780
今回紹介いたしますのはこちら。

「シチハゴジュウロク」第1巻 原作・工藤哲孝先生 漫画・笹古みとも先生 

講談社さんのマガジンKCより刊行です。


工藤先生はどうやら本作がデビューとなる漫画原作者さんです。
そんな工藤先生と、人気ゲームのスピンオフ「ダンガンロンパ害伝」の作画を担当された笹古先生がタッグを組んで描かれる本作は、一風変わったサスペンス漫画となるようで……?



五六冴郎(ふのぼりゴロー)は、神社でものすごい数のお願いをしていました。
もてたい、彼女が欲しい、ちゅーしたい、イケメンになりたい、女の子とテーマパークやスキーに行きたい、クリスマスデートをしたい……
いつまでたっても終わらないそのお願いごとに、とうとうツッコミを入れざるを得ない冴郎のじーちゃん!
ですが冴郎はそんな無数のお願い、それも女性がらみのものばかりなんと100項目を全部達成するまで死ねない、とまで豪語しまして……!
そんなどうしようもない冴郎をどなりつけるじーちゃんから逃げ出すように、冴郎は学校に向かうのです。

冴郎が死ぬまでにやりたいことの一つに、溺れた美少女を人工呼吸で助ける、なんてものもありまして。
実際冴郎本人も、ノリで描いては見たもののいくらなんでも溺れた美少女なんてそんなホイホイいるもんじゃないよな、と笑うのですが……なんということでしょう。
781
いました。
大慌てでその美少女を川から引き上げる冴郎。
幸いまだ息はあるようですが……やはり人工呼吸、が必要なのでしょうか!?
ええいままよ!と意を決して冴郎しようとした冴郎ですが、直前で彼女は目を覚ましてしまいました。
大慌てで飛びすさる冴郎!!
目を覚ましたその美少女はと言うと、今キスしたかと冴郎に尋ねてきました。
してない、勘違いしないでほしいけど人命救助の一環として、人命救助として……言い訳を並べる冴郎。
ですが彼女、別に冴郎を責めようと言うわけではないようです。
冴郎がキスしていないことを確認し……
よかった、私とキスなんかしたら、あなたただじゃ済まないよ。
そんな思わせぶりなことを言って去って行くのでした。
「フジミヤシチハ」と言う詩集の施されたハンカチを残して。

放課後、ミステリー研究部の部室となっている第2理科室へ向かう冴郎。
例の100項目の中に「名探偵さながらの名推理で事件解決してモテる」と言うものがありまして、その夢の実現のためだけに冴郎はこの部に入りました。
今日はほとんど活動実績のないこの部の月一回の月例会の日。
のはずなのですが、部にやって来ているのは冴郎と、彼の幼馴染である大橋歩美だけなのです。
小さいころから仲の良い二人。
男子のような荒っぽい言葉遣いをするものの、そのビジュアルは結構な美少女である歩美、冴郎のツッコミ役として息の合ったコンビネーション(?)を見せています。
ちなみになぜ彼女が、モテ目的で入っただけの冴郎くらいしかまともに活動していないような部活に入ったかと言いますと……「すきだから」とのこと。
冴郎は意外に歩美がミステリ好きなんだな、と解釈したのですが……まあ、歩美の気持ちはそう言うことのようです!
そんな彼女、明日は何の日か覚えているか、と冴郎に尋ねました。
よくわからない感じのリアクションを取る冴郎を見て、歩美は面白くなさそうな表情を浮かべ……冴郎を蹴っ飛ばすのでした!

