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今回紹介いたしますのはこちら。

「電人N」第1巻 原作・蔵石ユウ先生 漫画・イナベカズ先生 原案・田中空先生 

講談社さんのヤンマガKCより刊行です。


さて、蔵石先生とイナベ先生の「アポカリプスの砦」「食糧人類」に続く新作となる本作。
今回は原案に「タテの国」「宇宙のプロフィル」の田中空先生を迎え、三人体制での作品となりました。
蔵石・イナベ先生タッグと言えばモンスターパニック系の作品のイメージが強いところですが、本作は少しばかり違ったタイプのモンスターが主役となるようで……?



密封袋に入ったハンカチを取り出し、その匂いをかぐ男。
男はそのまま装着したVRのスイッチを入れました。
流れたのは、「Les Fees」と言う名前のアイドルグループのライブ映像でした。
男はその中の一人、神崎みさきが「推し」のようです。
彼女の歌う姿をしっかりと目に焼き付けると……自然と溢れてきた涙をぬぐい、男は立ち上がりました。
休憩終わり、燃料流入完了。
VRとハンカチをしっかりとしまい込み……男はコンビニのアルバイトに戻るのです。

簡単だと思われがちなコンビニのアルバイトですが、行列ができてしまったり、マナーの悪いお客さんの怒号に耐えたり、順番を守らないお客さんが時間のかかる注文をしてきたりと、面倒な場面も少なくありません。
その時も一人ではどうにもならない状態になってしまった為、男はバックヤードに引っ込んでいる他の従業員を呼ぶチャイムを鳴らすのですが……

バックヤードでは、店長と村本と言うバイトの二人が煙草をふかしながら休んでいました。
呼んでますよ店長、と人ごとのように語る村本に、店長はやめとけ、真面目なチュータイ君に任せときゃいいんじゃない?と適当なことを言いだします。
今一人レジで頑張っている男の名前は那須忠太。
音読みすればチュータイだし、父親が借金と女を作って蒸発、母親はアル中になって自宅療養…・・・と言う状況に陥って、高校中退してしまったから「チュータイ君」と店長は呼んでいるのです。
店長の那須扱き下ろしはまだまだ続きます。
低学歴&貧乏人なのに、ドルオタでもあるんだ、と。
「レッフェ」とかいうグループの、同じ高校に通ってたメンバーを推しているんだと、と煙草をふかしながら漏らしておりますと……
そこに那須が現われ、チャイム鳴らしたんですけど、と伝えてくるのです。
ごめんごめん、気付かなかったわ、じゃあ頑張って働きますかね。
とぼけながらそう言って仕事場に戻る二人……
那須はそのままゴミ箱の片づけに向かい、そこで……過去のことを振り返るのでした。

高校時代、いじめられていた那須。
いじめっ子たちに殴られるだけでなく、技を見せてやった授業料だ、と金を請求されるなどひどい目にあわされていました。
ですが那須は、素直にイジメられるだけではなく、お金を強請られたとき、相手を小馬鹿にしたような自作のお金で渡す、というささやかな抵抗もしていたのです。
当然激昂した不良達に一層激しい暴行を受けることになるのですが……
手ひどくやられた顔を洗っておりますと、そこに彼女が現れたのです。
神崎みさき、が。
彼女は、那須君、だよね?と言いながら、ハンカチを手渡してくれました。
先生に言った方がいいよ、案外ちゃんとやってくれるらしいよ、と言い残して去って行く彼女。
彼女が同じクラスの生徒だと言う事すら知らなかった那須、これどうやって返せばいいのか、と尋ねようとしたところ……
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いいよ、あげるよ、と笑顔で返してくれたのです。

その彼女の行動に、那須は救われたのでしょう。
特別何かをするわけではありませんでしたが、それ以降彼女のことを思い、彼女のアイドル活動を始めれば、それを応援することを生き甲斐にしていたのです。

しばらくたった後。
那須は、鬼のような形相をして店長に問い詰めていました。
アレなかったですか、ハンカチ!
密封袋に入ったハンカチ、最後に休憩室掃除したの店長でしょ!?
あの時渡されたハンカチを、今でも大事に保管し、その匂いを日々の支えにしていた那須。
そのハンカチが、なくなっていたのです。
その勢いに負けたのか、店長はあっさり薄情。
あれ、女物だったから変だなぁと思って捨てちゃった。
店長からすれば、馬鹿にしきっている那須の持つ、大事そうなものを捨てることなど、ちょっとした嫌がらせのような、軽い気持ちだったのでしょう。
ですが那須にとっては、何よりも大事なものだったわけで……
那須は怒りのまま、全力で店長の首を締めあげるのです!!
店長も大人しく締められるままにはならず、那須の股間を蹴り上げて反撃!!
悶絶するなすを、さらに何度も何度も蹴りつけ、ざけんじゃねえぞ、中卒で貧乏人のドルオタが、舐めんじゃねーぞ!!と罵倒するのです!
那須は……そんな店長の足首に、ペンをつきたてて反撃!!
そのまま荷物をつかみ、自宅へと逃げ帰るのでした……

