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今回紹介いたしますのはこちら。

「当て馬カノジョ」第1巻 鈴菌カリオ先生 

秋田書店さんのチャンピオンREDコミックスより刊行です。
 


鈴菌先生は 04年にIKKIの漫画賞を受賞してデビューした漫画家さんです。
その後「乙女ウイルス」「Sillyなコダマ!!」の連載を経て、他社の雑誌にも作品を発表されるようになりました。

そんな鈴菌先生の久しぶりの連載作となる本作は、ギャグ成分強めの百合ラブコメとなっています。
気になるその内容はと言いますと……?



一目見たときからただならぬ運命を感じました、七海先輩が好きです、私と付き合ってください!
大空栞は、意を決してあこがれ続けていた先輩、七海に思いを告げました。
そんな告白をされた七海はと言いますと、何やらしつこく確認をしてきます。
私のこと好き?大好き?死ぬほど好き?私の球なら何でもできる?
すべて全力ではいと答えた栞に、七海は答えます。
分かった、じゃあ付き合う。
私と付き合おう、しおりん。
まさかのOKが出て、詩織はうろたえまくります。
嘘でしょ、なにこれ、ほんとに私と七海先輩が?
昔から見つめることしかできなかった先輩とお付き合い……!!
夢うつつ状態の栞の手を取り、七海はこういいます。
ありがとうね、私も嬉しいわしおりん。
今日から当て馬としておつきあいよろしくお願いします。
……何か妙なことを言っている気がしますが、舞い上がった栞はそんなことに気が付きもせず、こちらこそよろしくお願いしますと胸を高鳴らせるのでした。

栞は友人も能登へ意気揚々と帰り、両手でVサインして勝利宣言を行います。
めでたく私と七海先輩は正式にお付き合いすることになりました。
つきましては昼食は七海先輩に誘われており二人で食べますゆえ、君たちとは食べられませーん!
そんな栞の言葉を、虚言乙、何かの間違いか勘違いだ、と断ずるおともだちたち。
冷静に告白シーンを振り返ってください、何かおかしな点はありませんでしたか?
どんな小さなことでも結構です。
と、何やら上からな感じで語りかけてくる友人!
嫉妬ですかぁ!?と怒りに顔をゆがませながらも、一応先程のシーンを脳内で再生する栞。
すると……なにか、馬がどうとか言っていた、と思い当りました。
それ以上のことはよく思い出せませんが……
だったら馬の絵や化粧品なんかを買わされるんじゃないか、などと友達の無礼はとどまるところを知りません。
そうこうしているうちに、教室のドアからひょいと七海が顔を出しまして、しおりん、と栞を呼んできました!!
これはもう決まりでしょう。
自分のお気に入りの場所で一緒にお昼を食べようと、七海に連れられて栞は教室の外へと出ていくのでした。
嫉妬乙!アバヨ!と言い残して……

やって来た場所は、なんだか素敵な中庭でした。
そこで詩織はお弁当を広げるのですが、七海のお昼は購買のパン。
いつもこればっかりでちょっと飽きてきちゃったわ、と漏らす七海に、栞はもしよかったら先輩のぶんもたまに作ってきましょうか、と進言します。
しおりんが作ってるの?すごいすごい、私料理とか全然……
と、ほほえましい会話をしているその場に、突然黒髪ロングの女生徒が現れます。
呆然と立ち尽くす彼女に対し、七海は冷たい視線を送った後、この場所はあなただけの物じゃないでしょ、お気になさらず空いてる場所でお食べになったら、とつれない言葉を送ります。
何やらぴり付く感じの空気が流れ……栞は戸惑いを隠せないのですが、そのタイミングでなぜか突然、七海は「あーん」を求めて来るではありませんか!!
大好きな憧れの人へ、「あーん」……!!
その幸せさにやられそうになる栞でしたが、七海は半ば強引に栞の差しだした卵焼きをぱくっと食べるのです!
美味しい、と自然に感想を漏らしてしまう七海。
大好きな七海先輩に褒めてもらえるなんて夢みたいです、と栞は赤面しながらもにっこりと笑うのですが……
そこに先程の女性が口を挟んできました。
わざとらしい、不自然にべたべたして、私へのあてつけのつもり?
七海はその言葉を聞くと、栞にそっと体を寄せ、私たちはお付き合いしてるの、愛し合っているんだから当然でしょ?と見せつけるように返して……
昨日の今日で、いつから?
うろたえる黒髪ロングの女性。
そんな女性にとどめを刺すかのように、七海は
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栞に口づけを行います!!
突然の出来事にびっくりの栞ですが、黒髪の女性の顔と言ったら……大ショック、などと言うレベルではない、絶望のそれになっていて……
溜まらず彼女はその場から逃げ出してしまうのでした。
……その顔を見て、七海は

