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今回紹介いたしますのはこちら。

「残機×99」第3巻 愛南ぜろ先生 

新潮社さんのバンチコミックスより刊行です。


さて、命を懸けたゲームに参戦させられてしまったかえでたち。
そんな中唯一心を許せると思っていたあきらが、体の方は男性であることがわかります。
かえではあきらを罵倒し、そのままあきらはゲームによって死を迎えてしまうのですが……
かえでにはあきらに対してのもやもやが残ってしまっていて……?



このゲームで、死んだ参加者が生き返る唯一のチャンス、それが「1up」です。
レトロゲームではよくある、残機を復活させることのできるチャンスですが、その機械がとうとう参加者たちの前にももたらされたのです。
が、やはりただで1upさせてくれるはずもありません。
1upチャレンジの番人のようなキャラとじゃんけんを行い、勝たなければ1upすることは出来ないのです。
しかもそのじゃんけん、もし敗北をするとじゃんけんの出す手に応じて、自分の体の一部を失うと言う高いリスクを負ってしまうのです。
体の一部と言うのは指だとか爪だとかそんな生易しいものではなく、「心臓」「脳」「首から上」などの、奪われた時点で即死するものがほとんど。
本来ならばスルーする方がマシまであるこのチャンスですが……待ち望んでいる人物がたった一人、いるのです。
そう、かえでです、
あきらを生き返らせる。
そのためならば、自分はどうなってもいい。
もともと自分の人生に絶望し、それほど命を手放すことに抵抗がないようだったかえで。
ほとんど確実に死が待っている、自分の順番が来ても笑顔のままゲーム内に転送されていきました。
前のプレイヤーが二人同時に死んだことで、39番の少女と同時にゲーム内にやって来たかえでは、39番に大事な武器である剣を手渡します。
はい、これもって先行ってて。
あたしはこいつに挑戦してみる、あたしの体がぐちゃぐちゃになるの見たかったら別にいてもいいけど。
でもそれって時間の無駄だし、生きて帰りたかったらあたしを置いて先に進んだ方がいいよ。
39番は……自分の命は当然惜しいですから、従わざるを得ません。
先に行ってます、絶対後で合流しましょう、待ってますから。
涙を流しながらそう言って、先に進んでいく39番。
かえでは、はいはーい、といい加減な返事で彼女を送り出すのです。

かえではすぐ1upチャレンジに挑みます。
ルール説明なんていいから早くして、覚悟はできてるから、と番人にをせかすかえで。
やがて、じゃんけんの各手に対応する、犠牲となる部位が選ばれました。
グーは「喉」、チョキは「眼」、パーは……「子宮」。
幸か不幸か、喉や目ならば即死するようなことはなさそうです。
ですが内臓がえぐり出されれば、死は間近でしょう。
となると……自然と出す手は決まって来てしまいそうです。
かえではじゃんけんに挑む前に、自分が勝った時によみがえらせる対象を、あらかじめ「20番」、あきらに指定しました。
仮に、喉を潰され、しゃべることができなくなってもいいように……
それでは運命のじゃんけんの時間です。
かえでが出したのは、チョキ。
……相手の手は……グーでした。
ブッブー。
そんな番人の声とともに、
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かえでの左目がえぐり取られます!!
それでもかえでは止まりません。
続けて挑戦する?と言う番人の問いに、やりゅ、と即答。
そして次は、グーを選ぶのです。
……喉をえぐられるかえで。
それでも挑戦はやめません。
負けられない、欲しいものを手に入れられるまでは。
かえでには忘れられない最悪の過去がありました。
父を失い、寂しい日々を送っていたかえでが飢えていた、母の愛情。
ですがそんな母は、再婚予定の男性を前に「女」になっていて……かえでに対する愛情はほとんどなくなってしまっていたのです。
急速に冷めて行くかえでの心。
ですが彼女の心を決定的に破壊したのは、その再婚相手だったのです。
母の目を盗み、かえでの体に腕を回し……
お父さんがいなくて寂しかったんじゃない?
僕が君のお父さんになったら、たくさんの愛情で君の心の穴をふさいであげるからね。
……そう言って、
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欲望のたぎりをかえでにこすりつけてきて……!!

あきらちゃん、もう一度、抱きしめて欲しかった。
声にならない声で、そう呟くかえで。
直後、彼女の三回目の、パーでの敗北が決まり……
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このままでは彼女が死ぬのは時間の問題でしょう。
もはやまともに動くこともできないはずです。
だと言うのに……
まさかの、4回目のじゃんけんが始まったではありませんか!!
誰かいるの?
何でまだじゃんけんが続いてるの!?
ゲームの様子をモニターで見ていたギャラリーたちがどよめくその背後で……
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あきらが、その姿を現していて……!!!




と言うわけで、いよいよクライマックスを迎える本作。
あきらの復活、というかえでの望みはかなえられました。
ですがかえでの命は風前の灯火。
彼女がいない状態で復活してしまったとしたら、あきらの心はどうなってしまうのでしょうか……?
そして、一体何がどうなって4度目の勝負は行われたのでしょうか?
その真相はこの後語られ、そして最終局面へと物語は進むのです!!

この得体のしれないゲームは何なのか、誰が、何のために作って、どうして99人の人間を巻き込んだのか。
その全てが明かされることになります。
意外な首謀者の正体がわかるものの、だからと言ってゲームは終わりません。
ゲームをクリアしなければ、首謀者がわかったところでどうにもならないのです。
この難易度最悪の「死にゲー」をクリアすることができるのか?
それとも無残な最期を迎えることになってしまうのか?
数多くの無惨な死を乗り越えた先に待っているのは……!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!