったり、意識しないうちにまた何かやっちゃったりもする気配はございません。
……が、そっちの方を担当してくれそうな別の異世界転生者が登場してお話に絡んでくるのも本作独自の味といえましょう!
更に根幹のラスト近辺ではいきなりとんでもない展開が待っているなど,トイレがらみのドタバタやうんちくだけではない要素も用意されているのです!!
無双はしませんが、トイレ愛とちょっぴり気になるストーリーがそこにある。
本作はそんな作品です!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!