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今回紹介いたしますのはこちら。

「血海のノア」第2巻 里見有先生 

竹書房さんのバンブーコミックスより刊行です。


さて、 優雅な豪華客船の旅、だったはずの船上が地獄の如き惨劇の場となってしまった本作。
その妖しい気配を感じ取ったカケルですが、なぜか彼になついてくる少女、ノアに連れられるまま船内をさまようことになってしまい……?



ノアに連れられた船内で出会った、シルクハットの男。
彼はカケルとノアを見かけると、度々すみませんねえ、と声をかけてきました。
カケルの陰に隠れるように小さくなるノアですが、男が離れなさいと声をかけますと、しぶしぶと言った体でカケルから離れます。
そして老紳士は眼鏡を外したかと思うと……右目がつぶれたその顔をあらわにし、残った左目でカケルを見据えました。
何も言わずただ自分を見つめて来るだけの男。
カケルはきょとんとするばかりなのですが、男はおかしいですねと首をかしげ……
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いきなりカケルの顔面を殴りつけたのです!!
強烈な一撃を浴び、翔は意識を失って倒れこみます。
少し前から同行していたあかりの父は、突然暴力をふるった男に飛びかかろうとするのですが、男に人にらみされただけで体が動かなくなってしまうのです。
男はそれを見て、そうそう、そうなるはずなんです普通は、と満足げ。
しかし続けて、前にも一人いたんです、あなたみたいな我々の力の及ばない人間が、と言いながら、翔の方へと近づいていきました。
そして、
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良く似ている、とつぶやきました。
そんな男を、ノアはカケルの頭を抱きかかえながら睨みつけます。
その瞳には、強い「何か」の力がたぎっていて……!
男はノアのその目を見て、冷や汗をたらしました。
分かりましたよ、そんな怖い顔しないでください、あなたの「お友達」と言うわけですね?
お部屋にお招きしましょう。
男がそう言うと、ノアはふっとその表情を和らげ、こくりとうなずいたのでした。

カケルが意識を取り戻すと、何やら長い机に座らされていました。
すぐ横にはあかりの父、正面にはあの男が座っています。
そして男は語りかけてきました。
おはようございます、あなたを歓迎しますよ、カケルさん。
男はそういった後、目を覚ましてまた暴れだしそうになったあかりの父を「落ち着く」ように命じ、カケルに質問をしてきました。
あそこで何をしようとしていたか、と。
その質問、カケルには全くピンとこないようで。
カケルが何も知らないようだということがわかると、男はノアのことを話し始めました。
わが娘ながらなかなか読めない所があるのです、ちょっと変わった子でね。
まあ知らないならいいんです、この子が気まぐれで連れ込んだんでしょう。
男の言うことはほとんど意味が分かりませんが、カケルにはどうしてもわかっておかなければならないことがありました。
マジックショーに出演させられていた人々……あかりが、どうなっているのか、を。
意を決してマジックショーに出ていた人はどこに行ったんだと尋ねると、男はこともなげにこういってのけます。
死にましたよ。
その質問をするってことは、お気づきなんでしょ?
……男に命じられ、おとなしくさせられているあかりの父。
表情を変えることすら許されていないようですが、かすかに浮かぶ涙、そして静かに響く歯ぎしりの音が、彼の怒りを表していました。
そんなあかりの父の分も質問を投げかけるカケル。
なにが目的なんだ、あんたらは殺人を楽しんでるのか。
男はニコリと笑うと立ち上がり、歩き回りながら話し始めました。
船は良いです、ここは俗世間から切り離された私たちだけの世界です。
我々は野蛮じゃない、たとえ殺す命であっても死の直前までは丁寧にもてなすのが礼儀です。
あなたのように勘の鋭い方にはかえって酷かもしれませんがね。
そんなことを話しているうちに、たくさんの給仕がやってきて、机の上を豪華な料理でいっぱいにしていました。
料理がならべ終わると、あかりの父は手づかみでその料理をむさぼり始めます。
これも男の命じたことなのでしょう。
男は、昨日まで生きていた新鮮な食材を使っていますからおいしいですよ、とカケルに料理を進め、そして話を続けます。
確かに殺しを楽しむ仲間は最近増えました、困ったことですよ、我々の品位を落としかねない。
しかしね、そもそもは単なる食事なんですよ。
いろんな食材を美しく並べて味わいたい、そういう喜びはあなたも知っているはずです。
人間の血液だけが唯一、私たちの渇きを癒す。
男はボトルから、グラスに真っ赤な液体を満たし、口に運びました。
吸血鬼。
幻想の世界にしかいないと思っていたそれが、今こうして目の前にいる。
そして彼は、そのすべてをカケルに明かしたわけです。
なぜ自分にそれを教えたのか?
カケルが尋ねると、男はこう答えたのです。
だから言ってるじゃないですか。
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あなたを歓迎しますってね。
と同時に開かれたカーテン。
そこからは甲板のプールが一望でき、そのプールの前に友人のトマが立たされていました。
トマはあかりの父と同じような術にかかっているのか、ぼーっと立ったまま身動きをしません。
そしてそんなトマに
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巨大な鎌が振り下ろされ……!!




と言うわけで、吸血鬼たちの食事が本格的に開始された今巻。
あかりの父を始め、死んだと思われていた人物がまだ生きていることがわかり、それは不幸中の幸いと言えるのですが……状況は全く変わっていません。
周りにいるのは人間をただの餌、あるいはおもちゃや使い捨ての愛玩動物としか思っていない吸血鬼ばかり。
目立った行動をすれば即座に動きを封じられてしまい、そうなれば後は吸血鬼の軍門に下るのを待つばかりになってしまいます。
今船上で最も安全な場所にいる人間はおそらくカケルでしょう。
カケルですら、男の真意がわからない中で追い詰められる形になっているというのに、危険極まりない吸血鬼たちの乱痴気騒ぎのただなかに放り込まれてしまっているカケルの友人たちは、もはや絶体絶命の場面に追い込まれているといっていいでしょう。
果たしてカケルの友人たちは、この恐怖から逃れることができるのでしょうか。
それとも、吸血鬼たちの餌となってしまうのでしょうか……
そして、カケルの方にも思いがけない選択肢が提示されることとなります。
カケルの、そして友人たちの運命を左右するかもしれないその選択肢、カケルは何を考え、どう選択し、そこからどう動いていくのか……?
更に船上ではとんでもない出来事が巻き起こり、船上の空気も一変!!
どうなっていくのか予測のできない本作、これから先の展開を見守るしかありません!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!