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今回紹介いたしますのはこちら。

「いんへるの」第1巻 カラスヤサトシ先生 

講談社さんのKCDXより刊行です。


さて、エッセイ漫画やルポ漫画を得意とされているカラスヤ先生の最新作となる本作。
近年ではそう言った類の作品だけでなく、「おとろし」のようなホラー漫画を手掛けることも増えてまいりました。
本作はそちら側、ホラー漫画となるわけですが、ただ恐ろしいだけの漫画には終わらないようで……?



自分が笑うと、みんなが笑うのをやめる。
自分が走れば、みんなが走るのをやめる。
いつからなのでしょうか、少年は友達から仲間外れにされ、一人寂しく過ごすことが日常にんってしまっていました。
少年にはこの状況を打破する方法を思いつくことはできません。
諦めざるを得ない、そんな思い気持ちで一人歩いておりますと、今まで気が付かなかった下へと降りる階段を見つけ……その先に、奇妙なトンネルを見つけたのです。
トンネルの中からは、微かに水の流れる音が聞こえてきます。
そう言えば以前先生が、この通りは昔川で、今は道になっているものの、下には今も水が流れている、と言っていました。
興味がわいた少年がトンネルをくぐると、そこには
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立派な川が流れていたのです。
どう考えても道路の下のトンネルに、草木が生い茂った川が流れているのは普通ではありません。
ですが少年はそんなことにも気が付かずに、皮の中を泳ぐ魚やカエルを夢中になって眺めていました。
すると突然、背後から声が掛けられます。
お前、みかけんやっちゃな、どっから来た。
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そう声をかけてきたのは、前時代的、と言うよりも、文明開化以前の時代からそのまま出てきたような、薄汚れた姿の子供たち。
子供たちは、ちょうどよかった。と少年を誘い、「石合戦」に参加するように強いてきたのです。
川を挟んだ向こう側にいる別の子供たちと石を投げ合い、勝負をする乱暴な遊び。
少年は石を投げられるのはもちろん、投げることも恐ろしく、小さくなって震えることしかできませんでした。
それを見た子供たちは、少年が弱々しくて女の陽だ、と馬鹿にしてきます。
さらに少年に石をぶつけてけがをさせ、そのあげく帰って母ちゃんの乳でも飲んでろと馬鹿にして、ついてくるなと仲間外れにして……
帰り道がわからない少年はそれでも子供たちについて行くほかなく、泣きながら後を追うのですが……
気が付くと子供たちの姿はなく、少年はトンネルの入り口で一人座っていたのです。

その日あったことを、後日先生に聞いてみようと、まずは川のことから聞いてみた少年。
ですが先生は当たり前のように、あそこには今「川」はなく、パイプの中に水が流れているだけだと告げてきたのです。
そうなんですか、何でもないです、とすごすごと引き下がるしかない少年……
そんな多くを語ろうとしない少年を見送った後、先生は一言、変な子、と吐き捨てるのです。
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クラスメイトはもちろん、あの川の子供たちにも、先生からも相手にされない少年……
重い足取りで再びあのトンネルに行ってみますと、やはりそこにはあの川があるのです。
そしてあの子供たちが現れ、また来たのか、と絡んでくるのですが……
少年はそんな子供たちに背中を向けたまま、川を見つめていました。
すると川の中から、魚が一匹浮かび上がってきます。
……どうもそれは、少年が、手も触れずにやっていることのようで……!!
やっぱりそうだ、夢なんだ。
夢だったら……
この世界が自分の妄想の産物であると考えたらしい少年。
少年が指さすと……
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子供たちの首が飛んだのです!!
ここでなら、夢の中なら何でもできる。
少年は子供たち全員をバラバラにして惨殺!!
少年は全身を返り血で真っ赤に染め、川上に見える集落の方に歩き始めます。
決めた。
もう、道の上には戻らないんだ……


と言うわけで、カラスヤ先生久しぶりのホラー作品の単行本となる本作。
本作の売りと言えば、その恐ろしさはもちろんなのですが、物語全体に漂う後味の悪さがあげられるでしょう。
この紹介したエピソード「暗渠」でも、主人公となる少年は救われた……とは言い切れず、この後の展開を考えるとそら恐ろしくなる後味の悪さがあります。
そしてその後味の悪さはこのお話だけでは終わらず、本作のほとんどすべての作品に蔓延っているのです!!
紹介したお話のような不思議な空間のお話に加え、霊の出てくるようなスタンダードなオカルト系のお話、人間の方が怖い系のお話、そして「実際は何も起きていなかった」とでも言うようなお話…・…
様々なお話が描かれ、味わいも実にさまざま!
ただ怖いだけではない、人の業や煮え切らない何かが詰め込まれた、絶妙な後味の悪さが堪能できるのです!!




今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!