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今回紹介いたしますのはこちら。

「赫のグリモア」第1巻 A-10先生 

講談社さんのマガジンKCより刊行です。


A-10先生は別名義で成人向けゲームの原画家として活動したのち、現在の名義で成人向け漫画や、全年齢向けゲームのキャラデザイン、イラストなどで活躍されておられます。
同人活動も積極的にされているA-10先生ですが、今回は初の全年齢向け単行本となります。
名義を変えず、しかも少年誌のレーベルで発行される本作、気になるその内容はと言いますと……?




ペン画で一財を成した大作家、大麦茜の葬儀がしめやかに行われています。
そんな場所で、大作家の曾孫である、若葉の元に空気にそぐわないとんでもない話が舞い込んできていました。
茜の遺言によって、彼女が所有していた屋敷とそこに残る作品群、その全てを若葉に譲渡する、と。
中学2年生の身で億万長者になってしまった若葉なのですが、その財産の受け取りに関して一つだけ条件が付きつけられてしまいました。
それは……
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奇妙な形のペンを受け取り、肌身離さず持ち続けること。
それが何を意味するのかはわかりませんが、茜はそのペンを受け取るのでした。

電車の終点からバスに乗り換えて1時間。
そんな遠いところに茜の屋敷はありました。
戦前は軍部、戦後はGHQが使用したという巨大な洋館には、若葉も子供のころ何度も遊びに行っていまして、茜に絵を教えてもらっていました。
思い出深いお屋敷ではありますが……
主を亡くした広大な屋敷の中は、差し込む陽の光では照らしきれない暗闇に支配されています。
「私の家」って感じはまったくしないな、と漏らしながら中に入っていきますと、若葉は正面の階段を登った踊り場に飾られている、茜の自画像に話しかけます。
若葉、上手に描けたねぇ。
心がこもってる。
心を忘れずに描き続ければ、きっと心は人に届く。
絵を教えてもらっていた時の茜の言葉が、まるで昨日の事のように思い出されます。
茜ばあちゃん、結局私、ばあちゃんを追いかけてまだ絵を描いてるよ。
会いたいよ、ばあちゃん。
若葉は物言わぬ絵に縋りつき、そう言ってひとしきり涙を流すのです。

若葉はその後、あのペンを触って……いてもたってもいられなくなってしまいます。
あんな思わせぶりな遺言を残しといて我慢なんてできる中学2年生がいるはずもありません。
この館の秘密部屋とか見つけちゃって、秘密のコレクションとか眠ってて、「お前ならこれを見つけてくれると思ってたよ」みたいな!?
一人盛り上がる若葉なのですが、そんな時に一枚の気になる絵を見つけました。
赤い服を着た少女が、柱時計のある部屋で光指す扉を指さしている。
綺麗な絵、ではあるのですが……その柱時計に見覚えがあるのです。
子供のころは言ったことのある、柱時計のある部屋。
そこに行ってみると、確かに絵とその部屋の柱時計は同じものに見えます。
見えるのですが……その少女の指さす扉があるはずの場所には、本棚が置いてあるのです。
まさかそんなことはないだろう、こんなに苦労してバカみたい、どうせ元通りにする羽目になるんだ。
そんなことを言いながら本棚の本をかたづけ、本棚をどけてみますと……そこには、やはり扉が存在しているではありませんか!!
そしてその扉には……あのペンの形のくぼみがついています。
恐る恐るペンをはめ込みますと……ゆっくりとその扉が開き、地下に続く階段が現れました。
ペンをその手に握り直し、勇気を振り絞って先に進んでいく若葉。
ですがその時、隠し部屋に入ってすぐのところにある飛行機を描いた絵が、カタカタと震え出したことに彼女は気が付かなかったのです……!

中に入っていくと、少し開けた大きな部屋に出ます。
その敷居をまたいだ瞬間、なんと部屋への出入り口に頑丈な格子が降りてしまうではないですか!!
もしこの先に出口がなかったら、このままここで……!?
恐ろしい想像をしてしまう若葉。
さらにその時、この部屋のどこかから何者かの靴音のような音が聞こえてくるのですからたまったものではありません!!
恐怖に怯えて固まっていますと、暗闇の中からぼそりと声が聞こえてきます。
「茜か?」
きっと何年も開いていなかったであろう地下の一室から、声。
若葉は思いっきり絶叫して逃げ出し、壁に背をつけて身構えます!!
すると、右手のあたりにスイッチのような感触が。
すかさずそのスイッチを入れてみますと、パッと部屋が明るくなり……あの絵のものと同じ服を着た、少女の姿が見えたのです!!
なんだ、お前誰だ。
もしかしてオマエも「書の魔導士」か?
茜の娘かなんかだろ、うっすら面影があるぜ。
茜はどうした、最近見ねぇな。
……あまりに得体のしれない存在ですが、言葉も通じるようですし、意思疎通もできそう。
素直に茜は死んだことを教えると、彼女はものすごく驚いた様子で、こう尋ねるのです!
今、昭和何年だ!?と!