なんだかものすごい邪悪な顔で高笑い!!
見たあの顔、ざまあみろだわ!と叫ぶのです。
実は七海と先程の女性、怜はつい先日まで付き合っていました。
ですが、あなたのことは好きだけどなんだか物足りない、別れてほしい、といきなり振られてしまったとの事で……
だったらわからせてやろう、と怜の嫉妬心をあおるため、栞と付き合っていちゃいちゃして見せた、と言うのが先程の流れだったのです。
「当て馬」。
そう、栞は怜の嫉妬心をあおるためだけの、急造のデコイに過ぎない……
流石の栞もそれにはショックを隠せないのです。

が。
全てを打ち明けた友人に、それでも大好きな人と一瞬でもキスできたんだから幸せだったんじゃないのか、慰められ……栞はあることに気が付きました。
駆けだして家に帰り、そして次の日は学校に遅刻して……
昨日の彼女はどうしたんだ、嘘くさいなあ、などと怜に言われている七海のもとに、さっそうと現れます。
怜に嫉妬させるため、来てくれてうれしい、と口づけを求めてくる七海。
すると栞は、
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なんだかものすごいテクの、ものすごい大人のキスをさく裂させたではありませんか!!
あの後栞は、猛烈にキスを勉強。
七海を圧倒する、すさまじいキステクを入手したのです!
七海先輩が自分のことを一ミリも好きじゃないのは分かってます。
普通だったらふられてそれでおしまい。
だけど私は当て馬になれた!これってすごくラッキーなチャンスだって気づいたんです!
私はその立場を利用して、本気で七海先輩が私を好きになるように、全力でいきます!!
なので、
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覚悟して下さいね、私を当て馬に選んだことを後悔させます!
その勢いに思わず流されそうに庵った七海でしたが、怜の前でぺらぺらと当て馬だなんだのと言われてしまっては台無しなわけで。
どうするんだと栞の頭をぽかりとやるのですが、そこは大丈夫でした。
先程のキスの時点で、怜は気絶してしまっていたのです。
七海はそっと彼女を介抱すると、目を覚ました怜は言います。
目の前で他の奴と情交する七海を見てはっきりわかった。
私は七海を愛している、世界一、心から。
誰にも渡したくない……
とうとう気が付いた自分の気持ち。
これで二人は元のさやに戻り、当て馬も早速お役御免になる、かと思われたのですが……
そこで怜は、こんなことを言い出しやがったのです。
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いや、そのまま二人とももっと私の前で、イチャコラちゅっちゅしてくれ。
愛する者がなすすべなく目の前で汚される絶望、狂おしい嫉妬、NTR感……
これだったんだ!これぞ私が追い求めていた究極の愛の形!!
なのでどうかそのまま……!
まさかまさかのどんでん返し。
栞は怜公認で七海の彼女となり……
当て馬カノジョとしての生活が、正式にスタートすることとなったのでした!!



と言うわけで、大好きな先輩の復縁のための当て馬にされてしまった栞。
ですが本来ならば怜と言う彼女がいて、相手にすらされないことすら有り得た告白が、当て馬と言う形といえど実を結んだのはラッキーだったかもしれない、と気を取り直しました。
栞がまず武器にしたのは、ものすごいキス。
こんな感じで一つ一つ七海の心を奪っていき、いつしか自分を本当の彼女にしてもらう……そんな栞の戦いの日々が幕を開けるわけです!!

あこがれの先輩の本性は、こうして結構アレな手を弄する曲者でした。
そんな彼女の彼女であった怜もまた、七海と栞の姿を目の当たりにして自らの本質に気が付き、加速度的にアレな人になっていきます!!
ですがそんな二人に負けず、栞もものすごい努力を重ねる頑張り屋で、先輩に対する執念は並大抵な物ではございません!!
本作はそんな強烈な個性を持った三人が織りなす、到底可憐とは言えないドタバタ百合ラブコメ。
それでもしっかり存在する、恋する乙女のいじらしさも描いた、ハイブリッドな作品に仕上がっているのです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!