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今回紹介いたしますのはこちら。

「数字であそぼ。」第2巻 絹田村子先生 

小学館さんのフラワーコミックスより刊行です。



さて、一度見たものは消して忘れない驚異の記憶力を持ち、その記憶力で天才の名を欲しいがままにしてきた横辺。
ですが大学に入ると、横辺が全く理解することのできない「数学」という壁が立ちはだかり、自分が天才ではないと打ちのめされて引きこもり、なんと2留してしまいます。
そんな時、同じ2留の北方と知り合い、手探りながらも数学を少しずつ理解し、なんとか進学に向けての活動を再開することができて……?


後期日程が始まったある日のこと。
横辺は北方と一緒にお昼を食べていたのですが、しめし合わせたかのように二人は一緒のメニュー、かけうどん(172円)を食べておりました。
そして二人は、同じタイミングで、言いにくそうに話を切り出すのです。
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お金を貸してくれないか、と。

つい先日、親に2留していることがばれてしまった横辺。
今月になっていつもの仕送りが入っていないことに気が付き、電話をしてみますと、お母さんは電話口でこんなことを言ってきました。
今年一年で留年分が巻き返せるといっていたわね。
それができたら仕送りを再開してあげる。
……留年分が巻き返せたかどうかがわかる後期の成績が発表されるのは、四か月後です。
恐る恐るそのことを告げますと、母親は能面のような表情で答えたのです。
知ってるわよそれくらい、と……!

隠して無収入となった横辺。
引きこもっていた間はバイトもしていませんでしたが、今回ばかりはやらないわけにもいきません。
と、仕送りですべてまかなっていた横辺はそんなわけでお金が尽きたのですが、北方の方はきっちりバイトはしていたのです。
ではなぜお金が無いのでしょうか。北方はうっすらと涙を浮かべながらこう言いました。
サンドに吸われてしまった、と。
サンドと言っても砂ではございません。
パチスロ機の横についている、メダルを借りるための機械のことです、
要するに……博打ですっからかんになった、と。
横辺が言えることではないかもしれませんが、北方も大概最低と言わざるを得ないのでした……

裕福そうな猫田にお金を借りることも考えましたが、何せ彼は金の亡者。
トイチでなら貸してあげる、という高利を提示してきたためあえなくその案は却下されました。
バイト……はまあするしかないのですが、何せ今二人の全財産は合わせて3745円。全食かけうどんにしても1週間持ちません。
ならば日払いのバイトをすればいいといいたいものの、何せ二人は絶賛単位取得中。
平日はびっしり授業で予定が埋まっており、空いている土日まではとても食いつなぐことが難しそうで……
二人は校内を歩きながら、自炊をしようか、なんて相談もします。
しかしそれも、まともに調味料も、そもそもお米すらない二人にはハードルが高く……
横辺は追い詰められすぎて、ドッグフードはひょっとして食べられるんじゃないか、と提案してしまうのですが、いくらなんでも人としてその一戦は越えてはいけない気がします!
そうこうしている間に、二人は夏目に出くわしました。
聞いてみるだけならタダですから、お金を貸してくれないかと尋ねてみようとした北方。
ですが声をかけて振り返った夏目は顔面蒼白、まるで生気の失せた顔をしているではありませんか!
なんと彼女、昨日全財産の入ったお財布を落としてしまったのだとか……
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持ち金0円。
二人よりはるかに悲惨な目に合ってしまっている夏目……
流石にそのピンチを見過ごすことはできず、二人はなけなしのお金で夏目にかけうどんをおごってあげるのでした。

話を聞いてみますと、何か食べられるものはないかとゴミ箱をあさっていた、ととんでもないことを言う夏目。
横辺以上に浮世離れしている夏目は、アルバイトしてお金を稼ぐ、という発想そのものが無かった様子。
そうか、お金を稼げばいいのか、と当たり前のことで納得しています。
北方はと言うとまだ甘い汁が忘れられないのか、日銭が欲しいならパチスロ、競馬、宝くじ売り場のスクラッチくじといろいろある、とこの期に及んでギャンブルを提示しやがるのです。
が、そこで夏目はあることを思いつきました。
さっきあさっていたゴミ箱で、こんなものを拾った。
そういって、近所の商店街の福引き補助券を出してきたのです。
ゴミ箱にあったのは3枚。
5枚で一回引ける様で、それだけ集まらなかったから捨てたのでしょう。
ですが1等は30000円相当のでてのお楽しみの商品、2等は商品券1万円分、3等でも秋の味覚セット、さらに4等だったとしてもお汁粉セットがもらえるらしい、今の3人には魅力的な商品が並んでいるのです!