が、自宅でもとんでもない光景が待っていました。
母親が、那須の机をあさり、金を奪い取ろうとしていたのです!!
薬代がととぼけようとする母親ですが、その匂いからしても、酒を飲んでいることは明白。
何回断酒を失敗すれば気が住むんだ、と怒鳴りつけるものの、母親は反撃に出てきました。
こんな時間に帰ってくるなんて仕事はどうしたんだ、そんなだから学校もやめたんだろう、父親もひどかったけど、あんたもひどいわねぇ、と自分の体たらくを棚に上げて文句を言うのです。
母親を部屋から叩きだして鍵をかけるものの、母親の感情は収まりません。
あんたみたいなの生むんじゃなかった、恩知らずのクズ野郎のガキだから仕方ないんだろうけど、あげくにはアイドルなんかに入れあげやがって、この蛆虫が、クソ食ってバカみたいに笑ってろ、いいから酒持ってこい!!
……バイト先でのこと、家でのこと。
もう那須のここをは限界だったのでしょう。
燃料を注入しなきゃ、神崎さん、神崎さん……
そんなことをひたすら呟きながら、VRゴーグルを手に取り、その電源コードを切り裂き、中の銅線をむき出しに、
そして、そのむき出しの銅線を両耳に突っ込み……
ゴーグルのスイッチを入れたのです!!
ゴーグルに充電されていた電気が、那須を襲います。
そして、那須の意識はなくなり……永遠に戻ることはなくなった……はず、でした。
どうしたことでしょう。
那須の意識は途切れず、今までにないほどの体の軽さを感じていたのです。
どこにでも行ける。
那須はそんな思いのまま駆けまわって……

翌日。
店長は、コンビニのオーナーである父親に、チュータイが死んだらしい、バイトの後釜見つかるまで深夜はワンオペだよ、と死を悼む気持ちの一切ない報告をしていました。
と、その時……ふいに父親に繋がっていた電話が切れました。
そして……コンビニの中に、あの「レッフェ」の歌が鳴り響き始めたのです。
さらに突然コピー機が動き出し、「クソ店長」「死ね」「ハンカチドロボー」などと書かれた紙がまき散らされたのです。
さらにその紙の中には、無惨な死体になった村本の画像も混じっていて……!
たまらず逃げ出そうとするものの、自動ドアが開きません。
まごついているとわずかに自動ドアが開いたため、何とかその隙間に顔をねじ込んで逃げ出そうとする店長。
ですが、そのタイミングでシャッターが下り始めるではありませんか!!
無理に体をねじ込んだことで逃げ場のなくなってしまった店長。
そのままシャッターに首を押しやられ……
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無惨な死体へと変わってしまうのです……
電気と一体の人間、「電人」となった那須。
どうやら彼は、電気の速度で動き、電子制御されているモノならば、どんなものでも自在に操れるようになったようです。
俺はどこへでも行ける、なんでもできる。
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なんでもできるんだ。
そして、那須はこう決意するのです。
神崎さん。
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俺がどんな手を使っても、君を日本一のアイドルにするから。



と言うわけで、電人となった那須。
この後、那須がその目的を果たすために、電人の力をいかんなく発揮していく様が描かれることとなります。
那須の力は現代社会において非常に強力で、彼の言う通り「なんでもできる」に等しいもの。
彼の推しであり、恩人でもあるみさきをトップにするためだけに彼は行動するのですが……
やはり彼の取る行動は、ただみさきを幸せにするだけのものではありません。
みさきがトップに立つために必要なこと。
それは、彼女の邪魔になるものを排除すること……!
そんな考えに至ったのでしょう、那須の行動はどんどんと景樹極まりないものとなっていくのです!!

正直を言って、普通の人間ならば存在すら感知できないかもしれない電人となった那須。
ですが警察はそんな事件に太刀打ちできる、ある人物を知っているようです。
「スドー」。
謎の多いスドーと言う存在が登場することによって、物語は本格始動!!
みさきをトップにするためだけに人知を超えた行動する那須と、それに超天才的なひらめきで対抗していくスドーと、警察。
そんな予測のつかない戦いが繰り広げられるのです!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!