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今回紹介いたしますのはこちら。

「死もまた死するものなれば」第1巻 原作・海法紀光先生・桜井光先生・モンスターラウンジ 作画・狛句先生 

富士見書房さんのドラゴンコミックスエイジより刊行です。 


狛句先生は15年ごろから活動されている漫画家さんで、当初はちょっとエロスな作品やアンソロジーを、メインに活躍されていました。

そんな狛句先生が、「がっこうぐらし!」の海法先生と、小説家・脚本家として活躍されている桜井先生、モンスターラウンジ(戸堀賢治先生)との4人で力を合わせて生み出す作品が本作です。
そのタイトルから想像できるように、血生臭いお話なのですが、ただそれだけではない驚きの仕掛けが数々用意されている作品となっていて……!?



探偵・久々湊錠(くぐみ じょう)。
彼は依頼を受けてとある観光地のホテルに向かっていました。
その観光地は人影もほとんどなく、ひっそりと静まり返っています。
そしてホテルの支配人が語った依頼は、5日前に支配人の妻が、そして2日前には宿泊客の女性が忽然と姿を消したと言う驚きのモノだったにもかかわらず、警察が動く気配はないのです。
一体何が起こっているのか。
それは、この国に、この星に起きた大きな変化が一つの原因となっています。
地球温暖化が進んだことによる、急激な水位の上昇。
気が付けば日本の陸地はすでに半分になっていて……
活気を失った日本はこの有様。
警察も明確な事件性のある事件でしか動かず、藁にもすがる思いで支配人は探偵に依頼をしたと言うわけです。

そんな錠の後ろにくっついてやって来た女子高生がいます。
彼女は一望寺晴(いちぼうじ はるか)。
学校をさぼっていたところたまたま錠を見かけ、さぼってもやることがないし、面白そうだからと状についてホテルまでやって来てしまいました。
地元の子ですから最初はホテルまでの道案内だけさせてやるつもりだった錠ですが……
この地に伝わる「ミナカミ様」なる土着の神の話を聞いたりしているうちに何のかんのとホテルまでつき、そして錠の助手を勝手に名乗って首を突っ込んでしまうのです。

さて、事件はどうなのか。
錠は今このホテルにいるすべての人間に話を聞いて回ることにしました。
まずは従業員・三門。
彼によれば滞在客は4名で、使っている部屋は3室とのこと。
全員が1週間以上の長期滞在客とのことで、三門の案内で一人一人話を聞いてまわることにします。
まずはいかにもと言った極道、権藤。
彼は都会の喧騒から逃れて心を休めているんだから余計なわずらわしさを与えてくるな、と錠に凄んできます。
錠は意に介さず、貴重な意見をどうもと受け流して次の部屋に。
そこであったのは、小海とるぅ、という姉弟でした。
その日はずっと部屋にいたと言う姉弟、中学生と小学生と言ったところ。
ここには観光できたと言いますが、観光でこんな幼い二人だけでやってくるでしょうか……?
最後に会ったのは、民俗学者の神賀です。
彼はミナカミ様をはじめとした土着の神のことを調べているそうで、このミナカミ様はこう言った信仰の対象には珍しく「姿」に関する情報が一切ないことに着目していました。
しかも釣りをしたら一匹魚を海に戻してやらないと罰が当たる、という言い伝え以外の情報が全くない、というのも気になるそうで……

とりあえず全員から話を聞いた錠は、周囲の探索に出ます。
そこで見つけたのは一体の道祖神と、海に沈みかけている洞窟でした。
おそらくこれがミナカミ様の祠なのでしょう。
と同時に、神賀の調査結果から考えると、かつてここにあったと言うお城から逃げるための抜け道だった、と思われます。
もしかしたらホテルに繋がっているかもしれませんが、なにせ洞窟は水没してしまっているわけで。
ここを行き来して犯人が被害者を連れ去った、とは考えづらいと言わざるを得ないでしょう。

