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今回紹介いたしますのはこちら。

「メイコの遊び場」第1巻 岡田索雲先生 

双葉社さんのアクションコミックスより刊行です。


岡田先生は08年に講談社さんの漫画賞を受賞してデビューした漫画家さんです。
「鬼死ね」「マザリアン」と、独特の雰囲気を持つ作品を生み出し続けておられます。

そんな岡田戦士の最新作は、やはり独自のセンスが光る作品となっています。
とある少女の日常を描く作品、ではあるのですが……



1973年5月。
左目に眼帯をした物静かな少女、メイコは、お父ちゃんと二人、大阪の街に引っ越してきました。
夜は「お仕事」があるのですが、日中にやることは特にありません。
通天閣が見下ろす空き地の片隅に置いてある土管に腰を掛け、日がな一日やり過ごすのです。
そんな空き地では、子供たちのグループが遊んでいました。
その子供たち、やはり見慣れない女の子の存在が気になるようで。
ひそひそと何者なのかと言う話をするのですが、とりあえず放っておこうと言う事になり、彼らは彼らで遊び続けるのです。

あっという間に時間は過ぎ、緋も暮れ始めました。
子供たちはそれぞれの家に狩り始めまして、ちょうどそのころにはメイコにもお父ちゃんがお迎えにやって来ます。
子供たちの中のリーダー格、アスマは、結局一度も声をかけてくることもかけることもなかったメイコが気にかかっているようでしたが……その日はそのまま、何事もなく終わってしまうのでした。

そう、何事もなく終わります。
メイコの「仕事」も、なにごともなく。
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一様に倒れ、うめき声を上げるやくざものと思われる男たち。
彼らはただ倒れているだけでなく、正気を失ってしまっているようです。
これをすべて、このメイコと言う少女がやったと言うのでしょうか。
この仕事を依頼したハンチング帽の男も信じられないようです。
が、その結果は疑う余地がないわけで。
お父ちゃんの要求する、一人5000円の仕事量を払うのでした。

翌日も一人土管の上で時間を潰すメイコ。
例の子供たちも同じように空き地で遊んでいたのですが、遊びに使っていたボールがメイコの方へと転がってしまいます。
遊馬が声を張り上げ、ボールを投げてくれとメイコに声をかけますと……
メイコはボールを拾い上げ、そのまま手に持って走り寄り、手渡しでボールを渡してきたのです。
投げるのは得意じゃない、きっとまっすぐ飛ばないわ。
そう言うメイコに、アスマは一緒に遊ぶか、と誘いました。
アスマはひとりぼっちの子を見る時になって仕方のない面倒見のいい少年のようで、仲間たちもそんな彼の行動には慣れっこの様子。
遅かれ早かれこうなると思っていた、俺たちは心広いから仲間に入れたるわ、と生意気なことを言いながらメイコのことを迎え入れるのです。

ボール当てをしよう、とアスマ。
メイコがルールがわからないと言うので教えながらゲームを進めることにした……のですが、まずじゃんけんで鬼を決める、と言う最初の段階からつまずいてしまいます。
なんとメイコ、じゃんけんすら知らないと言うではありませんか。
なんだじゃんけんも知らないのか、けったいな奴や、と子供たちがメイコに声を揚げ始めましたので、そこでアスマが流石の気遣い力を発揮。
お前ら「虫けん」ってしってるか?と話を変えて行ったのです。
虫ケンとは、要するにじゃんけんなのですが、出す手がグーチョキパーではなく、ヘビ、カエル、ナメクジのいわゆる三すくみになっているのです。
指の形は違うもののルールは普通のじゃんけん。
アスマ以外の子供たちはみんな虫ケンのことなど知らなかったのですが……それこそがアスマの狙い。
知らないことはこれから覚えたらいい、俺はいろんな遊びを知ってるからいくらでも教えてやる、とメイコを含めた皆に言うのでした。

グーが石、チョキが鋏、パーが紙。
メイコが基本をしっかり覚えたところで、様々なじゃんけんをしていくことになりました。
足の位置でグーチョキパーをつくる足じゃん、口の形でじゃんけんをする顔じゃん、そして舌の出し方で勝負する舌じゃん。
ボール当てのためのじゃんけんだったはずが、いつの間にかじゃんけんそのもので遊び始め……
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気が付くと、日がくれて夜になっていたのです。

その夜の仕事は、ハンチング帽の男が同行することになりました。
メイコの仕事がどうしても見たいとのことで……最初は渋っていたお父ちゃんは、1000円と引き換えに許可を出したのです。
ですがその見学に、ひとつ注意してもらわなければならないことがあるのだとのこと。
それは、メイコの顔を見てならない、という物。
一体メイコの顔には何があると言うのでしょうか……?

