gj0
今回紹介いたしますのはこちら。

「餓獣」第1巻 小池ノクト先生 

講談社さんのヤンマガKCより刊行です。


さて、ホラー漫画の名手である小池先生の最新作となる本作。
小池先生はオリジナルでも原作付きでも、独自の色を保ちつつ様々な恐怖を描かれてきました。
本作で描くのは一体どんな恐怖なのでしょうか!?


午前5時43分。
志隈はバイトに向かうため、地下鉄に乗っていました。
辿り着くまでのわずかな間、うとうとと舟をこいでいると、同じ車両に二人組の男が入ってきます。
成田と小林。
志隈のクラスメイトですが……本来ならば顔を合わせたくもない相手。
春休みに入ってようやく会わなくて済むと胸をなでおろしていたものの、思わぬところで出くわしてしまったわけです。
そのまま寝たふりをしてやり過ごそうとしたものの、やはり物事はうまく進まないもの、
小林に見つけられてしまい、早速絡まれてしまうのです。
ファミレスのバイトだろ?
俺達昨日はしゃぎ過ぎちゃってさ、週末の軍資金もないの。
だからバイトでお金持ちの志隈君にお願いしちゃおっかなーって。
……まったくもって自分勝手な「お願い」に苛立つ志隈。
よくよくみれば近くの席ではこちらの様子を盗み見ながら動画を取っている乗客までいまして、一層志隈を苛立たせるのですが……
はい。
笑顔で笑いながら、志隈は小林と成田に1万円札を差し出すのです。
高校を出るまでの辛抱だ。
志隈はとにかく耐える道を選んだようです。
こうしてたまに集られるくらいで、大人しく従っていれば痛い目は見なくて済むのでしょう。
志隈は今回もお茶を濁そうとするのですが、そんな志隈のすぐ横に、突然矢が付き立ったではありませんか!!
そのくらいにしておけ、お前たちのやっていることは犯罪だ。
そう言いながら姿を現したのは、弓矢を携えたショートカットの女子高生。
この女子高生のやっていることも相当犯罪ですが、そこは彼女も承知の上。
gj1
義を見てせざるは勇無きなり、と小林達に向けて矢を番え……!!
流石に本気ではないでしょうが、だからと言って立ち向かうのは蛮勇というものでしょう。
しばしにらみ合いが続いたその時、突然電車が急ブレーキをかけ、止まってしまいました。
何やら線路内に不審物があったから確認後運転を再開する、とか。
ともかくその停車のおかげで均衡は崩れました。
成田はおもむろにつき立っていた矢を引き抜くと、それを真っ二つにへし折り……
gj2
顔、覚えたぞ、と言い残して去っていくのでした。

最初は全く分からなかったのですが、女子高生と志隈は幼馴染でした。
数年ぶりの最下位で、髪形も変わっていたため、全く気付かなかったのです。
ですが彼女、睦月のほうは最初からわかっていたようで。
得意の死んだふりか?と志隈の事なかれ主義でやり過ごす癖を指摘するのでした。
志隈の記憶の中の睦月は、近所の子供にいじめられていた志隈を助けてくれたやんちゃな女の子だったころのものしかありません。
いじめっ子たちを、腕力に物を言わせて黙らせた幼い睦月。
助けてくれてありがとう、でも暴力はダメだよ……と睦月に声をかけますと、当時の彼女はこう答えたのです。
無駄だと思います、話してわかる人はいじめをしないからです、と。

その当時から今に至るまで、志隈は児童養護施設に住んでいました。
18までは施設で暮らす予定のようです。
バイトでお金を稼いでいるのも施設の子供達がらみのようですが……
と、その時、電車の電気が消えてしまいました。
ここは地下鉄、当然地下を通っているため、周囲は真っ暗です。
この停車、長引くのでしょうか。
睦月は弓道部に入っていて、その練習に行くところなんだそうで。
このままでは遅刻してしまいかねません。
ですが睦月、その事よりも電車の中が何か臭う、としきりに気にしている様子。
志隈はよくわからないようですが……
そうこうしていますと、酔っぱらった女社長とそれを支えている男性社員や中年男性などが続々とその車両に現れました。
ここは先頭車両。
運転士にどうなっているのか聞こうとしたようなのですが、どうしたことか運転士の姿がありません。
ほどなくしますと、乗客の一人が勝手に電車のドアを開け、外に出てしまいました。
娘の結婚式に行かなきゃいけないからこんなところでぐずぐずしていられない、とのこと。
それに続いてぞろぞろとほかの乗客たちも電車を降りて行き、志隈もそれに倣うことにしました。
ですが睦月はその匂いが気になるのか、何か嫌な予感がするのか、電車の中に残ると言うのでした。

今日はオールで入って稼ごうと思ってたのに、ちょっと前に東京であった大停電みたいなものなのかな、それにしても睦月可愛くなってたな、あんな子が彼女だったら……乱暴だけど。
そんなことを考えながら、携帯電話のライトを頼りにトンネルを歩いて行く志隈。
すると……
gj3
何かに轢き殺されたかのような、無惨な死体が転がっているではありませんか!!
それは、いなくなっていた運転士の亡骸のようです。
一体なぜこんなところで死んでいるのでしょうか?
他の乗客たちも騒ぎを聞きつけてやってくるのですが、そこにまた別の来客が現れるのです。
何かから逃げるように、悲鳴を上げながら走って来る男。
そしてその後を猛然と追いかけてくる、
gj4
得体のしれない、巨大な何か!!
その何かに接触してしまった志隈は地面にたたきつけられてしまいますが、幸いけがはありませんでした。
ですが、幸いではないのは……その巨大な何かは、その口にはらわたの飛び出た人間の上半身を加えている……怪物であった、と言う事でした……!!



と言うわけで、地下鉄と言う閉鎖空間の中で怪物と遭遇してしまう本作。
その怪物も謎に包まれている存在で……本当に得体のしれない怪物なのか、それとも何らかの猛獣が何かを見に纏っているモノなのか、それすらもわからないのです。
ただわかっているのは、この怪物が人間を襲い、食うと言う事。
このままでは乗客たちはみなこの怪物のエサになってしまうだけ……
果たして一同はこの怪物から逃げることができるのでしょうか。
別行動となった睦月はどうなっているのでしょうか。
志隈たちの決死行が幕を開けるのです……!

比較的スタンダードなモンスターパニックとなる本作ですが、そこかしこに小池先生らしさもしっかりと盛り込まれております。
特にキャラクター造詣が小池先生らしさを最も感じられるのではないでしょうか。
正義感の強いスーパーヒロイン、と言った感じで登場したように見えた睦月も、お話が進んでいくにつれてどんどんそれだけでない部分が見えてきます。
情けない事なかれ主義に見えた志隈もまた、主役らしいかっこよさをちらちらと垣間見せてくれまして……
迫り来る怪物の恐怖や、飛び散るはらわたのグロテスクさなどはもはや言うまでもなくハイレベル。
そこに個性豊かなキャラクターたちが様々なドラマを見せてくれる、読み応えある一冊となっているのです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!