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今回紹介いたしますのはこちら。

「ワールドヒーローズ」第1巻 横尾公敏先生 

小学館クリエイティブさんのヒーローズコミックスより刊行です。


さて、「百人の半蔵」の横尾先生の最新作となる本作。
漫画家になる前にも様々なお仕事をされていた横尾先生ですが、その中の一つにゲーム制作会社勤務と言う経歴もございました。
そのゲーム会社の名はADK。
今はもう存在せず、そのIPは格闘ゲームをメインに製作しているSNKの中でひっそりと活かされております。
……そんなADK最大のヒット作と言ってもいいかもしれない作品が、この「ワールドヒーローズ」シリーズ!
本作は発売していた会社がなくなるほどの長い長い期間、発売から25年以上を経て、なんと製作者(しかも結構それなりのポジションの!)によってコミカライズされる、奇跡の作品なのです!!



服部の里は炎に包まれていました。
女子供も容赦なく焼き払われてしまっているこの参上、織田軍の所業。
伊賀の国は滅亡し、服部の里も一族は皆殺し。
里の長であるハンゾウが駆けつけた時にはすでにすべてが手遅れで……
あと少し早く里に戻っていれば、里の者を少しでも救えたのに、と、ハンゾウの胸の中には悔いばかりがわいてくるのです。
拙者が弱く未熟なために……
もっと拙者に力があれば。
強く、強くなりたいでござる……
そう呻くように漏らすハンゾウのもとに、里の生き残りがやって来ます。
ご無事でしたか、すみません、残った私たちだけで里を守ることは……
生き残りがそう言いかけたところで、その背中に無数の矢が突き刺さります。
どうやら里を焼き払った織田軍がまだこの里に残っていて、生き残りを皆殺しにしようと探し回っていたようなのです。
絶体絶命。
そんな状況で……ハンゾウとともに外に出ていた忍者たちは、声を揃えました。
お逃げ下さい。
ハンゾウ様さえ生き残れば、一族の再興もあります。
……なにも堪えることのできないハンゾウ。
一族のことを考えれば、そうするしかないと言う事は痛いほどわかっているのです。
ですが、だからと言ってはいそうですねと逃げることもできず……
歯を食いしばり、血の涙を流しながら、ハンゾウは仲間たちが散って逝く姿を見つめます。
拙者がもっと強ければ。
拙者は頭目として未熟であった、すまないでござる。
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来世があるなら修業を積み、敵を寄せ付けない最強の忍びになるでござる!
ハンゾウは覚悟を決めました。
今持てるすべてを使って、織田に一矢報いる……!!
光を手裏剣に変え攻撃をする「烈光斬」。
自らの体を巨大な手裏剣に変え、敵を一網打尽にする「光輪渦斬」。
光の龍を見に纏い敵を塵と化す伊賀忍法最強の技「光龍破」……
ハンゾウはすべてを出し尽くし、せめてこの軍を率いる大将、織田信雄の首を獲らんと奮闘するのです。
が、戦局は多勢に無勢にもほどがある、もはやどうしようもない状況。
その上面白がった信雄が、ハンゾウの首を取ったものに百両やると言いだしたのですから……
遂にハンゾウは、乱射される銃を前に大地に倒れることとなったのです。
拙者にもっと力があれば……
そう言い残して、その命の灯火が消えようと言うその瞬間でした。
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爆裂究極拳、と言う叫び声と、巨大な爆炎がまきあがったのは!!
ハンゾウが目を覚ますと、そこには一人の男が経っていました。
どうやらこの男がハンゾウの手当てをしてくれたようです。
彼は「ブラウン・シュガー」と名乗り、ヒーローのスカウトをしている、と奇妙な自己紹介を始めます。
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自分は英雄などではない、自分は弱い、仲間を守ることもできなかった。
そううなだれるハンゾウでしたが、ブラウンは言うのです。
だったら強くなったらいい、君なら強くなれる、僕だったら君が強くなる場を用意できる。
普通の人間が束になってぶつかってもびくともしない存在、それが英雄。
僕が言っている「英雄」とはね、ワールドヒーローズという異種格闘技大会の「選手」のことなんだ。
そんな英雄たちと限界を超えた戦いを続ければ、君の能力は自然と強くなって行くさ。
君には帰る場所も守るものも今はない。
これから忍び狩りに怯えてくれす日々と、英雄たちと戦って覇道を目指す日々……
どうだい、僕と来ないかい?
ハンゾウへの勧誘を続けるブラウンですが、そこにまた別の男が現れます。
伊賀者、そのおっさんには気を付けろよ、目的のためなら何でも利用する食えねぇ奴だぜ。
そう言うその男は……あの大爆発を起こしてハンゾウを救った男、フウマです。
フウマもまたブラウンにスカウトされた英雄だそうですが……ブラウンは、手始めにハンゾウとフウマが戦ってみないか、と言いだしました。
フウマも乗り気のようで、忍者は一人で良いと言うところを見せる、と息巻いています。
当のハンゾウはと言うと……
ブラウンのこの言葉が決定打になったようです。
君は早く里に戻ることができたら一族を救えたと言っていたな。
僕たちの上に浮かんでいるのは、時間を自由に行き来できる機械だ。
君が英雄と戦い続け強くなり……里に早く帰れば……どうなるかな?
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そして戦いの幕は上がるのです。
ハンゾウVSフウマ。
二人の忍者の戦い、そして……
英雄たちが最強の座を掴み取るための戦い、ワールドヒーローズが!!



と言うわけで、まさかの再コミカライズとなった本作。
本作の原作が発売された当初は、格闘ゲームがブームだったことや、英雄同士が戦うと言うキャッチーな題材もあり、何作か漫画版も連載されていました。
中でも一番印象が強いのは、やはり雑君保プ先生の「ワールドヒーローズ2」ではないでしょうか。
もともと原作からしてギャグ要素もふんだんに盛り込まれていた本作、雑君先生の作風がマッチし、非常に親和性の高いコミカライズになっておりました。
そんな印象があっただけに、本作のシリアス要素の強いコミカライズは意外、と感じた方も少なくはないのでしょうか!?
コミカルな部分もないではないのですが、なにせ冒頭からこれですから……!
本作はこの後非常にテンポよく進み、ラスプーチン、マッスルパワー、Jカーン、ジャンヌと続々激闘が繰り広げられていきます。
この調子だと全2巻とかになってしまうんじゃないかと言う勢いで物語が進むのですが、今巻の最後には驚きのセリフで新たな展開を示唆してくれます!!
横尾先生の描く「ワーヒー」はこの後どうなっていくのか、興味は尽きません!!

さらに巻末には、最終的にADK内で結構な立場に立たれていたらしい横尾先生自ら明かす、開発裏話まで収録!!
まさかの再漫画化、まさかの開発者自身の執筆、まさかのここに来ての裏話と、まさか尽くしの作品となっているのです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!