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今回紹介いたしますのはこちら。

「少女ファイト」第16巻 日本橋ヨヲコ先生 

講談社さんのイブニングKCより刊行です。


さて、苦戦しながらも準々決勝に勝ち上がった黒曜谷。
春高に出場している以上、イージーな相手など一校たりともありませんが、次の相手、朱雀高校はその実力もさることながら、監督がサラの実の父親と言うもう一つのやりづらい事情もあって……?



いよいよ黒曜谷VS朱雀の試合が始まります。
試合開始直前、選手がコートに立とうと言う時点で会場は大盛り上がり。
それもそのはず、今回の試合には寺沼が出るのですから!

寺沼は、前日本ジュニアにも選ばれた経験のあるオールラウンダー。
整ったルックスもあって絶大な人気を誇るスター選手だったのですが、中学時代に足の大怪我で引退してしまいました。
ところが中学3年に朱雀に転向し、奇跡の復活……を遂げたものの、中学二年の時の彼女がレディースで暴走していたという過去が発覚。
責任を取って実業団と春高のレギュラーを辞退していたのです。
が、その後テレビで練が「寺沼のいない朱雀なんて楽生」と発言!
世間的には絶対的ヒールである黒曜谷のその傲慢な台詞を聞いた世間は、寺沼が復帰して黒曜谷を懲らしめる、と言う展開を望んでいた……と、そう言うわけなのです。

寺沼が復帰するしないと言う駆け引きや、サラの父である槌家監督と選手たちとの若干のすれ違いなど、いろいろとごたごたのある朱雀高校。
ですがごたごたと言えば、黒曜谷にも山積みです。
試合開始直前、観客席から雲海が犬神に、口パクで声をかけています。
わかってるな、過去より今を考えろ。
そう言われても、犬神の気持ちが晴れることはありません。
今日のこの試合……犬神の母と、黒曜谷の実権を握っている三國会長が見に来ているのですから。
さらに、試合開始のホイッスルが鳴った後にもかかわらず、鳴りやまない黒曜谷へのブーイング……
一部の戦友たちは応援の声をかけてくれていますが、完全にアウェーの状況と言えましょう。
……ですが、犬神以外の、特に一年生たちはまったく動じていない様子!
顔色一つ変えず、むしろ笑顔でコートに立つのです!

最初のサーブは、練です。
ボールを手にした練は、滋の言葉を反芻します。
柴田の望み、かなえてやりたいならお前がやれ。
勝ってあいつらの居場所をお前が作れ。
大石練ならできる。
頭の中をよぎる、ワイらも仲間に入れてくれや、バレーって誰のもんなんや?と涙を浮かべるこのみの顔。
そして、本気に勝ちに行かないと怒るよ、と真剣なまなざしで投げかけてきた姉の顔……
その幾多の想いを胸に放つ練のサーブは
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強烈そのもの!!
凄まじいスピードとすさまじい正確さで朱雀のコートに襲い掛かり、瞬く間に三点が加算されました。
ですが槌家監督は静観します。
それよりも、と隣にいた有栖川に、どうやって寺沼を復帰させる説得に成功したのか、と尋ねていました。
一度決めたらそう簡単には変えない性格の寺沼を、どうやって……?
有栖川は、すこし情に訴えただけですよ、と答えます。
その情と言うのは……槌家監督がらみである、と言う事は伏せたままにするのですが。

槌家監督はかつて、鎌倉財閥の娘と駆け落ちし、そしてサラが生まれました。
当時から名監督として名を馳せていた槌家監督でしたが、その事件をきっかけに鎌倉家から仕事上で嫌がらせを受けるようになり、ストレスから酒におぼれて家庭内不和が生まれてしまいます。
サラの母は友人だった犬神の母に助けを求めたのですが……犬神家の本家である三國財閥と、鎌倉家は犬猿の仲。
どうなる事かと思ったものの、三國会長から直々に槌家監督に交渉が行われることになりました。
サラの身の安全を保証する代わりに、朱雀の監督に就任する、と言う交渉が。
槌家監督に断る道はありません。
三國会長は槌家監督のアルコール依存治療も全力でバックアップし、そちらは半年の入院で改善。
今はこうして朱雀の監督に打ち込めるようになったと言うわけです。
そんな関係だけに、槌家監督は三國会長に全く頭が上がりません。
今もなお、槌家監督はサラのために朱雀で監督を務め……その強化のために、寺沼をスカウトしたのです。
娘を守るため、娘に立ちはだかる壁になるしかない。
槌家監督は勝てるチームを作らなければ、三國会長に切られてしまうでしょう。
それはつまり、監督になることと引き換えに保障されていた、サラの安全が確保されなくなると言う事なのですから。
……寺沼には細かいことまではわかりません。
ですがただ一つ、自分がコートに立つことが槌家監督を守ることになる、と言う事はわかります。
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だったら、黒曜谷と戦うしかない。
そんな決意とともに、寺沼は復帰を決めたのです。

黒曜谷に四点目が入ると、槌家監督はついに動きました。
タイムアウトを取り、メンバーに何やら指示。
その指示あって、ようやく練のサーブを返して一転取り返し、サーブ権を手にすることができました。
朱雀のサーブは、ツインテールの、ちょっと子供っぽい印象の選手、しえが打ちます。
シエはボールを持つと……練のように目を閉じて集中し、
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練のようなすさまじい速さと正確さを持つサーブを放ったではありませんか!!
練と同じポーズで、同じコースに打ち込むしえのサーブは、その後も練さながらの速度で黒曜谷に襲い掛かり……!?
序盤からいやらしい手を使うんですね、と有栖川に問いかけられた槌家監督は、こう答えました。
今回は相手が悪すぎるからな。
しえは頭が空っぽな分、指示されたことは器用にこなす。
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あいつはまねっこの天才だからな。
使えるうちに使わねーと。
……やはりこの朱雀と槌家監督、一筋縄ではいかない相手のようです……!!



と言うわけで、準々決勝が行われる今巻。
やはり激しい戦いとなる準々決勝ですが、両行の単純な力のぶつかり合いとはならないようです。
この戦いを左右する最大の外的要因は、やはり槌家監督とサラを巡る問題。
サラや犬神の精神状態はもちろんですが、槌家監督によって復活を遂げた寺沼もまた、そのあたりは気にならないはずがないのです。
そんな三人が、戦いの中でどうなっていくのか?
それを左右するのは、それぞれの気持ちの強さ……はもちろんですが、周りのメンバーにもかかっています!!
寺沼を支え続けてきた有栖川、そして今や黒曜谷の精神的支柱になりつつある学。
彼女達の力も試されるのです!!

今巻の中でこの試合の決着はつけられるのですが、試合は思いがけない展開となり、相変わらず読者の度肝を抜いてくれます。
と同時に、外野でのアレコレも大きな動きを見せ、とうとうあのキャラが今まで以上の本気を見せることになって……!!
登場人物それぞれにドラマのある本作ですが、春高がクライマックスに向かう中、いよいよそのドラマも佳境へと入りつつある様子!!
まだまだ盛り上がっていくはずの本作、試合も人間ドラマもますます見逃せませんよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!