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今回紹介いたしますのはこちら。

「二コラのおゆるり魔界紀行」第2巻 宮永麻也先生 

エンターブレインさんのハルタコミックスより刊行です。 


さて、魔界に迷い込んだ魔法使いの少女ニコラと、彼女に振り回されながらも世話を焼いてくれる悪魔族の行商人サイモンの 道中を描いていく本作。
商売のにおいをたどって魔界を旅する二人ですが、今回の旅で思いもよらない出会いをきっかけに、ある目的ができるようで……?



ニコラとサイモンは、うっそうとした森の奥地にあるという、ズモモ族の村を目指し歩いていました。
一向に見つからないその集落、本当に存在するのかすら怪しみ始めるサイモン。
目指すズモモ族の村というのは、少し前に立ち寄ったある街に暮らしているサイモンの父親、トビーから寄ってみろと言われた村でして、その村には「金色の盃」をはじめとした財宝がたくさんあるのだとか。
いい取引ができるかもしれない、寄ったら土産話を聞かせろ、と言われまして、二人は村を探し歩いているのです。
ここまで大分たっぷり探しましたが……ここまで探しても見つからないとなると、いい加減あきらめたくもなってきます。
サイモンはデマだったと肩を落とすのですが、ここでニコラの方がやる気を見せてずんずんと森を分け入って歩き始めました。
ニコラのお目当ては財宝などではなく、結局村を見つけられずにあきらめでもしたら、トビーにあきらめて戻ったと報告しなければいけないのが嫌だ、とのこと。
それを聞いたサイモンの脳裏に、根性ねえなと笑う父の姿が過ぎり……
面白くないサイモンは、ニコラの先に立って歩き始めるのでした!!

小高い丘を見つけたニコラ、あの上に立てば何か見えるかも、と駆け出しました。
が、その頂上に着く前に、突如として地面が揺れ始めたのです!!
地震……ではありませんでした。
小高い丘だと思っていたそれは、
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見上げるほど巨大な、毛むくじゃらの生物だったのです!!このままだと転落してしまう二人、必死にその生物にしがみつきます。
どうしようサイモン、と驚くニコラに、サイモンはとりあえずこの生物を刺激しないよう静かにしようとするのですが、時すでに遅し。
生物は二人の存在にとっくに気が付いていて、二人をがっしりとわしづかみにしたまま、どんどんとどこかへ向かって歩いて行ってしまうのでした。

