cr0
今回紹介いたしますのはこちら。

「絶滅石」 蔵薗紀彦先生 

ぶんか社さんのぶんか社コミックスより刊行です。


さて、「AUTO MATON」を好評連載中の倉薗先生の最新作となる本作。
最新作と言っても本作の原型となる読み切り連作が掲載され、その後連載となったのが16年。
そして完結したのが19年と、長期連載作品だったりします。
本作は蔵薗先生らしい骨太なホラーサスペンス、
ですがなにせその連載誌が「主任がゆく!スペシャル」というターゲット層が凄くはっきりした雑誌での連載(しかも4コマ誌なので1話8P!)なだけに、いまひとつ知名度のなかったその内容はと言いますと……?



夏休みを目前にしたある日、ミロはケントに声をかけられました。
ケントは依然合同授業の時に少しだけ話したことのある、知り合い……と言うにも微妙なくらいの関係の男なのですが、そんな彼が突然ミロに夏休みの予定を聞いてきたのです。
家で勉強するつもりだけど、と言うミロの予定を聞くと、ケントはそれなら俺達と一緒に2泊3日のキャンプに行かないかと誘ってきます。
その同行者らしい男女は、ミロとは全く面識のない二人。
流石に気後れするミロなのですが、もう4人参加予定の人物がいて、その四人はみんな初対面だから、取り残されるようなことはない、と言います。
少しだけ安心するミロ。
ケントは、とにかく考えといてよ、せっかくの夏休み、一緒に楽しもうよ!と言い残し、去って行きました。
見知らぬ人たちと行くキャンプ。
不安ももちろんないではないのでしょうが、今までミロが体験したことのない未知のイベントを前に、彼女の胸は高鳴るのでした。

ミロは結局、キャンプに行くことに決めました。
揃った8人の参加者は、いかにもこう言うイベントを好みそうな人物から、こう言う集まりに進んで参加しそうではないタイプの人物まで様々。
自己紹介は道中で、と車に乗り込み出発するのです。
パーティーの始まりだ!
そう笑うケントの顔は……何故でしょう、何か企みがあるかのような、不穏なものを感じるのです。
……参加者の一人、ロビンは簡単なあいさつの後、ミロにこんなことを言いました。
cr1
俺たちが今から行く場所ってさ、昔大量殺人事件が起きたところだよね。
……突然降ってわいた不穏な影。
このイベントの裏には、何か隠された目的があるのでしょうか……?

目的地まではもう少しあるようです。
一同は休憩所だったと思われる廃墟に車をつけ、一休みすることにしました。
ミロは思い切ってケントに先ほどの件を尋ねてみるのですが、その事件が起きたのは何十年も前のことだから問題ない、景色がいい良いところだから、そんなこと気にしないで楽しもう!と笑い飛ばされてしまうのでした。
まだ不安の拭いきれないミロですが、そんなミロに今度は黒髪の女性参加者が声をかけてきました。
ミロだったわよね、あんたって何か地味ね。
遠慮なくそんな言葉を奈gかけてくる彼女は、ドリル。
彼女がミロに声をかけた理由は……トイレに付き合ってもらうためでした。
場所が場所だけに、トイレは外でするしかありません。
見張り的な人物もいないと、おちおち用も足せないのでしょう。
ドリルはその相棒(?)にミロを選んだことにも理由があるようで……どうもほかの参加者のチャラさに馴染めないのだとか。
そんなことをぼやいている間に用も終わりまして、みんなのところに帰ろうとしますと……
木陰から、斧を持ったピエロが現れるではありませんか!!
恐怖のあまり絶叫し、固まってしまうミロとドリル!!
……だったのですが、そのピエロは参加者の一人の男が、少しでも盛り上げようと仮装しただけのものでした。
ドリルはやっぱり絶対ノリあわねーわ、と拳を握りしめるのですが……何やら鼻につく匂いに気がついたようです。
それは、ある行動を取ったものからかおる特有の香りです。
ドリルは尋ねました。
なんか臭いんだけど、もしかして変なモン吸ってないわよね?
「チャラい」連中はその質問にはっきり答えず、真面目ちゃんだな、しらけること言わないでよ、サマーバケーションなんだし楽しもうぜ、とはぐらかしました。
再びミロの中に沸き上がる、今までとは違う不安。
彼らは本当に……吸っているのでしょうか。
弟子が実際はその時、一緒に行動していなかった

ロビンが、何やら「変なモン」をふかしていたのです……!

