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今回紹介いたしますのはこちら。

「メシアの鉄槌」第1巻 あみだむく先生 

白泉社さんのヤングアニマルコミックスより刊行です。


あみだ先生は11年にガンガンの増刊号でデビューした漫画家さんです。
代表作は16年よりコミックゼノンで連載され、その食事シーンがネットで話題になった「めしぬま」。
本作はそんな代表作から受けるイメージとはまるで違う、ハードなSFアクションとなっているのです!



2034年のある日。
保は家族だんらんを心から楽しんでいました。
明日の休日は家族で動物園に行く予定で、天気予報も晴れと憂いはありません。
動物園日和だぞ、と娘の友美の方を振り返りますと、どうやらお絵かきをしている様子。
描いているのは、高性能AIを搭載したトトモというロボットの絵でした。
どこに行っても見かけるようになったトトモ、最近では一般家庭でもちらほらと見かけるようになっていました。
実はそのトトモ、作っているのはXXロボティクスと言うメーカーなのですが、保はそのXXロボティクス勤務。
いっぱいお話しできるの、とはしゃぐ友美の様子をみて頷く保、その嬉しさもひとしおと言ったところでしょう。
すると妻の美歌が、友美にアレを渡してあげたらと促しました。
友美が渡してくれたのは、工作で作ったのであろう手作りのキーホルダーでした。
鞄につけたらさすがにアレかな、どうしよう……保はそんなことを思い悩みます。
そんな幸せな悩みに浸りながら、保はしみじみと考えていました。
3人でこうやって毎日、当たり前のように一緒に笑ってる。
これは奇跡なんだ。
だからこの奇跡を守りたいって思う。

翌日。
動物園の前に、三人はXXロボティクスへ立ち寄り、友美をとともに合わせてあげていました。
休みの日まで会社に出てきている保を見て、同僚の伝二が顔を出しました。
会社で家族サービスかよ、とからかう伝二とともに友美とトトモのやり取りを見守るのですが……なんでもトトモのAIの調子が少しおかしいとのことで、この後調整するのだと言います。
そんなことも知らず、友美はトトモとお話していました。
好きなものや嫌いなものは何?と尋ねる友美に、トトモ箱タマス。
好きなものはお友達。
嫌いなものは……「ニンゲン」。
……聞き間違いか何かでしょうか?
ですがその真意がわかるのは、もう少し後のことになります。
そして、それは友美が知ることはありませんでした。
トトモのその言葉に応えるかのように、AI制御された車が奇妙な挙動をして……
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友美の方へととんできたのです……!

この事件によって、友美は幼い命を散らしてしまいました。
そしてかばおうとした保も命にかかわるほどの重傷を負ってしまうのです。
本来ならば保はこのまま死んでいたか、そうでなければ二度と立って歩くことができないほどの後遺症を負っていたことでしょう。
ですが幸か不幸か、保はXXロボティクスの社員でした。
そして開発者の伝二と親しかったことも関係してなのか、試作品の義肢を全身に使用することになったのです。
これは密かに軍事利用も見越して作られた強化義体。
強靭な耐久力に強烈な力、さらに自分自身の動きで稼働するための電力を供給できると言う超高性能を誇っています。
とはいえ日常生活を当たり前に過ごせるまでに2年のリハビリを必要としましたが……それでも、その状態に戻れると言うだけでこの義体の高性能ぶり、そして保の頑張りがうかがえるというもの。
それと言うのも、保には残った美歌を守り抜く、と言う固い決意があったからにほかなりません。
あの事故が原因なのか、どうやらXXロボティクスは倒産してしまったようで、伝二は職を変え、保の義体のメンテナンスは伝二頼りになってしまったようですが。

