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今回紹介いたしますのはこちら。

「なみじょ!!!!!!」第1巻 吉沢緑時先生 

双葉社さんのアクションコミックスより刊行です。


さて、現在「ほぼほぼほろびまして」「出没!アダチック天国」などなどを連載し、精力的な活動をされている吉沢先生。
本作はそんな吉沢先生の連載作の一つなのですが、吉沢先生作品としては珍しい学園物、それも部活物となっています。
ですが当然吉沢先生の作品ですから、普通の部活物なわけがなく……?


なみだばし女子高等学校。
新1年生の白波美波は、今年から新設されたある部活に入ろうと、部室の門をたたいておりました。
「ボートレーサー養成所に入ろう部」。
その名の通り、狭き門であるボートレーサー養成所に入るためにあれこれと学ぶ部なのですが……
門をたたいても反応がないため、美波は恐る恐る扉を開いて、入っちゃいますよ、と扉をくぐります。
するとそこには、
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なんだかそっち系の人のような、ムキムキサングラスの男が立っているではございませんか!!
どうやら彼がこの部の教官のようです。
入部届け、と一言呟く教官。
背中に竜とかの入れ墨ありそう、という心の声をぐっと噛み殺し、美波は彼に入部届を渡しました。
教官は後ろを向いて、入部届の内容を改めるのですが……
その振り向いた背中には、「背中がガラあきだゼ」と言う文字がでかでかと描かれておりました。
どういうことかさっぱりわからない美波、ツッコミを入れようか悩んだ末……やめておくことにします。
いきなり得体のしれない巨体のおじさまと二人きり。
もしかしてこれからこの二人で部活をしていく羽目になるのでしょうか……?
ですがふと脇に視線をやりますと、おいてあった机の上に数枚に入部届があることに気が付きます。
その枚数、なんと5枚!
どうやら美波以外に5人も入部しているようですが……どう見ても部室の中には教官と自分しかいません。
私以外の入部希望者は?と尋ねてみますと……
落書きの罰として校庭100周させてる、とのこと。
これで背中のラクガキと、部員がいない理由が一気にわかりました。
ですがそうなると他の新入部員もただものではないのでしょう。
何故ならこの強面の教官に、ほぼ初対面でこんな悪戯をするのですから……!
そんなことを考えていますと、教官は部屋に飾ってあった額縁を見るよう促します。
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「礼と節」。
礼儀と節度は大切だ、と言うボートレース界の教えだそうです。
教官は、美波に「礼と節」はあるかと問いかけてきました。
一応は、と答える美波に、ならば「礼」をしてみろ、と命じてきます。
とりあえず会釈をする美波ですが、ちょっとギャグっぽく頭とお尻を掻きながらやった為、ちゃんとやれとやり直しを命じられます。
ちゃんとって、土下座ですか?と土下座してみると、つまらん、やり直せ、と教官。
美波はボケたつもりがなかったのにボケと判断されたようで…今度は90度くらいのお辞儀をしっかりとしますと、深すぎとダメ出し。
今度はホントに頭だけ下げる感じにすると、浅すぎと言われ……
結局、なってないなと不可を出されてしまうのです。
なんでもボートレーサー養成所内には、訓練生が例の自己確認をしやすいよう廊下に姿見と立ち位置の目印が設けられているのだとか……
そこまでするのか、とつぶやく美波に、今度は教官から質問が飛んできます。
君はさほどボートレース界に関心が無いように見受けられるが、入部動機は?
……美波は少し言いづらそうに、そのわけを語るのです。

美波のおうちは、知る人ぞ知る里見水軍の末裔なのだそうです。
その家柄に誇りを持っているのか、おじいさんは某ハルバル父さん張りの海賊ルックに身を包んで生活をしているほど船への思いが強いようです。
水を制せば世を制す!おじいちゃんはそう言って、美波にボートレーサーになるよう命ずるのです。
ですがボートレーサーになるには養成所に入らなければならず、養成所は非常に狭き門。
さらに入ってからも過酷とのことで……
美波は高校生になったら普通に青春したいから、高校卒業したら養成所を受けるよ、と問題の先送りをもくろむのです。
ですがそんな美波に、おじいちゃんは刀を突きつけて言うのです。
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ワシ調べでは、東京にボートレーサー養成所に入るための部を作った女子校があるようでのう。
そこなら高校生活しながらボートレースのイロハを学べると思ったんじゃが……

と、そんなわけで美波はこの学校に半ば強制的に入らされたわけです。
一連の話を聞いた教官は、こう言いだします。
つまり君は、ご老人を困らせたと言うわけだな?
礼がなってない罰として、校庭100周。
……硬直する美波は、冗談ですよね、と聞くのが精いっぱい。
そして教官は終始表情一つ変えず……もちろん、これがジョークだとわからないようなら節度が書けていると言えるぞ?と当然のように言ってきて……
いきなりいろいろめんどくさそうな洗礼を受けてしまう美波。
この部でうまくやっていけるのか……?
不安ばかりが募るのでした。

あくる日、美波は朝練に遅れそうだと急いで学校に向かっていました。
すると部室の中から、女性のもう我慢できない、と言う声と、教官の俺も我慢の限界だ、と言う声が聞こえてきました。
何でこんな声が、とおびえながらもそっと中の様子をうかがうと……
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そこにはぐったりした女生徒とパンツ一丁の教官が!?
一体これはどういうことなのでしょうか!?
この後、衝撃の事実が明かされるのです!!!



と言うわけで、ボートレーサー養成所に入ろう部、略してボ入部に入った美波の日常を描いていく本作。
最後に出てきた女生徒はもちろんボ入部の部員の一人でして……彼女にも負けず劣らずの、超個性華部員たちがこの後どんどん登場してきます!
ボートレースしの6艇、それぞれの色を冠した苗字を持つ彼女達、あまりにも個性的すぎまして、美波一人で突っ込むのはあまりにも大変……
ですがお爺ちゃんの怨念……もとい、念願を叶えるために、挫折するわけにはまいりません!!
曲者ぞろいで、ちょっと意地悪なメンバーもいたりしますが、みんな根はいい人ばかり。
美波はそんな仲間たちと、馬鹿なことをやったり真面目に練習したりの毎日を過ごすのです!!

本作の見どころは、吉沢先生らしいお笑い的なギャグととぼけた雰囲気、そしてボートレースの知識でしょう!
正直ボートレースは全然詳しくない(某モンキーなターンする漫画を読んだことあるくらい)自分には非常に興味深い知識がたっぷりと詰め込まれておりました!
勿論そこは吉沢先生ですから、ただ知識を披露するだけでなく、ボートレーサーあるあるなんかを交えてとっつきやすい構成になっていますので、ボートレースに興味ないなぁ、と言う方でも安心して楽しめるのです!!

ちなみに本当にミナミは養成所に入れるのか、と言う疑問がわいてしまうであろう本作なのですが、巻末に特別収録されているある作品ですでに答えが出ていたりします。
その答えまでどうやって辿り着くのか、本当にたどり着けるのか!?
美波達の今後を見守るしかありませんね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!