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今回紹介いたしますのはこちら。

「コロコロ創刊伝説」第4巻 のむらしんぼ先生 

小学館さんのコロコロアニキコミックスより刊行です。



さて、のむら先生が自身の作歴を中心に、コロコロコミックの歴史を振り返っていく本作。
オリジナルの漫画はもちろんの事、ゲームやホビーと連動した記事や漫画も掲載し、大ヒットを生み出してきたコロコロコミックですが、今巻ではその中でも最大のヒット作と言ってもいいかもしれないあのホビーがとうとう登場するようです!!



昔から子供たちを夢中にしてきた「コレクション」系のホビー。
古くはメンコやベーゴマ、最近ではトレーディングカードゲームやベイブレードなんかがそうでしょうか。
そんな数々のコレクションホビーの中でも、社会現象とまで言える大ヒットを記録し、今なお新たな展開を続けている、トップクラスの商品と言えば……
そう、
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ビックリマンチョコです!!
時は1986年。
当時のコロコロは、「おぼっちゃまくん」「ハゲ丸」と言った人気作に加え、「高橋名人物語」などのタイアップ物が大ヒット。
それぞれの担当編集者たちも忙しそうにばたばたと働く中、入社三年目の若手編集者、柏原は手持無沙汰になっていました。
まだ新人と言う事もありますが、ヒット作の立ち上げに成功していな彼、どうしても回ってくる仕事が少なくなってしまっているのです。
そんな彼に回ってくるのは、手が回り切らない他の編集さんのお手伝い。
その日ものむら先生の「ハゲ丸」の原稿が上がったとのことで、手の空かない担当さんの代わりに受け取りに行く、と言うお仕事でした。

のむら先生は、大変ですねと柏原をねぎらったあと、にやりと笑いながら原稿とともにこんな言葉をプレゼント。
またパシリですか?
……そんな辛辣な言葉も、いわば激励。
きついなぁ、と苦笑いしながら柏原は原稿を受け取るのです。
言い返す言葉もありませんが……冷静になって考えれば、漫画家も同じようなもの。
ヒット作を出すことができればともかく、そうでなければ肩身の狭いもので。
逆にそのヒット作さえ出せれば、編集者も「あの○○を起こした人」として一目置かれるわけです!!
が、今の柏原はPRや目次の作成と言った、雑誌政策に欠かせない仕事ではあるものの……とても編集者冥利に尽きる、とは言い難い仕事をする毎日を過ごすだけなのです。
早く自分の企画で活躍したいなあ、などと考えながら、原稿を編集部に渡す柏原。
もうやることないなら帰っていいぞ、と言われるものの……柏原は、アンケートはがきの整理をすることにしました。
注目するアンケート項目には、「特集してほしいものは何ですか?」と言う欄があります。
何かヒントはないか、と目を皿のようにしてその欄を見ていますと……
何人かの読者が、
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「ビックリマン」と書いているではありませんか。
ビックリマン、とは何なのか?
聞いたこともないものですが、柏原はさっそくその調査に向かうのでした。

駄菓子屋さんで、どっさりとビックリマンチョコを買いこむ柏原。
早速ひとつ開封してみると、なかなかおいしそうなピーナッツ入りのウェハースチョコが出てきました。
そしてその下には、デフォルメキャラクターがでかでかと描かれた奇妙なシールが入っていたのです。
他の袋にも入っているのはそう言ったキャラクターのシールばかり。
仲にはキラキラと光る加工のしてあるシールもありまして、種類は豊富に用意されているようです。
裏面を見てみると、そのキャラクターの説明と言いますか、ストーリーの説明の様なものが書いてある……のですが、その文面もまた奇妙。
「高飛速し始めると聖戦衣化し次界天魔球の超悪魔との対決に挑むのだ!行く手は無縁ゾーン。」
……飛び交う固有名詞と抽象的な表現……まったく意味がわかりません。
今のところ子供が夢中になる理由はつかめませんが、コロコロコミックの編集として、子供の夢中になるものをスルーすることなど許されません!!
すぐさま、発売元のロッテに取材に向かうのです!!

現れたのは、企画部の反後四郎というごく普通の男性でした。
あの独特の世界観を生み出す人物ですから、それはもう変な人が出てくるのを予想していたのですが……出鼻をくじかれてしまいます。
気を取り直して、コロコロで取り上げたいものの、シールの物語は大人の自分でもちんぷんかんぷんで、それを子供にどうわからせればいいかわからない、どうやったら面白い記事になるのか分からない、と素直な気持ちを吐露。
まずは手始めに、数々の固有名詞の中から「次界」と言うのはどんなところなのか、と尋ねてみました。
すると反後、目を輝かせて
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待ちに待った輝かしいパラダイス!と迷わず応えます!!
ならば、と今度は「無縁ゾーン」は何か、と聞くと、変幻自在に伸び縮みする広大なエリア、と即答。
「天聖銀座」「古代源層会」……様々な言葉を聞くと、すぐさま抽象的な、それでも力のこもった言葉で返してくる反後……
まるで禅問答だ、と正直戸惑う柏原。
ですが単語の目の輝きは本物で、まるで神か何かのようにすら見えて……!!
それを見て、柏原は確信します。
ビックリマンの世界は、反後四郎と言う神が想像した愉快なパラダイス!!
シールの情報が断片的でわかりづらいからこそ、読者は記事の情報に飢えているんだ!!
このままでいいんだ、
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ビックリマン世界の創造主の言葉や思想を、ただ忠実に民に伝えるべきなんだ!!
正直言って、大人である柏原には理解しきれないビックリマン。
ですが、その不思議な世界に思いをはせ、自分で想像して保管できる子供だからこそ楽しめる世界になっていて……!!
子供だけがわかるから面白い!!
柏原はそんな確信とともに編集部に企画を持ち込み、見事ビックリマンの特集記事の企画を通すことができたのです!!
そして、その記事の結果は……!!



というわけで、コロコロコミックで特集記事を掲載したことを更なる飛躍の一歩としたビックリマン。
今巻では、そのビックリマンがどうやって生み出されたか、と言うコロコロに直接関係のない歴史まで踏み込んで紹介しております!!
知っている方は知っていることですが、ビックリマンは最初からああいう「天使VS悪魔」シリーズだったわけではなくて、最初は全然違う作風だったことなんかもしっかり描かれ、そこからどうしてあの路線になったのかと言う事まで紹介!!
さらにそこにコロコロの特集記事の組み立ても絡み、成功していく様が描かれるのです!!
しかも当時子供だった皆様には経験があるであろう、シールのみ抜いて捨てる問題まで切り込んでその後どうしたかの様を描いているなど、功罪織り込んだより興味深い内容になっているのも注目です!!

さらにこのほかにも興味深い内容は盛りだくさん。
知る人ぞ知る、「カービィ」の作者、ひかわ博一先生のデビュー前から漫画か引退問題を描いたエピソードを収録!!
さらにその実力は確かながら、若くして非業の死を遂げてしまった玉井たけし先生のお話も。
どちらも戦友だったり、師弟関係だったりしたのむら先生ならではの視点で描かれるこれらのお話も必見なのです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!