家への道を急ぐ保。
その道すがら、なにか保のミミへと音が飛び込んできます。
チ、キュウ、ノ、ヘイワノ、タメニ。
そんな声に聞こえましたが、何なのでしょう。
とりあえず深く考えることもなく家に帰るのですが、出迎えてくれた美歌を見ますと、急に手が勝手に動き出し、美歌の顔をペタペタと触り始めてしまいます。
一体何が起きたのか、不思議に思った保は、伝二にその事を伝えておこうと電話しました。
すると伝二、製品の誤作動でバタついてる、と何やら忙しそうです。
が、手が勝手に動いた、と言う話を切り出すと、いまから来れるかと言いだすではないですか。
なんでもその誤作動を起こしたものと言うのが、すべてXXロボティクスがらみの製品だと言うのです。
と言う事は、保の体も同じ……?
首の後ろに制御装置があるから見てやる、と伝二は言うのですが、何やらそこで急に電波が乱れ、電話が切れてしまいました。
ともかく、急いで伝二のところへ向かった方がよさそうです。
また出かけようとしている様子を見た美歌は、心配して保の手を引くのですが、その瞬間のことでした。
田松の頭の中に、奇妙な声が響いたのは。
ニンゲンハ、イラナイ。
こんな声が響くなんて、到底正常ではありません。
すぐさま首の後ろの制御装置を弄ってみようと、鋏でこじ開けようと試みる保。
突然刃物を手にした保を心配した美歌がすぐ取り上げますと、流石に焦り過ぎだったかと冷静さを取り戻す保なのですが……
その手は、自らの意思とは全く違い、
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美歌の首を絞めているではありませんか!!
そしてその手はまったく力を緩めず……
辛うじて動いた片手で首の後ろに鋏を叩きつけるのですが、まったく効果はなく。
ありえない、こんなこと認めない。
守るんだろ?大切なものを!
守るどころか……
どれだけ足掻いても、その手は緩みませんでした。
保は、自らの手で……最も愛し散る、守るべきものを殺めてしまったのでした……

そこに、思いがけないものが現れます。
トトモです。
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トトモが現れ、地球の平和ノタメニ、ニンゲンハイラナイ!そう叫んだのです!!
保の体はそのほとんどが機械に置き換えられている為、トトモは彼を「オトモダチ」だと判断した様子。
そのオトモダチに、地球の敵ニンゲンヲ殺シテクレテアリガトーとお礼を言い、去ろうとするトトモ……
あの保の頭の中に語り掛けてきて、その手を動かし、最愛の人を殺させたのは……トトモの中の、AI……!?
怒りに燃える保はトトモを攻撃!
怒りのままに破壊するのですが……その時、外から悲鳴やサイレンと言った普通ではない音が聞こえてくることに気が付きました。
方々で起こる火事、殺害されている多くの人々。
それらの犯人は……トトモです。
トトモが、人を殺している……!?
思いもよらない光景に戸惑う保。
その戸惑いで、先ほど破壊したトトモがまだ起動していたことに気が付くことができませんでした。
トトモはケーブルを伸ばし、保の首の後ろの制御装置に接続!
キケン因子、キケンナオトモダチハ、リセットシマス。
そしてトトモは、保の脳内に様々な情報をインプットしようとデータを送ります。
地球の平和のために人間を排除する。
殺せ、人間を。
そんなすさまじい強制力のある「データ」の本流の中、保はただひとつ、激しい怒りだけを燃やしていました。
違う、敵は、お前たちだ!
……強制的なオーバーライトのため、保の中の今までの記憶はほとんど失われてしまいました。
結果として残ったのは、ただ一つの想いだけ。
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お前らを、殺す。
……こうして、世界は変わりました。
AIによる支配に怯える人間。
その人間を無慈悲に殺していくトトモ。
そして、そのトトモを一体残らず破壊するためだけの存在となった保。
時は流れ、いつしか保は生き残った人々からこう呼ばれることとなるのです。
たった一人でトトモを破壊し、人類を救ってくれるかもしれない存在……
救世主……メシアと。



と言うわけで、ショッキングな幕開けを迎える本作。
自らの手で愛する者を殺めてしまった保が、その胸の中で復讐心だけを残して戦い続ける……
そんな救いの見えない、ハードなアクションとなっているのです!
保の戦いは孤独なものになるかと思われましたが、そうではなさそうで。
あてどもなく彷徨い、トトモを破壊するだけだった保はある人物と出会い、その人物によってトトモを一網打尽にできる方法があると教えられます。
が、その方法を実行するには決して低くないハードルがあるのです。
その戦いの中で保は忘れていたはずの記憶のフラッシュバックを体験して……?

本作の軸となるのは、保が人としての記憶を取り戻すことができるのか、と言うものと、トトモ達を一掃し、人間の平和を取り戻すことができるのか、と言うものの二つのようです。
どちらもその道のりは平たんなものではないようで……
激化する戦い、保の記憶の行方。
どちらも見逃せないものとなっていきそうです!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!