fg0
今回紹介いたしますのはこちら。

「不徳のギルド」第3巻 河添太一先生 

スクウェア・エニックスさんのガンガンコミックスより刊行です。


さて、街を守る「ガード」を引退し、失われた青春を取り戻そうと画策するキクル。
安心して後続に後を負けせるために新人を育成しようとしたものの、その新人はどうしようもない曲者ばかり。
なぜかモンスターはエロスな攻撃ばかりしてきますし、新人たちの成長はあまり見えませんし……
果たしてキクルが何の憂いもなく引退できる日はやってくるのでしょうか!?



その日ギルドの受付にやって来ていたのは、キクルとトキシッコの二人と言う珍しい組み合わせでした。
そして依頼の方も、珍しい標的となっているようです。
本来30センチほどの体長で、小型のモンスターを狩って捕食する「ヨケグモ」。
魔物を狩ってくれるため、「益獣」とまでよばれていたこのモンスターですが……
今回発見されたのは、人間よりも巨大に成長したサイズを誇っています。
これだけ大きければ、当然その捕食対象に人間も入ってきてしまうでしょう。
今回はこの大型ヨケグモを退治しに行くわけです。
ですがこのヨケグモと言うモンスターは、相当厄介な性質を持っていまして。
相手の敵意や殺気を感知できる能力を持っているようで、あらゆる攻撃を難なく回避してしまうのです。
しかもその敵意を感じ取る能力のせいで、歴戦の戦士でもすぐに気配を感じ取られてしまい、前衛職だったりすると間合いに入る事すらできません!
と言う事は、勝ち目があるのは遠距離から攻撃できる、後衛のアタッカー……
つまりそこで、トキシッコに白羽の矢が立ったわけです。
とはいってももちろんそれだけで勝てる相手ではありません。
後衛から攻撃したところで回避されてしまうのは変わりませんし、強い粘着性を持つ糸に寄る捕縛、人か身で死に至るほどの猛毒持ち、と厄介な武器まで多く持ち合わせていて……
トキシッコをして、「子供が考えた最強モンスター」みたいなやつ、と言わざるを得ない相手なのです!!

とはいえ、ヨケグモに襲われたパーティーの逃げ遅れがまだいると言う状況もあって、結局誰かがやらざるを得ません。
キクルはいつものメンバーで現場に向かうのですが、今回は二つのパーティーにわけて行動をすることにしました。
ひたむき、メイデナ、ハナバタは逃げ遅れの救助、キクルとトキシッコがヨケグモの退治。
索敵、治療、護衛のそろった救助班に、ヨケグモ対策の戦闘班。
理想的な役割分担ができたはずなのですが……
何故でしょう、
fg1
ひたむきが真っ先に蜘蛛の巣にかかり、メイデナが怯えて使い物にならなくなり、ハナバタが狂花でめちゃくちゃにする、と言うダメなビジョンしか見え来ないのです。
とりあえずキクルは、ハナバタにくれぐれも狂花は使わないようにとだけ言い含め、別行動を始めるのです。
……向こうのパーティーが心配ではありますが、それでも別行動をとった方が安全なのは間違いありません。
自分もあっちが良かった、力が強くてどんな攻撃も避けて猛毒を持ってて糸で罠を張るトリッキーさも持ってる相手に自分が役に立てる気がしない。
そんなぼやきが止まらないトキシッコなのですが、そこは流石エースのキクル、考えもなく遠距離攻撃職だからとトキシッコを選んだわけではないのです。
トキシッコの最大の欠点であるはずの「ものすごい火力とものすごいノーコン」がここで生きてくる!!
ヨケグモが自分への敵意などを察知してよけているのなら、術者自身わからない位置に、それも広範囲に一斉に攻撃が降り注げば……ヨケグモでさえよけられない……はず、なのですから!!
勿論そんな自爆的な戦法だけではなく、「巻狩」の要領で責める、と言う手段も考えてあります。
相手が自分自身に向けられた攻撃を避けるなら、周りに火を放つなどして周囲を取り囲み、逃げ道を塞いでやる。
直接標的にするわけではないのでその攻撃まで読まれるはずはなく、そこから料理してやればいいわけです!!
カタログスペックに惑わされるな、やりようはいくらでもある。
そう言うキクルに、トキシッコは素直に感心。
するのですが、その褒め方があまりよくありません。
ダンナってエースのわりにいまいちパッとしないし、対して強そうな感じもしないけど、伊達にエース張ってないな。
fg2
……最後のふわっとした褒め言葉のために、さりげなく二つけなす。
そんなトキシッコの回り道しての賛辞に、心の弱いキクルは返ってダメージを受けてしまうのでした……

