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今回紹介いたしますのはこちら。

「強制レンアイ」第1巻 こじまたけし先生 

竹書房さんのバンブーコミックスより刊行です。



こじま先生は、小嶋武史名義で02年ごろから活躍されている漫画家さんです。
読み切りを何作か発表しつつ、若木民善先生のアシスタントをされていたようですが、11年に初連載作品となる「PLUG」を発表、そこから現在の名義に変更されました。

今までのキャリアのほとんどを小学館さんのサンデー系列の雑誌で詰んできたこじま先生でしたが、本作は新天地、竹書房さんのウェブコミックでの連載となります。
そんなこじま先生の最新作は、ラブコメ……ではあるのですが……?



蒼井春隆、17歳。
彼は今日、思いもよらない場面に直面していました。
生まれて初めて女子から告白されていたのです。
それも、由緒正しい生まれのお嬢様で、容姿端麗成績優秀、学校のアイドルと言っても過言ではない女性、金城ひかり先輩に、です!
そんな彼女ですが、様々なタイプの男性と付き合ってはすぐわかれてしまう、「肉食系」なんて噂もありまして……
先ほどまで友人が、金城先輩が彼氏と別れたらしい、俺にもチャンスがあるかも、などと冗談半分本気半分で話していたばかり。
そんなあこがれの存在が、前から君の事が気になっていた、お付き合いしてほしい、と言ってきたのですからもう驚くしかありません。
春隆の返事はといいますと……まさかの、好きな子がいるんです、すみません、というお断りの言葉でした!!
少なからずショックを受けている様子の金城先輩、それでもすぐ気を取り直し、残念、今後はお友達として声をかけさせてもらってもいいかしら、と取り繕って去って行くのでした。

……去って行った金城先輩を見送った後、春隆は地面に突っ伏します。
馬鹿か俺は、もう俺に春は来ない!!
決してモテる方ではない春隆、自らチャンスを棒に振ったことを激しく後悔してみたり。
とはいえ、彼の好きな子がいる、と言うのは本当のようでして。
懐に大事にしまっている、おもちゃの指輪。
それを自らの左手薬指にはめ、こんなことを考えるのです。
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俺はまだこれを捨てられずに持っている。
あいつはもう捨てちまったかな。
おもちゃのだけど、俺とアイツと、おそろいのペアリング……

そんな物思いにふける春隆でしたが、金城先輩は人目につかない空き教室でこんなことを考えていました。
まさか私の告白を断る奴がいるなんて、こんなこと初めて。
男なんて下心しかなくて女の顔と体しか見てないくせに。
見るからにモテたことが一度もなさそうな男だから、気まぐれで告白してやったのに……
クソがっ!
怒りのままにロッカーを殴りつけ、その痛みでうずくまってしまう金城先輩。
どうやら彼女、容姿端麗成績優秀であっても、性格の方は褒められたものではなさそうです!!

そんなこんなで落ち込みながら廊下を歩いていた春隆。
そこに、彼の幼馴染である少女、花火が声をかけてきました。
感の鋭いところのある彼女に恋愛がらみの悩みがあることを看破されてしまいまして、春隆はその事を説明する羽目になってしまいました。
金城先輩のお誘いを断ったことを伝えますと、花火は明らかにほっとしたような表情を浮かべます。
花火と違って春隆は、お約束のようにそっち関係の感が鈍いご様子。
彼女の気持ちなど全く察することは出来ないのでした。
そんな二人でしたが、ここでまた告白シーンに遭遇してしまいます。
告白されているのは、ましろと言う少女。
このましろ、何を隠そう春隆の妹です!!
そんな真城は告白されてどうしたかと言いますと、こちらも好きな人がいるので、ときっぱり断ったではありませんか!!
春隆と花火はそのシーンに遭遇した時、まだ距離があったため断ったかどうかがわからず、ましろが一人になったところで詳しく聞いてみることにしました。
ましろが断ったことを知ると……あの告白して来た男子は女癖が悪いことで有名だったこともあり、春隆は大安心。
今日は一緒に帰らないか!?とにこやかに誘うものの、ましろにしねと一蹴されてしまうのでした。

ましろは花火と一緒にずんずん先に行ってしまいます。
それを見送る春隆に、声をかけてくるものが居ました。
そちらを振り向くと、そこにいたのは
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真っ黒な羽根と尻尾、頭には大きな角をはやした「悪魔」のような女性……?
彼女はこう名乗ります。
我が名はアスモデウス。
悪魔だ。

どうやら彼女、春隆以外には見えていない様子。
そこからも彼女が本物の悪魔であることは疑いようもありません。
そしてアスモデウスはこう言いました。
ニンゲンの恋愛エネルギーで育つ果実、「ピエンティ・フルール」を育てるのが私の目的だ。
お前は何故さっきカネシロとかいう小娘の告白を断った?
お前は求めていたはずだ、あの娘とすることを!!
何もかも曝け出せ、性欲、情欲、愛欲……全てを我に捧げよ!!
アスモデウスの瞳に見つめられているうちに、春隆の意識はもうろうとして、そして……!!

