ar0
今回紹介いたしますのはこちら。

「アルカフス」第1巻 原作・村山渉 作画・御影夏先生 

富士見書房さんのドラゴンコミックスエイジより刊行です。


村山先生は02年にコミックブレイドにてデビューされました。
デビュー後はジャンプ改や電撃コミックジャパン、コミックバーズに週刊漫画TIMESと、実に様々な雑誌で連載された経験豊富な漫画家さんです。

そんな村山先生がネーム原作となり、「ゴーストライター」の御影夏先生とタッグを組んで生み出される本作、分類するならばいわゆる異世界転生もの。
ですが本作、転生するわけではなく……?



小高い山の上にある神社。
一人の少年が鳥居を潜り抜けると、そこには普通ならば決してありえないであろう少女が倒れていました。
全身は包帯だらけ、そして何よりも頭には犬か狐のような耳がついており、お尻にはしっぽが生えているその少女。
少年の姿を見つけると突然笑顔になり、抱き着いてきました。
ですがすぐ飛びすさり、地面に土下座するような体勢になって動かなくなってしまいます。
怯えているのか、怪我をしているのか……
少年は彼女に話しかけてみますが、言葉が通じていないのか反応がありません。
そこでポケットにあった飴玉を差し出すと……少女は受け取ろうと差し出した自分の手を見て驚きの表情を浮かべるのです。
その後飴玉を受け取ったのですが、すぐかみ砕いて飲んでしまいました。
飴を食べるのが初めてなのでしょうか。
もう一つ差し出して、舐めるんだよ、と教えるのですが……彼女は口に二つ目の飴玉を加え、口移しで少年に雨を渡してきて……!
直後、
ar1
彼女の体は激しく輝きだします。
その姿、突然の発光現象。
一体彼女は何者なのでしょうか。
まだ幼い少年はそこまで怯えたり、疑ったりはせず、そのまま彼女と秘密の友達関係となりました。
少年は彼女に名前を付けます。
しっぽがキュルッとなっているから、名前は……

10年の月日が経ちました。
あの時少年だった匡は、大学進学の進路相談をするような年齢になっています。
ですが彼にはあまり明確な目標と言うようなものがなくて、近場で学力的に見合う適当な大学を見繕っただけの進路を提出。
先生は、せっかく成績も良好なんだから、例えば匡の動物好きを活かした獣医や盲導犬の訓練士などの職業につける進路を考えたらどうなんだ、とアドバイスするものの……
匡はどこか上の空、その気にはならないまま相談を終えてしまうのです。

進路指導室を出ると、次の順番のクラスメイト、甲斐谷さんが待っていました。
ロングの黒髪が知的な雰囲気を醸し出す彼女は、匡にぼそりと、盲導犬の訓練士、いいと思う、と告げて中に入っていきます。
自分の主体性のない進路相談を聞かれていたことを少し恥ずかしく思う匡、ちょうどそのタイミングで妹の真里香からメッセージが入ってきます。
進路相談ちゃんとできた?
お兄ちゃんたまに上の空になるから気を付けなよ!
あまりにタイムリーなことがかかれているメッセージを見て、アイツどっかから見てるのか、と心の中で突っ込む匡ですが……どうやらお兄ちゃん大好きっ子らしい真里香、実際物陰から様子をうかがったりしているのでした!!

匡が上の空になっていたのは、相談の最中誰かに呼ばれた気がしたからでした。
あれは何だったんだろう、と考えながら下校しておりますと、ポケットの中に飴玉が入っていることに気が付きます。
これは……あの時と同じ飴玉?
あの日神社であった、しっぽがキュルッとなっていた……
そうだ、「キュルル」!
「匡、たすけて……!!」
キュルルが呼んでる!!
今まで忘れていた彼女の名前を思い出した匡。
その呼び声は気のせいではない、と確信し、すぐさまあの神社に向かいます。
すると鳥居には、奇妙極まりない魔法陣のような物が浮かんでいて……!?
匡はなぜかそのことを気にせず、鳥居をくぐったその瞬間、

