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今回紹介いたしますのはこちら。

「SHIORI EXPERIENCE ジミなわたしとヘンなおじさん」第13巻 長田悠幸先生・町田一八先生 

スクウェア・エニックスさんのビッグガンガンコミックスより刊行です。


さて、人気バンド・タピオカズの帯同バンドの座と、大規模イベントBTLへの参加をかけたライブイベントに参加することとなった紫織たち。
参加しているどのバンドも素晴らしい実力を持っているのですが、3番目に演奏した「BLACK BUS」は下馬評通り……いや、下馬評を越えたとんでもない演奏を見せてきました。
紫織たち「SHIORI EXPERIENCE」は5番目、トリ。
さぞや緊張している、かと思われたのですが……?



BLACK BUSの演奏は流石と言う言葉でも足りないものでした。
全てを出し切って演奏した彼らは、ライブを終えた後の達成感や開放感などを全く感じさせない、まさに出し切ったと言うようにぐったりしています。
が、そんな彼らの疲れを吹っ飛ばすような出来事が起こりました。
参加バンドのグッズを売っている物販コーナー。
そこに、BLACK BUSのグッズを求める長蛇の列ができていたのです!!
今まで目が出ず、苦しい経験をしてきた彼らからすれば、およそ信じられない光景。
マジかよ、と思わず漏らしてしまうのですが……
よくよく見ると、その行列に紫織と井鈴が並んでいるではありませんか!
今日雌雄を決するライバルの物販に、笑顔で並んでいる……?
……お金が足りなくてすごすごと列を離れて行ったのはともかくとしまして、ともすれば余裕ともとれるその態度は一体……?

そして4番目のバンド、ガーターキーのライブが始まります。
BLACK BUSと比べては流石に見劣りすると言わざるを得ませんが、それでも会場はノリノリ。
紫織や井鈴はもちろんのこと、プリンスなんてノリノリで踊り狂っておりました。
そんな様子を、一歩離れた場所から見ていたBLACK BUSの面々。
敵のCDを買おうと列に並び、敵のライブで、しかも自分たちの順番が次に迫っているのにノリノリで楽しんでいる。
何から何まで自分達と正反対な彼女達が、一体どんなライブをやるのか?
興味がわかないわけではありませんが……彼らにとって、それは単なる興味にすぎないのです。
自分たちはやりきった。
「BLACK BUS」は負けない。
そう、確信しているのですから。

そしてガーターキーのライブは終わり、いよいよシオリ・エクスペリエンスの出番です。
瞬間、一同の今までの楽しげな雰囲気が鳴りを潜め……
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バンドマンの表情になりました。
……が、ひとり、プリンスだけはまだスイッチが入っていないようです。
ガーターキーのライブで踊った余韻に浸っているうちに、他のメンバーに置いていかれてしまい、慌ててそれを追いかけようとするのですが……
そこでプリンスは、タピオカズのメンバーを発見するのです。
そのメンバーは、以前プリンスを、シオリ・エクスペリエンスの「サポートメンバー」だろう、と言ってきたメンバーです。
その一言は、プリンスに大きな衝撃を与え……
彼の心を大きく揺らがせた人物です。
プリンスの胸は激しく高鳴り、そして脳裏にはあの言葉がよみがえります。
ですがそれはプリンスにむしろいい影響を与えたようです。
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今までの表情とは一変し、シリアスな顔になるプリンス……!
そう、こここそが彼の評価を検めさせるための、最高の舞台なのですから!!

様々な人物が見守る中、MCのアナウンスが入ります。
現役の高校教師と生徒で結成された、フレッシュな「スクール・オブ・ロックンロール」バンド、「シオリ・エクスペリエンス」!!
アナウンスとともにステージ上に登ってきたのは……台場一人……?
微かにざわつく会場の中、一呼吸ついて、ドラムをたたき始める台場。
すると次は、プリンスが入場します。
……一人ひとり入場するのでしょうか。
完全な自分たちのライブならともかく、これはコンテストです。
そこでこんなことをするのはどうなのか……と言うところで、素早い動きで川崎が入場!!
続けて、井鈴と光岡が入り、だんだんとメンバーが集まってきます。
誰も知らないと言っていいこの舞台で、大仰な演出。
嫌が応にも求められるレベルは上がってくるのですが……
舞台裏で、ジミは紫織に声をかけていました。
「誰だこいつら」、みんなそう思ってるぞ。
俺も初めてイギリスに行ったときはこうだった。
たまんねぇぞ、これをひっくり返した時の気持ちよさは。
……紫織はジミにこう言って、舞台に上がります。
さっき私に聞きましたよね、どん底から這い上がった私たちには、「BLACK BUS」さんがどう見えるかって。
答えは、舞台上で見せます。

紫織のギターが参加し、あとはボーカルを残すのみ。
ですが出るであろうタイミングでもボーカルの目黒は入ってこないのです。
どうやら観客がわから入場しようとしているようなのですが、予想より多いお客さんをかき分けで進むのに苦労していまして……
それに気が付いた他のバンドのメンバーたちは、ボーカル通ります!と大きな声で道を開けさせ、さらに自らの体をジャンプ台にするなどの協力をしてくれまして、
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目黒は高い高いジャンプでのド派手な入場を果たしました!!
「シオリ・エクスペリエンス」、おっぱじめます。
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いよいよ始まります。
本当のシオリ・エクスペリエンスの、伝説への道が……!



と言うわけで、シオリ・エクスペリエンスのライブが始まる今巻。
なんと今巻、全ページ数のおよそ9割を使って、そのライブを描き切っています!!
毎回力と魂のこもった作画とストーリーで楽しませてくれる本作ですが、今回は今までの歩みをライブにこめて描き切る、最終回!?と思ってしまうほどの力作となっています!
お話の方は今回、ライブをするだけなので進みません。
進みませんが、今までのストーリーを思い起こさせる、進んでいないのに物語を感じさせてくれる、名エピソードなのです!!
今まで読み続けてきた方ならば、必ず何かこみ上げてくるもののあるこのライブ、まさしく必見!!
本作史上最も台詞が少ない、そして最も語りかけてくるものがある今巻、ぜひとも皆様の目でご確認ください!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!