戦争が終わってから70年以上が経っていることを知ると、少女は茜のやろう嵌めやがったな、と怒りをあらわに。
ですが、若葉が「書の魔導士」と言う言葉すら知らないらしいことがわかると、冷静さを取り戻していろいろと話し始めました。
あの戦争の裏で暗躍した魔導士がいた。
人類史が絶えないよう、裏から修正、管理、保存する魔導士が。
そしてそのうちの一人が……茜なのだ、と!
少女は「あかずきん」と名乗りました。
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茜が契約して具現化した「魔導書(グリモア)」そのもの。
「書の魔獣」と人は呼ぶ。
……あまりにも急すぎるその説明に、戸惑うばかりの若葉なのですが、じっくりと考えている時間はないようです。
何故なら、突如屋敷が崩壊し、この地下室が潰れんばかりの衝撃が襲い掛かってきたのですから!!
このままではこの部屋の屋根に潰されて死を待つばかり。
この窮地を逃れるには、自分を自由にするしかない、とあかずきんは言います。
彼女を拘束している手錠、それを外さなければならない。
あかずきんは、若葉に飾られていた絵の中から一枚を手に取らせます。
ですがその絵の裏側を見ても、鍵らしきものはありません。
慌てる若葉に、あかずきんは言うのです、
そうじゃねえ、それが鍵だ。
その絵そのものが鍵なんだ。
書の魔導士が「魔筆」と自らの血で描いたものは、触ることが、抜きだすことができる。
そして鍵は茜の血で描かれているんだ!
お前が抜けない道理はねえ!!
……そんなことを突然言われても、今まで生きてきてそんな不思議な体験をしたことなど一度たりともないわけで。
出来るわけない、あなたの言ってること全然わからない、とおびえる若葉なのですが……
実はすでに、若葉はそれを「している」のです。
先ほどこの部屋につけた電気のスイッチ。
それは、
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一枚の絵に書かれただけのスイッチなのですから!!
意を決した若葉が絵から取り出した……取り出すことのできたそれは、一丁の拳銃で……!!
その拳銃を使って手錠の鎖を破壊した若葉。
あかずきんはすぐさますさまじい力で屋敷を破壊して、外への出口を作るのですが……
彼女は満月をバックに高笑いしています。
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俺は自由だ!!
そしてそんな彼女の見上げる空には、複数の戦闘機が飛んでいます。
それが屋敷を破壊した犯人で……茜の描いた「絵」から出てきた、モノ!!
どうやら地下室に侵入する族に対する罠として用意されたもののようですが、相手がわか場でも全く容赦はないようで……!
その戦闘機の機銃をくらえば……欠片も残らない。
目の前で次々に起こる非現実的な出来事と、間近に迫る死。
若葉はこの圧倒的な絶望を避けることができるのでしょうか。
そしてこの奇妙な少女、あかずきんの目的はなんなのでしょうか。
若葉の運命は、あかずきんと……彼女自身にかかっています!!



と言うわけで、若葉が「書の魔導士」として歩み始めることとなる本作。
本作はあかずきんを使役する若葉が、「書の魔獣」を巡る戦いに巻き込まれていくお話になっております。
あまりに登場するキーワードが多く、謎も多いこのお話ですが、この後意外すぎる人物が登場し、その謎のいくつかを明かしてくれますのでご安心を!
若葉とともに読者が置いてきぼりになることもございません!!

荒々しいあかずきんと、一軒気弱な普通の少女に見えて、その中にはきちんと芯の通った強い意志を持つ若葉。
それぞれ全く違う個性を持った二人ですが、この後ぶつかり合いながらも徐々にお互いをわかりあい、認め合っていく少年誌らしい関係性を築いていきます。
この二人の出会いが描かれるエピソードから、次に始まる最初のステップ的なエピソードもまた驚きが用意されているお話となっておりまして、A-10先生相当攻めてらっしゃいます!
先生らしいフェチ心溢れるサービスシーンはまったくございませんが、それ以上に情熱のこもりまくったアクションシーンや背景に小物、外連味溢れる展開の数々に引き込まれること必至!!
第1巻のラストも驚きの展開で締められておりまして、A-10先生のみなぎる気合を感じずにはいられませんよ!!
まさしくハードヒロイックアクションとでも言うべき本作、今後の展開も楽しみですね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!