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今回紹介いたしますのはこちら。

「飼育少女」第3巻 仲川麻子先生 

講談社さんのモーニングKCより刊行です。


さて、生物教師の対馬に導かれ、様々な生物を買って観察する日々をおくっていたのぞみ。
ですが対馬はそんなのぞみに、教師としてだけではない、とある感情を抱いていたり。
そんなことも知らず、のぞみは今日も今日とて新たな生物の新たな一面に惹かれて行くのでした。



テスト期間中、降りしきる雨で気分も憂鬱な中、ファミレスでテスト勉強をしているのぞみと友人の亜依。
ですがテスト期間中だと言うのにのぞみは勉強なんてどこへやら、ノートに宇宙人か何かのような落書きをしておりました。
実はのぞみ、テストが終わったら対馬が見せてくれるという新しい生き物の事でもう頭の中がいっぱいで、その生物の予想イラストを描いたりしていたのです。
それが何で宇宙人テイストのイラストになったのかと言いますと、対馬曰く「人に近い生き物」だからなのだ、とのこと。
出来ればなれたりなついたりする生物がいい、と語るのぞみですが……あんな宇宙人的フォルムの生き物がなついたりするのはちょっと……どうなのでしょうか!

その生物、ふたを開けてみれば
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人間風味は全く感じられない、イソギンチャク的な何かでした。
これはホヤの一種で、カタユウレイボヤと言う名前だとのこと。
これがどうして人に近いのかと言いますと、それは脊椎動物に最も近い無脊椎動物、尾索動物に分類されるものなのだそうで、幼生には脊椎動物と共通の体のつくりが見られる、とのこと。
動物がどう進化したのか探るのに重要な存在だ、と対馬は言うのです。

ですが流石の望みもこれにはピンと来ないようで。
もっと反応してほしいのに気難しくて、あっちは固着してるしどうしたらいいのか……とボランティアで手伝っている水族館の先輩についぼやいてしまうのです。
いろいろ教えたいけど、自分で試行錯誤しないと意味がないだろうと考えた先輩は、ぐっとストレートに教えたい気持ちをこらえ、今までの経験からこうしたら上手く行きそうとか考えたらいいんじゃないか、とアドバイス。
それを中途半端に聞いていた別の先輩が恋愛がらみの相談課と勘違いしまして、壁ドンくらいの気合で頑張って、とちょっとずれた応援もしてくれまして、のぞみは気合を入れなおすのでした!

のぞみがまず考えたのは、絵付け作戦。
無脊椎動物との数少ないコミュニケーション手段である餌付けに望みを託すのですが……
海水を吸い込んで、その中のエサをこしとって水を排出する彼らからは、やはり感情の機微が見て取れないのでした。
後は……壁ドン?それくらい強引でもいいってこと?
ですが当然殺してしまいかねない積極的な行動はNGに決まっていますし……硬直しているところに、対馬がやって来ます。
そして、動くところが見たいと言うのぞみの望みを聞きますと、おもむろに
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水槽のサイドをドンと叩いたのです!!
壁ドンってそっちの方!?と内心驚くのぞみですが……効果はてきめんでした。
ホヤの口がきゅっと閉じ……しばらくするとパッと口をあけたのです!!
……と言ってもせいぜいその程度。
それはこのカタユウレイボヤの祖先、進化の過程に理由があったりするのです。
ホヤの祖先はバクテリアに感染し、その能力をなぜか取り込んでしまいました。
動物が普通生成できないセルロースを作る能力、身体を硬くする能力を。
ホヤの祖先はその能力で強大な防御力を手にして、その結果……
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動く必要が無くなったのです。
……壮大な物語の始まりを予感させるスタートから、打ち切りを食らったかのような突然の幕引き。
がっかりしないでもないのぞみですが、敵にも襲われず、食事はうごかずともとれる……逃げも隠れもしないその生体に、孤高のかっこよさを見出すのでした!!
物は言いよう……です!!

そんなこんなでとりあえずホヤに満足したことを先輩に報告するのぞみ。
するとまた別の先輩、鶴田さんが通りがかって話に参加してきました。
ホヤは生物の先生が持って来てくれた、と言いますと、先日たまたま対馬とのぞみが一緒にいたところを見ていた鶴田さんは、その先生ってこの間一緒にいたひとか、と尋ねてきましたB。
何でも対馬、鶴田さんが通っていた学校で教師だったとのこと。
ですがあることがあって対馬はすぐ移動になって、その移動先がのぞみの学校だと言う事のようです。
昔の対馬はどんな人だったのか、と思いをはせ始める望みだったのですが……
そこで、鶴田さんはこんなことを言い出すのです。
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あなたも飼われてるの?と……!!



と言うわけで、いよいよのぞみが対馬によって「飼育」されていることが本人に伝えられてしまう今巻。
対馬はのぞみに様々な生物を飼育させ、そしてその独特の反応を飼育日記よろしく記録していたわけです。
しかも、以前もしていたそれが発覚して問題視され、のぞみの学校に飛ばされた、と言う事のようで……!!
とうとうそんな裏事情があばかれ、のぞみがそれを知ってしまう時が来ました。
なんだかんだ対馬に惹かれていたのぞみではありますが、それを知った時にいったいどんな反応をするのでしょうか。
いくら天然で、歳いくつだよ守備範囲広すぎだろうと言うツッコミが得意な彼女でも、とうとうそれに向かいあう時が来てしまうのです!!

クライマックスを迎える本作ですが、いろいろなことが明かされたところでのぞみはのぞみ、つらい展開になるはずがない、と皆様も信じていらっしゃるはず!
彼女らしい結末を迎えるフィナーレは、本作を読み続けてきてくれた方ならば安心できる結末です!!
そしてしっかりと「その後」も描かれ、さらにおまけ漫画では完結後のその後も描かれます!
少しだけ不穏な要素のあった本作ですが、そんな不穏な空気なんてどこかに行ってしまうエンディングまで、しっかりとお楽しみください!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!