実は冴郎、照れ隠しで忘れたふりをしていただけで、明日が何の日かわかっています。
明日、7月9日は歩美の16歳の誕生日。
子供のころから仲の良かった二人、6歳のころに歩美は、冴郎に16になったら結婚しよう!と持ち掛けていたのです。
子供にありがちなごっこ遊びのようにも見えたソレですが、二人ともしっかりと覚えていたり……
あれだけ楽しみにしていた16歳の誕生日、アイツはそんなこと忘れてるだろう、ともらしながらも、冴郎は彼女へのプレゼントを買うことにしました。
可愛い小物の打っているお店に向かい、店員さんお勧めの幸せになれる七つ葉のクローバーのストラップを買うのでした。

その帰り道、冴郎は奇妙なものを見つけます。
「藤宮しちは」と名前の書かれた、いくつもの忘れ物が地面に落ちているのを。
それを辿っていけばあの謎めいた美少女と会えるかもしれない。
あと少しでキスするところだったんだよな……
そんなことを考えながら、もろもろのアイテムを回収しつつ進んでいく冴郎。
すると彼女は、断崖の前で沈みゆく夕日を見ているではないですあk。
そっと彼女に近づいていきますと、しちはは冴郎に驚き、バランスを崩して断崖に落ちそうになってしまい……!!
とっさに彼女の腕をつかんで助ける冴郎!!
力任せに彼女を引っ張りこんで助けるのですが……その勢いが強すぎたようです。
そのはずみで、今度こそふたりは
782
キスしてしまい……!!
ちゅーをする。
そんな冴郎の100項目の一つが達成されました。
事故同然とはいえそうなってしまった二人ですが……しちはは妙なことを言いだします。
決まったわ、ゴロー。
あなたが私の、「はじめて」の相手よ。
もうすぐあなたは私を必要とする。
あなたが望むと望まざるとに拘わらずね。
これから大変だと思うけど頑張ってね。
そうしたら「代わってあげる」。

不可解な言葉を残して消えて行ったしちは。
その後改めて家に帰ろうとする冴郎ですが……故障なのか、気泡が鳴り響いているにもかかわらずバーの下りてこない遮断機の前で、いろいろ今日会ったことを思い起こしてにやけてしまいます。
ふいにしてしまったちゅー。
そして、明日あのプレゼントを渡した時にきっと浮かべてくれるであろう歩美の笑顔……
へへっ、と笑いを漏らした、その瞬間でした。
何者かに突き飛ばされ、
783
冴郎が電車に轢かれてしまったのは……

冴郎の命は、今まさに消えようとしています。
ですがそこに、現れたのです。
ね、ただじゃ済まなかったでしょう。
そう言って……しちはが。
そして彼女はこう言うのです。
代わりましょう。
約束通り、私が代わってあげる。
ただ、ひとつだけお願いがあるの。
何かを冴郎に囁いたかと思うとしちはは冴郎に口づけをして……!!

冴郎が気が付くと、何事もなかったかのように五体満足で線路上に立っていました。
夢だったのでしょうか?
いや、そうではないことを証明するものがすぐそこに転がっています。
784
無惨な死体となった、しちはが……!




と言うわけで、とんでもない幕開けとなった本作。
理不尽にその命を奪われてしまった冴郎ですが、その死はすぐにしちはによって「代わって」もらうこととなりました。
一体これは何なのでしょうか。
しちはこうなることがわかっていたようですが……
この後物語は本格的に幕を開けることになります。
しちははただ冴郎の代わりに死んだわけではなく、とある目的があってこうしたわけで。
冴郎はその目的を引き継ぐ形で、その目的を遂行せんと奮闘することとなるのです!

本作においての最大の謎は、間違いなくしちはの置かれている状況です。
その解決のための物語となるわけですが、そもそもその状況に何故なってしまったのか、死を「代わる」ことができるしちはの能力は何なのか?そう言った謎からも目が離せません。
その謎はこれからゆっくりと明かされていくでしょうが、当然その内容からして超自然的な何かがあったことは間違いないでしょう。
一体この謎の呪いの全容はどんなものなのか、その謎に迫る様子も見守っていかなければなりますまい!!
さらに本作、オカルト的要素が含まれるサスペンスと言うだけでなく、ラブコメ的な要素も多分に含まれております。
個人的に一押しの歩美は完全に冴郎を意識しておりますし、しちはもヒロインらしい姿をしっかり見せてくれまして……そんな彼女達の魅力を堪能できるという側面も用意されているわけです!
ホラー要素、エピソードごとに用意された謎、しちはの「呪い」に迫る物語全体の謎解き、そして恋愛要素。
実に様々な要素が楽しめる、作品に仕上がっているのです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!