夜になりました。
流石に晴はもう帰った……と言いたいところですが、にわかに振り出した大雨でホテルから出るための唯一の道が水没。
やむなくこのホテルで一泊することになってしまいます。
がっくりする晴ですが、それでもめげずに状にこんなことを言いだしました。
あの小海とるぅの姉弟、何かわけありに違いない。
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自分が依頼人になるから、あの二人を助けてあげてくれないか、と。
お金は働いて返す、と言う晴の本気の表情を見ては、流石に断り切れず……
錠は彼女の依頼を受けてあげることにしたのでした。

そして、事件は大きなうねりを見せ始めます。
翌朝早くに見つかった、
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三門の変死体。
胸を何度も刺されたその死体を見て、錠は事態の収拾を急ぐ必要があると察知。
すぐさま目星をつけた犯人を問い詰めたのです。
それはやはりと言うか以外にと言うか……権藤でした。
権藤は人身売買をしていて、姿を消した二人をひそかに売り飛ばしていた。
そして三門はどうしても消さなければならない事情ができて消した……
そう問い詰めるのですが、やはり証拠はなく、そして権藤もなぜか余裕の表情を崩さないのです。
おそらく推理はほとんど間違っていないはず。
それなのに彼が余裕なのは何故なのか。
何か見落としていることがあるのか……?
一旦引き下がり、現場の状況を整理する錠。
そこで支配人が三門の殺害現場で見つけたと言う怪しげな魔方陣の画像を見て、ハッとするのです。
錠が慌てて向かったのは、小海とるぅの部屋。
ですがそこには誰もおらず、代わりにどこかから激しい銃声が聞こえて……!!
銃を持っている人物など、一人しかいないでしょう。
今度こそ幕引きだと権藤の部屋に向かうと、そこにいたのは……骸となった権藤と、窓際に立っていた小海とるぅの二人です。
そして、小海は錠にこう言いました。
来ない方がいいわ、と。
錠はとっさについてきていた晴を突き飛ばします。
そして密かに隠し持っていた銃を、「なにか」に向かって乱射するのですが……
錠の姿は何かに引っ張られるようにすっと消え、嫌な音が鳴り響いたかと思うと、再び倒れこむようにしてその姿が晴の視界に戻ってきました。
その身体には……
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頭が、ありません。
あまりの出来事に硬直する晴。
そしてそんな晴の前に、錠をそんな姿にした存在がゆっくりと姿を現すのです。
水より来るもの。
鱗あるもの。
限りなく喰らい、育ち、やがて聳え立つもの。
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深きもの(ディープワン)、が。



と言うわけで、衝撃的な幕開けを迎える本作。
連載開始当初は「迷宮探偵 久々湊錠(仮)」のタイトルで幕を開け、そしてこの衝撃の展開とともに現在のタイトルへと改題されました。
当初は少し変わった世界観での探偵もの、と思わせておいてのこの衝撃の展開!
あの海法先生がかかわっているだけに普通のお話にはならないのはわかっていたものの、こうまで思い切った展開を迎えるとは……!!
この後物語はもちろんがらりと毛色を変えて進んでいきます。
「深きもの」が姿を現したことで、事件の全容が明らかになり、そして深きものから逃げる、あるいは戦うと言う展開へ。
相手が銃をものともしない怪物とのことで、権藤や錠がいない今どうやって戦えばいいのか見当もつきませんが……
鍵を握るのはやはり晴と、「なにか」があることをにおわせていたあの姉弟というわけです。
果たして、雨による水位上昇で巨大な密室と化したこのホテルから、どうやって脱出するのか?
深きものとどう対峙していけばいいのか?
深きものの目的は?
誰かが生き残ることは出来るのか?
そして謎多きあのキャラクターやあのキャラクターはどうなるのか……!!
第1巻で序章ともいえるこのエピソードが完全収録となり、そして物語は新たなスタートへ。
おそらくこれからも数々の驚きが待っているであろう本作、ますます目が離せなくなること必至です!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!