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今回紹介いたしますのはこちら。

「ひとりかごめ」 雨がっぱ少女群先生 

竹書房さんのバンブーコミックスより刊行です。 


雨がっぱ少女群先生は、07年に青年向け雑誌でデビューした漫画家さんです。
その後09年に引退を表明されましたが、その後原作者の方を付けることで少しずつ漫画を描かれるようになり、18年に全年齢向け作品「麻衣の虫ぐらし」の連載開始で完全復活されました!!

雨がっぱ少女群先生と言えば可愛らしく美しい女性キャラが魅力の一つですが、09年に引退された時の最終作や、原作付きで復帰された後にもさまざまな雑誌でホラー漫画を描かれています。
本作はそんなさまざまな場所で発表されたホラー漫画に描きおろしを加え、一冊にまとめたホラー短編集。
雨がっぱ少女群先生のホラー作品を一気に読める本作、今回はその中の一作、「ペット」を紹介させていただきたいと思います!



ツインテールの少女の掌の上ではねる、小さな丸い、何やら可愛らしい生き物。
その飼い主であるツインテールの少女は、この子はちゃんということを聞くし、おとなしいし、一緒に歌を歌ったりもするんだよ、とその生き物のことをお友達の眼鏡の女の子に教えてあげていました。
その可愛らしさに眼鏡の子もその生き物に心ひかれているようですが……そもそもこの生き物はなんなのでしょう。
なんて生き物なの?と尋ねると、ツインテールの少女は答えるのです。
うん、実はね、この子……
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「私」なの。

数日前のことでした。
ツインテールの少女は、ペットショップで悩んでいました。
犬や猫はちょっと高いし、やっぱりハムスターかな。
でも、ハムスターは2~3年で死んじゃうんだよね……
そんなことをひとり呟いておりますと、そのつぶやきが聞こえていたのか、ペットショップの店長らしきおじいさんがいつの間にか横に立っていて、短命のペットはお嫌いかな?と尋ねてきました。
独り言を聞かれた恥ずかしさでほほを染めながら、少女は死ぬと悲しいし、と答えますと、おじいさhんは亀は長生きだけどどうかなと勧めてくれました。
ですが爬虫類系はどうも苦手なようで、少女はそれを断り、そして結局は人間の方が長生きでしょ?とうつむくのです。
するとおじいさん、フムとうなずいたかと思うと、いきなり少女の上着をぐいとめくってくるではありませんか!
突然の出来事に呆然とする少女をよそに、おじいさんは、お嬢ちゃんはあまり肉付きがよくないね、などと言い出します。
そしてようやく事態が呑み込めた少女が大声をあえて暴れますと、おじいさんはそんな少女をたしなめ、暴れると肉が取れないよ、と何やら物騒なことを言い始めるではありませんか!
おびえる少女のおなかの肉を、少しつまむおじいさん。
すると傷も痛みも一切伴わず、お腹からお団子くらいの大きさの肉が取れたのです!!
よーしとれた、とおじいさんはその肉の団子を少女の掌に乗せました。
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さあ見てごらん、それがお嬢ちゃんの理想のペットだよ。
手のひらに乗った肉の団子は、いつの間にか目や口、小さな手足ができている可愛らしい姿に代わっていて……!

一目でその子を気に入った少女は、それ以来その子をペットとして買うようになりました。
おじいさんが言うにはその子は、少女と同じ寿命なのだとか。
ずっと一緒って素敵でしょ?と笑った少女の言葉を思い出しながら、眼鏡の少女はふとこんなことを思います。
もしその話が本当なら、たとえば……
その子が興味本位で家の窓からジャンプで飛び出して。
たまたまそのおうちが一階ではなく、マンションや団地の高層階で。
そのまま、地面に落下してしまう。
そんな事故が起きたとしたら……?
その瞬間のことでした。
眼鏡の少女の目の前で、突然
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ツインテールの少女の体がぐちゃぐちゃにねじれ、つぶれてしまったのは。
……目の前で起きた、信じられない、でも信じるほかない恐ろしい光景。
顔を真っ青に青ざめさせた眼鏡の少女は、ひどく、ひどく後悔するのです。
どうしよう。
なんで私は、
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こんなモノを……
少女の掌には、小さな、可愛らしい……「私」が、乗っていて……



と言うわけで、短編ながらぞっとするお話が掲載された本作。
目の前で突然友人がつぶれるという恐ろしさ、「私」という得体のしれないものとそれを生み出すおじいさんの得体の知れなさ、そして何よりもこれから先の眼鏡の少女の運命を考えるとぞっとせずにはいられないのではないでしょうか!
そんなお話の他にも、超短編から20ページを超える少しボリュームのあるお話まで、実に12編が収録されております。
人気のないスーパーで行われる入荷作業を描く「消費者の呻き」。
オチが衝撃的な、幽霊の出やすいという工場で起きる怪「工場勤務」。
描きおろしの表題作で、不気味さとシュールさを兼ね備え、本作には珍しい終わり方をする「ひとりかごめ」。
ただただ恐ろしい、理不尽に襲い掛かる不可避の絶望を描く「現象」。
追い詰められた人間がゆがんでいく様を描きながら、最後に静かで強烈などんでん返しが待っている「遺された調理法」……
そんなさまざまな恐怖の物語がたっぷりと堪能できるのです!!
スタンダードな物から奇抜な発想の物、インパクト重視の物までさまざま取り揃えたラインナップを、雨がっぱ少女群先生の丁寧に描きこまれた筆致であでやかに、悍ましく彩る……
そんなクオリティの高い一冊、ホラー好きのみならず一見の価値ありですよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!