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今回紹介いたしますのはこちら。

「内藤死屍累々滅殺デスロード」第1巻 宇津江広祐先生 

小学館さんのサンデーうぇぶり少年サンデーコミックスより刊行です。



宇津江先生は13年にゲッサンの漫画賞で選外佳作、翌年に佳作を受賞してデビューした漫画家さんです。
今までは読み切りの発表や短期集中連載の経験がありましたが、本作で遂に短期ではない連載をゲット、さらに単行本刊行にまでこぎつけました。

そんな宇津江先生の初本格連載作となる本作は、ホラー系の作品となります。
ですが単純なホラーものかと言えば決してそんなことはなく、かなり特殊な物語となっていまして……?



少女が別れを告げ、死を賭した戦いに向かおうとする。
そんな夢を、村越奨(むらこしたすく)は最近よく見ています。
同じような夢ばかり見る理由は正直思い当たらないタスク、気にはなるものの、特にその追及などはせずに日常を過ごしています。
一人で朝食を食べ、離婚後酒におぼれるようになった父親に、仕事に遅れるなよと言い残して学校に向かう。
そして学校では、校長の長い長いお話を聞きながら、「えー」は18回目、「それはつまり」は5回目、この話自体するのが三回目、などとカウントをしつつ、心の中で校長に突っ込むなどして暇をつぶす。
そんな日々を過ごしていたのですが、その日はいつもと違うところがあったのです。
校長の白々しい話に、思わず出た舌打ち。
その舌打ちが、隣で校長の話を聞いていたクラスメイトとシンクロしたのでした。

そのクラスメイトは、久路剣介(くろ けんすけ)。
基本的にいつも一人で大人しく本を読んでいるタイプのタスクとは違い、彼はいつも多くの友人に囲まれている人気者タイプです。
いくら舌打ちがシンクロしても、相容れることのない二人、だとその時は思ったのですが……
下校中の電車の中で、不意にクロが話しかけてきまして、さらに半ば強引にタスクをある場所へと連れて行ったのです。

その場所は、人気のない高架下。
ここでクロは、超能力を使えたらどうする、と聞いてきたのです。
そしておもむろにコインを指ではじくと……とっさに前に出した手の指の間をすり抜け、吸い込まれるかのようにタスクの制服の胸ポケットに入っていくではありませんか。
これが超能力だと言うのでしょうか。
せいぜいが手品か何か、にしか見えないタスクでしたが……この後、こんなものを見せられては信じるほかありません。
なんと、タスクの体が宙に浮きあがり、ぐるりと体ごと振り向かされてしまったのです!!
さらにクロは、こぶし大の石を浮き上がらせ、こんなことを言いだします。
オレの夢では、君も超能力を使えてた。
多分キミも使えるようになるよ。
そしてクロは、その意思を匡に向けて飛ばしてきたではありませんか!!
相当な速度で飛んでくるそれは、到底よけることは出来ません。
顔面に直撃する……そう思われた瞬間、目の前の石が
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1㎝角ほどのサイコロ状に切り刻まれたのです!!
突如として目覚めた超能力。
これは一体何なのでしょうか。
何のためにこんな力があるのでしょうか?
戸惑うしかないタスクですが、クロはこともなげに言うのです。
やっぱさ、超能力を手に入れちゃったんだから、答えは一つだと思うね。
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俺達は、世界を救うんだよ。


……そんなタスクの目覚めと時を同じくして、名古屋ではまた別のある男が目覚めようとしていました。
男の名は、内藤徹夫。
医療保険のコールセンターに勤めている彼は、毎日のように浴びせかけられる負の感情に心を削られる毎日を過ごしていました。
最近は呼吸が浅くなり、頭痛もするようになり、食欲も亡くなってきています。
病院に行きたくても、何か重病が見つかりでもすれば、会社を休まざるを得なくなっ生活もままならなくなることでしょう。
内藤徹夫は、34歳。
金もなければ、女性との関係もなく。
このまま何物にもならず、ただ年老いていくのか?
そう考えると、さらに彼の気分は落ちて行くのです。

ある日の仕事の帰り、内藤徹夫は酔いつぶれて路上に座り込んでいる男を見かけました。
大丈夫ですか、水でも買ってきましょうか。
そう声をかけたのですが、酔っぱらいは、うるせえな、触んな、拒絶してきたのです。
自分は何故酔っぱらいに声をかけたのか。
気まぐれな正義感、ではない。
今自分が弱っているから、自分で自分を優しい人間だと思い込むために声をかけたのだ。
だから、感謝されないだけでこんなに嫌な気分になる。
冷静にそう考えると、いやな気分は一層加速していき……

その翌日でした。
嫌な気分を少しでも紛らわせるための酒を買うために立ち寄ったコンビニ。
そこで、店員がお釣りを渡しそこね、床にばら撒いてしまったのです。
サーセーン。
心の全くこもっていない、言葉すらもまともに出さない謝罪だけで、手伝おうともしない店員。
内藤徹夫ははいつくばって小銭を拾いながら、やり場のないどす黒い感情を煮えたぎらせていました。
何でこいつは適当な謝り方をする、なんで一緒に拾おうとしない。
何で俺は……
人に嫌われたくなかったから人を嫌った。
誰かに愛してほしかったから一人でいるのが好きなふりをした。
何者かになりたかったけれど一度だって何もしてこなかった。
内藤徹夫とは……誰だ?
……その渦巻く感情が爆発したその時。
内藤徹夫は
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異形の存在となり、コンビニの店員の頭を砕いたのです!!
異形となった内藤徹夫は、店員から養分を吸い取るかのように何かを奪い取ります。
そして、アヤマレ、とうわごとのようにつぶやきながら体を巨大化させていき……店内にいた他の客を押し潰し、
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コンビニを突き破って巨大な木のような姿へと変わりました……
これは、始まりにすぎません。
内藤徹夫は、ここからさらにその力を振るうのです。
まずはこの名古屋じゅうにその魔の手を伸ばし。
そして、さらにその先……世界中へ。




と言うわけで、異形へと姿を変えた内藤徹夫と、力に目覚めたタスクたちの物語を描いていく本作。
内藤徹夫の暴走はとどまることを知りません。
もはやその意思までも異形と化した内藤徹夫は、次々と人間を襲い、名古屋を地獄絵図へと落としていきます。
当初はそれをテレビの報道越しに見て行くことになる匡なのですが……物語がそれで終わるはずがありません。
恐怖はどんどんと増幅していき、クロの半ば冗談で発したのであろうあの言葉が、徐々に現実味を帯びて行くことになるのです!!
と、このままいけば、内藤徹夫の不気味さはあるものの、それ以外はそれほど珍しくないホラーアクションと言えるでしょう。
ですが本作の真価は、この後にあるのです!!

タスクやクロが内藤徹夫と戦う、と言うのは誰もが予想出来ること。
その戦いもスリリングで手に汗握るものとなっているのですが……
本作ならではの最大の特色は、この単行本第1巻、ラスト10Pにあると言っても過言ではありません!
その展開、本作の世界観全てをひっくり返しかねないとんでもないもので……!!
それは一体何なのか?
このタイトルの理由もわかるそのラスト10P、そこには驚愕と、謎、先の展開への期待がつまっていて……!!
中味が何なのか、それはぜひとも皆様の目でお確かめください!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!