目の前で、二人の少女が殴り合いをしているのを目撃したのです!!
しかもその二人の少女、動物のような耳としっぽ
をつけていて、両腕に筒のような手甲をつけてはいるものの、顔立ちが甲斐谷さんと真里香にそっくり!
さらにあたりをよく見てみますと、風景が中世を舞台にしたファンタジー的なものに様変わりしているではないですか!!
うろたえる匡に、突然一人の小柄な少女が話しかけてきます。
あなた「アナザー」から来たのね、たまにそう言う話を聞くわ。
どういう条件でゲートが現れるのかは知らないけど……言葉はわかる?
その声の方を振り返る匡。
ですがその目に飛び込んできたのは、リザードマンとでもいうべき大柄な二足歩行の生き物や、巨大なうーぱールーパーのような生物で。
ありえなさすぎるものを見たショックで、匡はそのままその場から逃げ出してしまうのでした!!

逃げながら改めて周りを見てみると、ここが今までいた日本ではなさそうなことが実感できてしまいます。
そして匡は、あの戦っていた少女から、キュルルの事が連想されてしまい……彼女はもともとここに暮らしていて、ここから自分を読んだのかもしれない、と感じた様子。
とりあえず周りの様子を見ながら歩いていますと、後方から騒ぐ声が聞こてきました。
誰か捕まえてくれ!
そんな声とともに駆けてきたのは、先ほどの甲斐谷さんに似た少女!
彼女はぶつかりそうになった匡をとっさに避け、そのせいで盛大に転んでしまいます。
すると、彼女を追ってきた真里香に似た少女が追いついてきて、甲斐谷さん似の少女を捕まえようとするのです。
さらに警備隊も呼ばれたようで、ほどなくこの場にやってきそう。
甲斐谷さん似の少女はもはや逃げ場のない状態になってしまうのですが……
彼女はつぶやくのです。
ar2
帰らなくちゃいけないから。
その為だったら、本気で戦う。

瞬間、匡に昔の記憶がよみがえりました。
キュルルを神社から外に連れ出そうとしたとき、彼女はこう言ったのです。
ar3
わたしやっぱりここにいる。
ここなら、主様の声が聞こえるかもしれないから。
今は帰り方がわからないけど、きっと……

そうこうしている間に、甲斐谷さん似の少女は倒れ、連れ去られてしまいました。
倒れている彼女に、あの時のように飴玉を上げたら、いや、あの時のようにキスをしたら、彼女に力がわいてきて違う結果になったのかもしれません。
ですが、結局連れていかれる彼女を見送るだけになってしまった匡に、先ほど声をかけてきた小柄な少女が再び現れて話しかけてきたのです。
取引よ。
私に協力するならあの子を助けてあげる。
ar4
助けたい?
それとも……見殺しにする?



と言うわけで、異世界で友人に似た獣人の少女に出会う本作。
この後匡は、あの少女、レオニに導かれながらこの世界の様々なルールや構造を知っていくこととなります。
あの獣人の少女は「カフス」と呼ばれる種族。
そしてそのカフスには、ほとんど人間と変わらない容姿をしているにもかかわらず、人間とは一線を画す定めが課せられています。
このままでは、あの甲斐谷さん似のカフスにも過酷な運命が待っている……
本来ならば、知り合いに似ていると言うだけで助ける義理はないかもしれません。
ですが、匡はやはり見捨てることができず……?

そんな冒険の旅が始まる本作ですが、数々の見どころが用意されております。
カフスと言う異種族を巡る特殊な世界の背景をはじめ、キュルルの行方と言った物語的な見どころ、そしてカフスの定めゆえの様々なサービスシーン!
御影夏先生の経験と技術を豊富に活かしたサービスシーンは、本作の大きな見どころの一つと言えるかもしれません!!
勿論アクションシーンにもその画力は行かされているのでご安心(?)を。
そしてこの辺りはまだ謎のままですが、何故タスクの知り合いに似たカフスが二人も目の前に現れたのか、と言う部分も何か大きな秘密が隠されていることは間違いないでしょう。
気になるこの世界の謎を明かされるのは今後の展開次第と言ったところでしょうが、さらに今巻のラストで早くも急展開が!?
物語的にも、サービスシーン的にもこれからの展開に期待せざるを得ませんね!!





今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!