ターゲットの男が一人路地を歩いているところに、メイコが後ろから近寄っていきます。
おもむろに眼帯を外したメイコ、背後から男に……普通に声をかけました。
呼びかけられた男は振り返るのですが……そこにいたメイコは
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通常ではありえない形でついているうえ、その色も異様な左目があらわになっているのです!
うわ、なんや気色悪い。
男が反射的にそう漏らしたその時には、もうメイコの仕事はほとんど終わっています。
いつの間にか男とメイコは二人だけで、枯れ木がポツンぽつんと辛うじて生えているだけの、地平線が拡がる荒野に立っていました。
これがメイコの力。
メイコの左目を見たものは、メイコの中に引きずり込まれてしまうのです……!
メイコは男に語り掛けます。
じゃんけんしましょ、勝てばここから出してあげる。
何を言ってんだ、わけわからん、と男は叫ぶのですが、有無を言わさず「じゃーんけーん……」と声をかけられてしまうと、ついつい手を出してしまうわけで。
男が出したのはパー、メイコが出したのは……グー。
勝ったけど?と男がメイコに問いかけますと……メイコは少し考え、どこからともなく一枚の大きな紙を出しました。
そして男にこれを持って、とその紙を手渡します。
わけもわからず紙を持つ男、対するメイコはいつの間にか自分の拳より一回りは大きい石をもっています。
そしてひゅんと軽くそれを投げると、
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じゃんけんのルールなどお構いなしに紙を突き破り、そして男の体を突き破ったのです!!
さらに苦しむ男の上に、さらに巨大な石を降らせてぷちっと潰してしまうのでした!

メイコの心の中では、何もかもがメイコの自由自在。
まさに無敵で、その無敵のメイコによってターゲットとなった男たちはこうして心を壊されてしまうわけです。
心の中、見てみたい。
思わず漏らすハンチング帽の男ですが、メイコの力を間近で見ただけに……巻き添えをくってターゲットと同じ目に遭う恐ろしさは十分わかっていて、実行に移そうとはさすがに思えないのでした。

そんなメイコの無敵の力を他の誰より良く知るお父ちゃんですが、だからこそ今日の仕事の違和感に気付いていました。
いつもより時間がかかったが、どこか悪かったのか?
そう問いかけるお父ちゃんに、メイコは答えるのです。
じゃんけんしたの。
この人はパー。
わたしはグーよ。



と言うわけで、メイコの「遊び」を描いていく本作。
大阪の地でメイコは、アスマたちと出会って今まで知らなかった遊びを覚えて行きます。
そしてその遊びの相手を、標的である男たちにしてもらうことになるのです!
ほとんど感情を現さないメイコですが、アスマたちとの遊びは確実に彼女の心に響いているようで。
遊びを覚えて行くとともに、少しずつ変わっていく彼女の様子も本作の軸となっているのです!

とはいっても本作のメインはやはり、メイコがその遊びで標的を壊していく様。
この第1話ではじゃんけんで……多少のルール破りはありましたが、見事に壊して見せました。
第2話以降も、1973年と言う昭和真っ只中、子供たちがしてきた遊びを次々に覚え、その遊びをもって次々に男たちを壊していきます!
そんな無邪気で残酷な遊びがたっぷりと堪能できるのです!

少なくとも今巻の間はハンチング帽の男がその依頼主で、彼のある目的のためにメイコとお父ちゃんは仕事を受け持っている様子。
物語の方も、ハンチング帽の男の目的、メイコの力の秘密、暴動が頻発していた当時の大きな時代のうねり、姿を現す「同業者」、そしてメイコに見え始める心の動きと、様々な要素が同時進行。
メイコの遊びだけではない、今後の展開に注目せざるを得ませんね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!