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今回紹介いたしますのはこちら。

「キン肉マン」第68巻 ゆでたまご先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。


さて、運命の王子たちとオメガ・ケンタウリ六鎗客の激戦がクライマックスを迎えている本作。
戦いはとうとう六鎗客のリーダーであるアリステラと、運命の王子最強の男、フェニックスの激戦を残すのみとなったのでした。


かつてフェニックスのチームメイトとして戦ったオメガマン。
彼の名はディクシアといい、アリステラの弟でした。
ディクシアはオメガの民の悲願を達成するために一人地球にやって来て、そしてザ・マンの懐に潜り込まんと画策。
そのひとつの結果としてフェニックスチームの一員となったのです。
ですがその狙いははずれ、結果としてディクシアは戦いに敗れてしまったのですが……
その死因は、戦いに敗れた結果ではありませんでした。
追い詰められつつあったフェニックスの苦し紛れともいえる行動に巻き込まれ、その結果としてディクシアは死んでしまったのです!!
そう、ディクシアを殺したのは、フェニックス……!
アリステラからすれば、敵に負けたのならばまだしも、味方だったはずのフェニックスに殺されたと言うのは絶対に納得してはいけないこと!!
そんな因縁もある二人なのですが、フェニックスはその事実を知ってむしろ高笑いをするのです。
実はフェニックス、戦いの中でディクシアを殺めてしまったことを、改心したいま反省を捨ていたと言います。
ですが、アリステラから当時のディクシアの本当の思惑を知り、その悔いがなくなったと言うのです。
あの戦いでディクシアを殺し、その上キン肉マンに負けてしまった。
それはすべて正解だった、とも!
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万が一あの戦いでフェニックスが買って王位を継いでいれば、今頃ディクシアの計画の片棒を担いだことを大公開することになっていた、だがあの日に破れたおかげで結果的にすべて阻止できた……
これはますますキン肉マンに借りができてしまったな、とフェニックスは苦笑いするのでした。
アリステラからすればその発言は、どこまでも自分たちを馬鹿にしたものにしか聞こえません。
ただでさえ燃え上がっていた怒りの炎をさらに燃え上がらせ、アリステラはお前の命で落とし前をつけたやる、とフェニックスに跳びかかります。
がっちりとロックアップした二人、すぐさまフェニックスがアリステラに圧し掛かって体勢を崩しにかかりました。
アリステラはすぐさまそれを振り払い、今度は体を翻してヘッドロックに移行……したものの、それに対応するであろうフェニックスの動きを見こし、そのままフェニックスの左手を後ろ手にとって、アームロックを極めに行きました!!
ところがフェニックスは余裕の表情。
このやり取り懐かしいわ、と笑いながら、体を回転させてアームロックから脱出。
追撃にはなったアリステラのソバットも難なく回避し、その蹴り足をつかんでフィッシャーマンズスープレックスでキャンバスにたたきつけるのでした!!
実はフェニックス、かつてディクシアとはさんざんスパーリングをしていたとか。
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双子だけあってその戦法は非常に似通っていて、その戦い方が手に取るようにわかると言うのです。
……が、やはりそう簡単に勝たせてくれるアリス寺ではありません。
突如としてアリステラの攻撃が、フェニックスの読みを外してくるようになったのです!!
読んだはずのハイキックで逆をつかれ、バックドロップに行けばアリスタラの背中の大きな手の親指で脇腹をえぐられて逃げられてしまい……
これは、フェニックスがディクシアの動きを知っているからこその誤算でした。
ディクシアの持つ背中の手、オメガハンドは右手。
ですが双子のアリステラが持つオメガハンドは左手……左右対称なのです!
それだけに癖も左右対称に出るようで、おそらくアリステラは敢えてその癖を出してきたのでしょう。
その思惑通り読みを外してしまったフェニックスの好きを付き、アリステラは反撃に出たのです!
まずはそのオメガハンドで強烈な一撃!!
そしてフェニックスの体をオメガハンドで鷲掴みにして、その上アリステラ自身の両手でがっしりとフェニックスの両足をクラッチして真っ逆さまに叩き落とす、
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Ωアポカリプスクラッシュをさく裂させたのでした!!
……普通の超人ならば、この技を食らえば即死。
いかに実力者のフェニックスと言えど、大ダメージは免れない……
そのままゆっくりとマットに倒れこむ、かと思われたその時!!
フェニックスはバンとマットに手をつき、そのまま体を反転させて、膝立ちの状態になってダウンを防いだではありませんか!!
しかも……なんでしょう、それほど大きなダメージを負ってはいないような……?
流石はフェニックスと言うところか、とフェニックスを称えるアリステラ。
技を食らった方のフェニックスは、こんなことを言うのです。
いや大した技だった、驚いたさ。
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だがそれも俺をしとめるには、高さが60センチ、角度が15度足りなかったな。
この技の仕掛けに入ったのは、俺が失敗した技の切り返しから。
つまり俺のための間合いから出たものだから決めきれなかったのだ。
まさかの……アドバイス……?
このフェニックスの余裕は何なのでしょうか。
……ここから、無印キン肉マンではあまり生かされていなかった気がする、フェニックスの「知性」による戦いが始まるのです!!



と言うわけで、フェニックスVSアリステラの戦いが繰り広げられる今巻。
お話の流れ的にどちらが勝つのかは読者の皆様、何となくわかってしまうかもしれませんが……
運命の王子たち最強のフェニックスと、六鎗客のリーダーによる頂上決戦はやはり見ごたえ十分!!
ゆで先生らしいフェニックスの「知性」の発揮ぶり、アリステラの技の多彩さ、そして二人の意地!
さらにそこに、今回の敵ならではのおもわぬ「力」の発現や、フェニックスの葛藤と決意などなど、様々な要素が混ぜこまれ、攻防の目まぐるしく変わる激戦となるのです!!

そんなバトル面での見どころはもちろんのこと、キン肉マンならではのお楽しみもきっちり用意。
キン肉マンと言えばゆで理論と言われる独特の理論が見どころの一つ。
今巻ではあの有名な武将とあの超人の間にあったまさかのかかわりがあったことなどが明かされ、バトル面以外でもゆで先生節が大爆発!!
フェニックスとアリステラの戦いの興奮冷めやらぬうちに、「次」の存在もちらつき、ますます本作から目が離せませんよ!!

ちなみに個人的に今巻でゆで先生が一番やってくれやがった!!と思ったのは、表紙カバー折り返しの作者のコメントだったりします。
あのコメントをしてからの、読み終わった後の「あれ?」感……
ゆで先生、流石としか言えないです!!




今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!