一同がたどり着いたのは、大きな別荘でした。
出迎えてくれたのは、ケントの知人であるメイス。
どうせ親の持ち物だから、酒も食糧も何でも自由に使ってくれ、皆で最高のサマーバケーションにしよう、と快く迎えてくれるのですが……
メイスの目つきは妙に鋭く、ここでもミロは不安を抱くことになってしまうのです。

ミロはドリルと同じ寝室を使うことになり、このイベントについて話をします。
良い別荘だし、酒も食べ物もただなんてすごい、あのメイスって人は何で貸してくれたんだろう。
ミロよりほんの少しメンバーの事情に詳しいドリルは、そう言ってメイスの不審な部分に触れました。
どうもメイスが知り合いなのはケントだけ、しかもクラスは別々で少し会話をしたことがあるくらいの関係なのだとか。
そんな相手に、こんな至れり尽くせりの別荘を貸してくれるなんて、どういうことなのでしょうか……?
ミロとドリルが首をかしげている間、別の部屋ではロビンと、二人の参加者がとんでもない計画を練っています。
計画通り今夜決行しようか。
酒をがんがん飲ませて、いい頃合いになったらこの部屋に連れてこよう。
参加者の女が、あんたって一見真面目そうなのに中味悪魔よね、とほほ笑むと……
ロビンは舌を出し、邪悪に笑って言うのです。
よく言うぜ、お前だってこんなとこまでこねぇだろ。
cr2
「コレ」と、「乱交(パーティー)」がなきゃ……
ミロとドリルは、別荘近くにある湖を眺めていました。
大きな月が照らす湖は美しく幻想的ですが、何となく不思議な空気も漂っているような。
するとそこに、この辺りに住む原住民か何かでしょうか、民族衣装を着た老婆がどこからともなく現れます。
ここに何しに来た。
悪い子とは言わん、今すぐ街に帰れ。
さもなくば……
験されるぞ。
32年ぶりじゃ、月と石が鳴りあっておる、「験しの月」でてしまった。
……この老婆の言っていることが何もわからない二人。
ためされるって?石ってなんですか?
そう尋ねると、老婆はこう答えました。
cr3
絶滅石じゃ、と。
その夜。
ロビンは予定通り飲み物に「コレ」をいれ、何も知らない参加者の女性を毒牙にかけようとしていました。
ですがその目論見はすんでのところで果たされずに終わるのです。
ロビンとともに計画を実行しようとしていた参加者が、いよいよと言う段階だったロビンを呼びつけ、見せたのが……
生きたまま
cr4
「箱詰め」にされた、参加者の一人!!
一体誰がこんなことをしたのでしょうか。
そもそも、普通の人間にこんなことができるものでしょうか?
……こうして、静かに幕は開くのです。
「絶滅石」が強いる、「験し」の時が……!!



と言うわけで、パニックホラーの教科書のようなスタートを迎える本作。
ですがそんな本作はこのあと、スタンダードな教科書通りのパニックホラーではない道のりを歩き始めるのです!
突然始まった惨劇。
早速参加者の一人が犠牲者になったわけですが、その犯人は誰なのでしょうか。
32年ぶりに出たと言う「験しの月」は、かつて起こったと言う大量殺人事件とかかわりがあるのでしょうか。
この後物語は思いがけない方向へ展開。
予想を超える意外なストーリーが描かれていき、犠牲者は増えて行き……
そして、とんでもないラストシーンへと向かっていくのです!!

誰がどんなタイミングで犠牲になるのか、誰かが生き延びることができるのか?
そんなハラハラする展開が楽しめる本作ですが、本作が連載になる前に発表された、原型となる読み切り三本も巻末に収録されております。
こちらは長編ホラーとなっている本編とは違い、一話完結型のオムニバス的なお話になっています。
こちらはこちらで読みやすく、興味深いお話になっておりまして……この路線のお話ももっと読みたかったような気もします!!
そんな読み切りと本編を一気に読める大ボリュームの280P超の一冊、読めばきっと満足できることでしょう!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!