雨の降る中、屋上で春隆は金城先輩を呼び出していました。
そして、さっきはびっくりして冷静な判断ができなかった、こんな自分で良いなら付き合ってほしい、と言いだすのです。
金城先輩は、でも好きな人がいるんじゃなかったの?と返すのですが……春隆は言うのです。
いいんです、そいつとは恋人とかそう言うのにはなれないんです、絶対に、と。
すると金城先輩は、すこし考え……私の事を好きなら証明するためにここでキスをして、と迫ってきて……!

一方、ましろもまた「彼女にしか見えない何か」に遭遇し、そして先ほど断ったはずの男子を呼び出していました。
私も先輩のこと好きです。
胸元を大きく開いてそう言うましろ。
男はたまらず真城に迫り……!!

アスモデウスの魔力なのでしょうか。
欲望に操られた二人は、断ったはずの相手に迫るような真似をしてしまいます。
が、そこで春隆を瘴気に戻したのが、あのおもちゃの指輪だったのです!
ギリギリのところで正気に戻り、金城先輩に口づけしようとする身体を押しとどめるのですが、アスモデウスの魔力は今なおその体を突き動かそうとするのです。
そこで……春隆は思い出すのです。
おもちゃの指輪で誓い合った、幼い日の約束を。

ましろ、いつも一緒にいる男と女は「フウフ」っていうらしいぞ。
そう語りかける春隆にましろは、兄妹は夫婦になれないよ、と返すのです。
おれはましろとケッコンできないの!?と驚く春隆なのですが、真城はにっこりと笑ってこう言ってくれました。
ましろはいいよ。おにいちゃんのお嫁さんになってあげても。
そう言って、春隆はあの指輪をあげて……

その思い出を力に変えて、春隆は
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頭を地面にたたきつけて完全に初期を取り戻したのです!!
同時に、ましろも春隆の事を思い出して正気を取り戻し……!!
春隆は正気に戻ると同時に、キスを迫られている真城の姿を発見。
告白して来た男子の元へ突っ込み、蹴っ飛ばしてキスを阻止するのでした!!
アスモデウスは自分の力が人間に破られることに驚いたのですが、それよりもその瞬間にピエンティ・フルールが反応を見せたことに驚きます。
今まで様々な人物に、春隆のような行動を強いてきたらしいアスモデウス。
ですがどうしてもピエンティ・フルールが実ることはなかったのです。
春隆とましろの二人には、ピエンティ・フルールを成熟させる高い魔力を秘めた何かがある。
ですが二人がその力を生み出すためには、アスモデウスが理解できない複雑な恋愛プロセスがあるようで……
そこでアスモデウスはとんでもないことをしました。
二人の首に、魔力の蛇で作りだした刻印を刻んだのです。
それは、アスモデウスの意思ひとつで二人の首をあっさりと千切り落とす蛇の刻印。
解呪できるのもアスモデウスだけ。
……アスモデウスは、二人にこう告げます。
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2年以内に「つがい」を作ってもらう。
それができなければ、そのまま死ね。



と言うわけで、とんでもない宣告を受けてしまった二人。
春隆とましろ、二人の言う好きな人、と言うのはつまり、ましろと春隆……兄妹と言うわけです。
お互いはそのお互いの気持ちを知りません。
現代の倫理に照らせば、許されることではないのですから……本来ならばこのまま知らないで終わる思いだったのかもしれません。
ですがそれは、アスモデウスの登場で話が変わってきたわけです。
アスモデウスの求める「つがい」と言うのは当然、体の関係を持つ夫婦、と言うような関係でしょう。
死を逃れるためには、異性と関係を持たなければならない、でもそうするとずっと想ってきた相手とは違う人物と関係することになる。
かといって、本当の想い人と関係を持つわけにはいかず……

この後、二人はこれからどうするかを考えながらも、とりあえずは日常を過ごしていきます。
そんな中でわかるのは、アスモデウスがとんでもない力を持っていること、そしてアスモデウスの目的。
ふたりが「つがい」をつくり、アスモデウスが満足させる結果を生む。
今知る情報で今の二人が死の運命を逃れるには、それしかなさそうです。
迫りくる死と、望まない「つがい」作りの日々。
そんななかで二人は、お互いの気持ちに気が付くことができるのでしょうか。
そして気が付いた後はどうするのでしょうか。
そこに花火や金城先輩の思惑も絡み、今後のお話に絡んできそうなクラスメイトや怪しげな新キャラクターの影がちらつき……事態はどんどんと混迷していくのです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!