「男塾外伝 赤石剛次」第4巻 竹添裕史先生
日本文芸社さんのニチブンコミックスより刊行です。
さて、真羅卍象大武会に挑む赤石たち。
様々な闘士たちが参戦したこの大会ですが、その大半は赤石たちの敵ではありませんでした。
順調に勝ち進んでいったものの、そこで立ちはだかったのは鞍馬と因縁深い悪の集団・籠目六亡!!
鞍馬は憎き仇、緋邑と激闘を繰り広げるものの、緋邑の方が実力派一枚上手の様で……!?
仲間の協力によって、緋邑の幻影を破ることができた鞍馬。
ですが緋邑の真の力はこれから発揮されるようです。
全身に欠陥を浮き上がらせ、白目をむいてただならぬオーラをまとい始める緋邑……!!
これこそ狐仙流奥義「白妖面」!!
狐仙流の達人が、短期決戦を覚悟した時に用いる、運動能力を飛躍的に向上させる技です!!
これを出すということはすなわち、緋邑も本気だという事。
緋邑が本気になるのは「あの人」に負けた時以来だ、と籠目六亡の仲間はつぶやくのですが……
本気を出したということは、緋邑もそれなりに追い詰められている。
と言いたいところなのですが、緋邑は余裕の表情。
鞍馬の操る一閃流はおそるるに足らず、と笑うのです。
一閃流が隆盛を誇ったのははるか昔。
時代と共に剣術も進化しているにもかかわらず、昔ながらの田舎剣法が現代に通用するわけない。
そう語る緋邑に、鞍馬はいら立ちを隠せない様子。
黙れよ、とすごむ鞍馬なのですが、緋邑も刀で黙らせてみろよ、と一歩も引かず。
次の瞬間、目にもとまらぬ速さで緋邑が強襲!!
そのあまりの速度に、鞍馬は日本の刀で緋邑の剣を受けるのが精いっぱいです!!
が、緋邑の攻撃はこれからでした。
狐仙流奥義「狐火」。刀に何か燃えるものを仕込んでいるのか、緋邑の刀から猛烈な炎が立ち上り、鞍馬の体を焼き始めたのです!!
さらに緋邑の剣捌きは鋭さを増し。矢継ぎ早に繰り出される攻撃は避けることもできず、とにかく刀で受け続けることしかできません。
その度に緋邑の刀は炎を上げ、鞍馬の体を燃やしていき……!!
この炎だけでは、鞍馬が倒れることはないでしょう。
ですが、剣の技術が高い緋邑の攻撃から致命傷を逃れ続けることができたのは、この戦いの前に準備してきた体を硬化する特殊な刺青「怒粧墨」あってのこと。
この炎で皮膚をあぶり、怒粧墨を焼きはがされてしまえば……その時こそ、鞍馬が追いつめられてしまう時と言っても過言ではないのです!!
このままではじり貧になるのは鞍馬自身も重々承知。
何とかこの窮地を脱しようと、こちらから攻撃を仕掛けることで逆転を狙います。
蒼龍寺奥義「三連貫」を放つ鞍馬ですが……馬鹿正直な突きだけの一閃流はもう流行らない、という言葉と共に、あっさりと弾き返されてしまいました。
緋邑は完全に勝利を確信したようで、こんな突きなんて当たるわけがない、全部受けてやるから全力で来い、と攻撃を休めて手招きまでするではありませんか。
こうまで言われては黙っていられません。
鞍馬は両手に持った日本の刀で突きを乱射する、蒼龍寺秘奥義「散弾貫(ショットガン)」を放ちます!!
ですがそれすらも緋邑には通用せず……
一閃貫がことごとくはじかれる。
目の前に突き付けられた現実を前に……鞍馬の心は燃え上がります。
ふざけるな、そんなの絶対認めねえぞ!
コイツだけは絶対に倒さなきゃいけねえ、勝って俺の存在を証明してみせる!!
その時脳裏をよぎるのはこの戦いに挑む直前、二週間前に蒼龍寺の門前で出会ったある男との会話でした。
その男は、
男は鞍馬とすれ違いざまに、不意に語りかけてきました。久しぶりだな豪血、貴様がわざわざここに帰ってくるということは、目的はこれだろう?
そして……一本の巻物を渡してきたのです。
「極意書」だ、未完成の技はそれだけだろう?
完成させたら会いに来い、蒼龍寺最強はその時に決するとしよう。
そう言い残して……のちにあの大武会であの男と雌雄を決することになる、その男は立ち去っていったのでした。
その後の二週間で、どうやら鞍馬は完成させていたようです。
体に集まっていく、すさまじい気……!!
その気が練り上げられていく様を、緋邑はそれでも余裕の表情で見つめています。
テメェの命全部乗せで来い、と不敵に笑う緋邑に、その通り全身全霊の力を込めて……
蒼龍寺超秘奥義「暹氣龍魂(しんきりゅうこん)」を放ったのでした!!龍をかたどった剣気が飛んでいくこの技、まさしく一撃必殺の威力のこもった超大技!!
これをまともに喰らえばさしもの緋邑と言えども無事では済まないでしょう!
……が、なんということなのでしょうか。
緋邑は
狐仙流究極奥義「九尾顕現」なる、暹氣龍魂の剣気を金色の狐にしたかのような大技で迎え撃ったではありませんか!!真っ向からぶつかる二つの大技!!
その激突の結果は、まさかの……!!!
と言うわけで、あの大技がさく裂してしまう今巻。
数ある男塾のスピンオフですが、本作はその中でも一番オリジナルキャラが活躍している作品と言っていいでしょう。
今巻で描かれる鞍馬VS緋邑、きちんとドラマのある二人の戦いは、本家男塾(無印)にも通じるのではないでしょうか?
バトルだけではなく、各キャラにストーリーを背負わせ、かつそこにあのキャラクターを絡めてみたりするなど、アクション、ドラマ、男塾愛に満ち満ちた作品になっているわけです!!
さらにこの後も、本格参戦を始める思いもよらないオリジナルキャラクターとの戦いが繰り広げられていきます。
赤石と因縁のあるその人物、なんと……女性キャラ!!
男塾シリーズではまともな女性キャラがまーほとんどおりません。
まともに戦うキャラで考えますと、あの「極!!」の時事ネタで出てきたカグヤ姫や、女性キャラと言っていいかわかりませんが「真!!」の暗屯子くらいなものでしょう。
そんな男塾シリーズに、カグヤ姫のような時事ネタ一発キャラでも、暗屯子のような完全ネタキャラでもない、本格的な戦闘キャラで、きっちりとした背景もある……そんな女性キャラが登場するのです!!
安易な萌え要素なんかではもちろんない、男塾らしく男塾らしくないそのキャラクターにも注目です!!
今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!
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