早速会場に向かった3人。
幸い最も欲しい2等、商品券10000円分(3本)はまだ一本も出ていないようです。
そこで夏目がくじの動向を監視、横辺たちは補助券残り2枚を入手してくることに。
二人を待つ間夏目はじっと様子を見ていたのですが……そこで彼女は、何やらメモをし始めて……

インスタントラーメンを買い込んで補助券二枚をゲットして戻ってきた2人。
すると夏目は、監視の結果を報告してきます。
まだ2等は出ていないわ、それと条件が付いた。
10回中8回外れで2回4等が出たの。
……くじと言うのはとても公平にできていまして、たとえば100本のくじの中に10本あたりがあると仮定すると、いつくじを引いても当たる確率は同じです。
が、条件が付いたときは確率が変わるのです!

夏目が10回連続でくじの結果を見て、今くじの中がどうなっているかある程度予想できるようになりました。
今出ているのは、3等が9本、4等が24本。
はずれの数は不明ですが、10回中8回外れが出たことから8割がはずれかもしれないと考えることができます。
今1~4等が6本残っていて、そのうち2等が3本、と言うことは……
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ざっくり言って5回に1回はあたりが出て、そのうちの50%は2等、ということ!!
今が引き時だとやって来た2人、北方は横辺にすべてを託しました。
何せ北方はいま完全にギャンブルの神に見放されていますから……
横辺は、ものすごいプレッシャーのかかる中……意を決し、くじを引きました!
すると、出てきたのは……銀色に輝く球!!
と言うことは、当然……1等でした!!
……1等……?
なんでも金色の球は何年か前に紛失してしまったとの事で、それ以来代わりに銀色の球を1党にいしてるんだとか。
商品券が欲しくてたまらない一同でしたが、それでも1等は3万円相当の何か。
他の商品の流れからしても、食べられるなにかではないかという期待がかかるわけですが……その商品は、
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商店街のゆるキャラ、「でるたん」の等身大着ぐるみでした……

結局でるたんの着ぐるみは夏目が持って帰ることになりました。
お目当てのものではないということに全く落胆せず、くじの中身を尤度関数で計算しきったことで満足している夏目は、ご満悦で帰っていきます。
二人は、決して楽をしてはいけないんだなぁ、と言うことを思い知らされ、5限目の授業に出るため学校に向かうのです。
結局ひとりあたり500円無駄に使っただけだった、と落胆する横辺。
その一方で、もしかしたら自分にあたるかもしれないという希望、くじを引いて当たった時のドーパミンの分泌、負けらからこそ次にトライして買った時の喜びが大きくなるなどなど、得るものはあったとギャンブル狂らしい言葉を並べる北方……
ギャンブルは期待値にかけるんじゃない、持ってるとか持ってないとかじゃなくて、チャンスは平等にあるんだ。
そう力説する北方、全く懲りていないようです……

が。
現実はくじではありません。
でるたんの着ぐるみと並んで公園のベンチに座っていた夏目ですが、そこに何やら近寄ってくる親子がおりまして。
子供はでるたんの大ファンだとかで、もしよろしければさっきくじ引きして出たこれと交換してくれないか、と……2等三本、10,000円分の商品券3つを差し出してきたではございませんか!!
やはり。持っている人は持っているのです。
そして、持っていない人は……今日を生きるため、バイトをするしかないのでした……



というわけで、くじにすべてをかけるエピソードを収録した今巻。
このエピソードでもしっかりと数学要素を混ぜ込んで、コミカルな日常を描いていってくれました。
この他のお話も同じように、くだらない日常と数学のミックスされた物語が展開していきます!!
本作の主人公である横辺と、そのはじめてにして最大の友人である北方をメインに据えているお話が多いのですが、今巻は夏目の活躍が特に目につきます!
紹介したお話でも「持っている」様をまざまざと見せつけてくださいましたが、この他にもあまりに浮世離れした彼女のあれこれが見られます。
なぜか他校の女子との合コンにしれっと混じってきたり、銭湯で横辺とでくわし、独自の感覚のあれこれを発揮してみたり、彼女の自室が暴かれる衝撃のエピソードがあったり……!
今まで掴みどころのない彼女が、ヒロインらしさ……は発揮しませんが、彼女らしさを存分に見せつけてくれるのです!!
さらに夏目の友人である世見子も登場し、ポンコツと数学しかなかった本作も華やかに……なるような、ならないような!?
横辺の大事な選択もある本作、今後もますます楽しませてくれそうです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!