あちら側のパーティーでひたむきが巣に絡まったり、そこにメイデナも巻き込まれてしまったりと、予想通りの事が巻き起こっているなか、キクルとトキシッコはヨケグモのいると思しき地点までやってきていました。
そこで二人は作戦を確認し合います。
と言っても、キクルがおとりになっている間にトキシッコがヨケグモの周囲を炎で囲み、その中を雷で撃つ、と言うシンプルなもの。
逃げ場がなければ敵意に気付けたところで関係ない、と言う合理的な作戦ですが、やはり自身がない様子。
役割が多くて自身がない、と言いかけたその瞬間でした。
キクルがサッとトキシッコの服を引っ張り、ヨケグモの奇襲から助け出したのは!!
恐ろしい相手ではありますが、これこそが狙ったお相手。
不安だったひたむき達のパーティーの方ではなく、こっちに出てきてくれたことはラッキーと言えましょう。
早則手はず通りキクルがヨケグモの攻撃を避けはじめ、トキシッコに俺ごと閉じ込めていいから炎を放て、と命じるのです。
キクルごと巻き込む、と言うのはやはり普通ならばためらうところですが、そこはトキシッコ。
わかった!と秒もかからずあっさり受け入れてくれまして、杖を構えます!!
「イグニト!!」
その詠唱とともに、ヨケグモをぐるりと取り囲む火の壁ができた……はずでした。
ところがどうしたことでしょう、
fg3

ヨケグモは呪文の詠唱が始まるよりも前に、回避を始めていたのです!!
そしてそのままヨケグモは何処かへと消えてしまい……
罠に嵌めてやろう、と言う敵意を感じ取ったのでしょうか。
これで再びヨケグモを探すところからやり直すしかない。
そう思ったその時でした。
トキシッコの背後に、先ほどのヨケグモが姿を現したのは!!
瞬く間にトキシッコに牙を剥き、飛びかかって来るヨケグモ!
完全に虚を突かれてしまったトキシッコに、その攻撃を避けることなどできるはずもなく……!!
ヨケグモの、死に至る毒を含む牙は、無情にもその身体に突きたてられてしまうのです。
fg4

トキシッコをかばった、キクルの体に……!!




と言うわけで、まさかすぎるシリアス展開を迎えることとなった今巻。
今まで慎重さで戦いを乗り切ってきた感のあるキクルですが、ここでトキシッコをかばうため致命傷になりかねないダメージを受けてしまいました。
その傷だけでも深手だと言うのに、死に至る猛毒まである。
メイデナがいるならばまだしも、今はヒーラーもいない。
もう完全に詰んでしまったかにも見えますが……用心深いキクルですし、何より本作はそう言うマンガじゃない、はず!!
この後のキクルの運命に関しては、その目でご確認くださいませ!!

で、今巻はこのVSヨケグモから一連の流れのストーリーとなっています。
前半でのヨケグモ戦では、トキシッコがもう完全にヒロイン枠!!
今まで主にスタイル的な問題でサービスシーンが挿入されることがほとんどない、ギャグ要員的なイメージの強かったトキシッコが、とうとう本格的に掘り下げられる時が来たのです!!
彼女に秘められた秘密、そして彼女の本作中最大のサービスシーン、無いんじゃないかと思われていた「デレ」要素……!!
まさかのヒロイン力を見せてくれるトキシッコの奮闘は必見です!!
そして今巻の後半では、5人目の「新人」が登場!!
今までのキャラクターに負けず劣らずキュートな新キャラ、その活躍も見逃せませんよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!