ニコラのどこへ連れて行くのという問いかけにも、視線を送るだけで答えてくれなかったその生物。
やがてその生物がたどりついたのは、森の中の少し開けた場所でした。
生物が何やら大きな声で呻きますと、仲間と思しき同じ種族の生物たちがぞろぞろと姿を現しまして……気が付けばあたりをぐるりと取り囲むほどに増えていました。
こんなところに魔物の巣があるなんて聞いてないぞ、と冷や汗を流すサイモン。
とにかく何とか脱出しないとと知恵をめぐらせ、荷物の中に煙幕があったことを思い出します。
サイモンが煙幕を探している間、ニコラは生物たちが何かしてこないか見張っている、と仁王立ちして睨み付けるのですが……
気合が空回りしたのでしょうか、大きな音を立ててニコラの腹の虫が泣いてしまうのです。
得体のしれない生物相手でもさすがに恥ずかしいニコラ、ほほを赤らめておなかを隠すのですが、その謎の生物は突然、ニコラの頭の上にたくさんの何かをかけてきたのです。
……木の実、でしょうか。
その木の実を手にしたまま何やら唸り語を上げる生物。
ニコラは、生物たちにこれを食べてもいいのか、と聞いてみます。
どうせわかりっこないというサイモンなのですが、生物の唸り声のような返事に何かを感じたニコラは、その木の実を一つ口の中に放り込みました。
大丈夫、これ毒ないみたい、おいしい。
にっこりと笑いながら木の実をほおばるニコラ。
そして巨大生物たちも、次々に木の実を口に運び始め……
どうやらこの生物たちに敵意はなさそう。
そこでようやくサイモンも周りを気にする余裕が生まれたようでして、辺りを見回してみますと、巨大生物たちが農耕をしているさまが目に入ってきました。
こんな森の奥に畑を作るような優れた農耕技術を持っているとは、ただの魔物ではない。
ということは……こいつらが、ズモモ族!?
期せずして目的地にたどり着いた二人でしたが、いかに彼らが優れた知能を持った友好的な存在であろうとも、言葉が通じない相手に取引を持ちかけるのは難しそうだ、とサイモンは感じていました。
ですがニコラの方はそんなことを考えもせず、自分の名前を教え、コミュニケーションを取ろうとしています。
そこはさすがのニコラ。
言葉自体は通じていないかもしれませんが、ニコラはすぐにズモモ族と打ち解けまして、サイモンとの間に立って通訳めいたことをしてくれました。
サイモンは農耕をしていることに目をつけ、おしゃれな水差しを取り出しまして、これを使えば毎日楽しく水やりができる、とセールストーク。
ズモモ族の一人はその水差しを手に取り、じっと見つめたかと思いますと……
おもむろに自分の津野にその水差しをかぶせ、ポーズをとったではありませんか!
使い道は違いますが、どうやら気に入ってはくれたようです!
そしてズモモ族は、サイモンについて来いと促し、どこかへ向かい始めました。たどり着いた先は、光の差す大きなテーブルのようなもののある場所。
そのテーブルの上には、いくつかのものが並んでいます。
これが例の財宝か、と近寄ってみる二人ですが、おいてあるものはどれも旅人の忘れ物か捨てていったもの、とでもいうのような粗末なものばかり。
そんな中に一つだけ、きらりと輝く盃がありました。
これが金色の盃か、と手に取るサイモンなのですが……その盃、どうも金などではなく、値打ちものでもなさそうな感じ。
裏返してみれば、そこにこう記されていました。
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「ズモモ族へ トビー」。
……どうやらトビーの財宝がどうのというお話は嘘のようです。
トビーはこういうちょっとした……いや、あまりちょっとといった感じではありませんが、この手のいたずらをよくするのだそうです。
トビーのしたり顔が思い浮かび、苦い表情を浮かべるサイモン……
ニコラはズモモ族に会えたからいいじゃないか、とサイモンの機嫌を直そうとするものの、まんまとしてやられたサイモンの機嫌はまだ治りそうもありません。
と、その時、ズモモ族の栽培する花の一種が、ニコラが魔法で出せる花とよく似ていることに気が付きました。
ニコラの出せる花は、人間界に存在する一種類の花だけ。
ということは、この花は人間界の花、ということなのでしょうか。
ここに人間が来たのかもしれない、トビーはこれを見せたかったのかもしれない。
いたずらの中にトビーの思いやりを見つけたサイモン、意外に早くその機嫌が直りそうです。
ところが直後、機嫌が直るどころではないある物を見つけることとなりました!
ズモモ族が栽培していたあの花の種らしきものが入っている皮袋。
そこに、ニコラの見覚えがある模様の刺繍が施してあったのです。
ニコラが自宅の中で何度も目にし、おばあちゃんから「お母さんが考えたおまじない」なんだよと教えられてきたその模様。
これがある、ということは……
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この村に来た人間というのは、ニコラのお母さん……!?
さらにその皮袋の中には、ブローチが入っていました。
それはサイモンが見覚えのあるもので、とある村の民芸品なのだとか。
お母さんはその村に行ってから、ズモモ族の村に来たのでしょうか。
ニコラが生まれた後、すぐ死んでしまったお母さん。
ほとんど記憶のないお母さんが行った村に、自分も行ってみたい。
そして、お母さんがどんな人だったのか、その話が聞けたらどんなに素敵でしょうか。
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……ニコラの中で、この旅の新しい目的が生まれるのです!!



というわけで、思いもよらない場所で思いもよらない出会いを果たしたニコラ。
魔界で出会ったお母さんのかおりは、今まで以上にニコラを魔界の旅に駆り立てることは間違いないでしょう!!
ニコラの旅の中に、お母さんの面影を追い、お母さんの物語をたどるという新たな目標が生まれたことで、きっとこれから彼女の中で何かが変わってくるはず。
ただでさえ面倒見がよく、なんだかんだとニコラを気に入っているサイモンも、ぼやきながらもニコラの力になってくれるでしょうし……
今後の2人の旅に、様々な人や風景との出会いというもの以外の見どころができるわけです!!

そしてそんな大事なエピソードの他にも、様々なお話が収録されています。
このお話のあとには早速お母さんの人となりがわずかながらわかるエピソードが収録されていますし、ますます本作のせい快感は拡がっていきそうです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!