k40
今回紹介いたしますのはこちら。

「欅姉妹の四季」第3巻 大槻一翔先生 

エンターブレインさんのハルタコミックスより刊行です。


さて、仲良し欅四姉妹の日常を描いていく本作。
四季折々のイベントをしっかり楽しむ四姉妹、秋を迎えた今巻ではどんなイベントに挑むのでしょうか?



四姉妹は温泉旅行に来ています。
湯めぐりを楽しむ四人なのですが、今日向かう温泉はちょっぴり難易度が高そうです。
薄暗い。くだりの階段。
k41
角度も急で、下の様子もよく見えません。
うっすらと見えている窓も、格子が壊れていまして、なんだか廃墟か何かのよう。
瞳はそんな階段が相当怖いようで、顔色も何やら悪い感じです。
とその時、いずみが上の方を指さしました。
そこには木の看板の様なものが掲げられています。
何でしょうか……古びて文字がにじんで、何が書いてあるのかよくわかりません。
……一層ムードが増してしまいました。
魔除けの札だ、といずみが言うのですが、さすがにそれは穿ち過ぎというもの。
残った文字を何とか読み進めてみますと、「タバコ」「吸いガラ」などと言う文字が見えてきまして、単なる注意書きであることがわかるのです。
魔除けの札の正体はわかったものの、以前階段の怖さは変わりません。
k42
まるで、奈落の底に落ちるかのような錯覚すら覚える、急な下りの薄暗い階段。
この先、本当にお風呂かな?と、とうとう不安が声になって出てしまいました。
この廊下に入る入り口には、確かに露天風呂と言う貼り紙もしてありましたし、そこは間違いない、はず。
宿のお風呂と趣が違ってびっくりしちゃうわね、と睦実が瞳に微笑みかけ、ここは何段だったかしら、と話を変えようとするのですが……
88段、と言う中々の段数があることをしると、さらに瞳の足は動かないのです。
そこでまっさきにうごいたのはいずみでした。
先頭行きます!
自らを鼓舞する意味も込めて大きな声をあげ、手すりをつかむいずみ。
川沿いのお風呂、この先なんでしょ?
なんかあやしげだけど、まだ浅田氏、怖いことないよ。
そう言って慎重に足を踏み出すいずみなのですが……予想以上に一段の高低差が大きく、かクンとバランスを崩してしまいました。
カクッと落ちそうになるいずみ!!
瞳の表情から一気に血の気が引くのですが……そこは運動神経抜群のいずみ、ちゃんと足をつくことができたようです。
やっぱり段が深いよ、瞳は気を付けたほうがいいかも。
そう言って下に降りて行くいずみ。
続けて、朱美が後に続きます。
裾を持たないと引っかかるわ、とトントンと降りて行く朱美なのですが、やがて調子に乗り始めたいずみがどんどんと降りて行ってしまうのを追いかけ、足早においていくことになってしまいました。
それをまた追いかけて行く形になる睦実。
……瞳が、取り残されてしまう形になりました。
まって、と言う声にも力が入らず……手すりを両手で握る瞳、
遂に床におしりをついて、その状態で一段一段降りて行くことにしたようです。
これならば確実ですが、スピードはどうしても遅くなってしまいます。
全く間にいずみと朱美の姿は見えなくなってしまい、あとは睦実の姿がかろうじて見える上程に。
睦実は、待ってるわよ、大丈夫、と言ってくれるものの、その姿はどんどんと小さくなっていって……
気が付けば、睦実も見えなくなってしまいました。
k43
えっ、睦実ちゃん、睦実ちゃん!
声をかけても返事は返ってこず。
瞳は少しでも早く降りられるように、後を剥いて梯子を下りるような形で下に降りて行くことにしました。
睦実ちゃん、朱美ちゃん、いずみちゃん……
うっすら涙を浮かべながら降りて行く瞳。
踊り場まで来たところで、再び下を覗いてみますと……
ひょっこりといずみが顔を出しました。
瞳、まだそこ?
能天気にそう声をかけるいずみの後ろから睦実が顔を出し、この先景色が見えて明るいわよ、と瞳に声をかけてきました。
続けて朱美も顔を出し、まだそこなの、早くおいで、と瞳を招き……

皆の声に誘われて、下までたどり着いた瞳。
そこには
k44
息を飲むほど綺麗な風景が拡がっていたのです!!
あの恐ろしい薄暗い廊下の先に拡がっていた、夢のような景色。
とたんに瞳の顔も明るくなり、景色を楽しみ、写真を撮ったりもして一気に楽しくなるのです、が。
温泉にたどり着くまでには、もう少し試練があるようで……!



と言うわけで、温泉旅行編を収録した今巻。
今回紹介したようなちょっとした冒険もあるものの、このお話以外では四姉妹がのんびりとお風呂につかる風景がたっぷりと収録されております。
ただ温泉に入っているだけでも四者四様の入り方がありまして。
朱美は落ち着いて入りますし、睦実はほとんど何もしゃべらないほど静かに堪能。
いずみにいたっては彼女らしい、隠すところも隠さない奔放な入浴を楽しむのです!

そんな四姉妹の温泉旅行編以外の通常の日常かいも勿論収録。
衣替えのお話では、四姉妹ならではの「おさがり」でひと悶着あるエピソードが繰り広げられます。
いずみ主役のお話では、彼女が高校に入って初めてのあるものを手に入れるために必死で走る姿を披露。
そして今までの四姉妹の歩みを振り返るお話にもなっている、お墓参りのお話なども収録し、欅姉妹の日常がたっぷりと描かれております!!
次の巻で季節が一巡りし、ひょっとすると完結となってしまうかもしれない四姉妹の日常を、しっかりと楽しんでいきましょう!!


今回はこんなところで!
差ぁ、本屋さんに急ぎましょう!!