今回紹介いたしますのはこちら。
「狂蝕人種」第1巻 室井まさね先生
竹書房さんのバンブーコミックスより刊行です。
さて、「屍囚獄」「煉獄女子」などなど、サスペンススリラーを描いて聞いた室井先生の最新作となる本作。
それらの作品は人間の狂気を描くリアルサスペンスでしたが、今回の作品は少し毛色が違う様子。
気になるその内容はと言いますと……?
ガイナ共和国ボルカ島。
温暖な気候のこの島は、リゾートアイランドとして発達しています。
そんな島に、日本人の一団もやってきていました。
ビーチバレーにボート、水遊び。
元水泳部で全国大会の出場経験もあると言う風戸は、本格的に泳いで楽しんだりもしています。
ひとしきり遊んだあとには、ビーチのテーブルに腰かけて昔話で盛り上がりました。
風戸は高校時代木高に惚れていた、だとか……
楽しい時間は瞬く間に過ぎ、あっと言う間に日が暮れてしまうのでした。
風戸達日本人グループをはじめ、ほとんどのリゾート客がいなくなったビーチ。
そこに一組のカップルが残っていました。
彼らは人目につかないよう、自然保護か何かで立ち入り禁止になっている地域に侵入。
日もくれて周りが良く見えず、人自体もいるはずがないこの状況で……
彼らは、薬を使っての情事を楽しもうとしていました。
まず女が吸い、男が吸い……
気持ちも体も盛り上がったところで……いつもよりすごい、と女が声をあげました。
ところが、男はまだ始めていません。
いや、まだ……と男が言おうとしたその瞬間、女はピタリと動きを止め……
口の中から、何か得体のしれないバケモノを吐き出したのです!!どうやらその化け物は彼女の体を貫通し、口から出てきたようで……!
バケモノは巨大な口を開き、そして男に……!!
風戸達は車でホテルに戻ろうとしているようです。
ハンドルを握っている神野は、夜道を猛スピードで飛ばしております。
この道は街頭も少ないんだし、もっとスピードを落としてと友人から注意を受けるものの、車なんて全然走ってないし、道も日本より広いから平気だって、と聞く耳を持ちません。
と、その時、上空を大きな音を立ててヘリコプターが飛んでいきました。
元自衛隊の福田によれば、シルエットから軍用ヘリだと言うことがわかるとのこと。
何でこんなリゾート島に軍隊が……?と疑問がわいてきますが、この島がかつて共産圏だったころは全体が軍事基地だったとか。
立ち入り禁止区域も妙に多いですし、もしかしたらまだ軍の何かがあるのかもしれません。
秘密基地とか探そうぜ、と子供のようなことを言ってはしゃぐ一同なのですが、そのせいで前への注意がおろそかになってしまったようです。
木高の前を見てと言う言葉もむなしく、神野は猛スピードのまま
「何か」を轢いてしまったのです……急ブレーキをかけ、風戸達は怪我ひとつなく停車できました。
ですが……あの、轢いてしまったものはどうでしょう。
人間に見えた、と言う福田ですが、神野は自らのしてしまったことを認めたくない心理も働き、デカい犬か何かだった、といいはります。
暗くてよく見えなかったというもの、犬だから早く行こうとその場から逃げようとするもの、そして……過失致死なら50万円以下の罰金だけど、ひき逃げなら5年以下の懲役刑になる、戻るべきだと言う冷静な意見をあげる者もいました。
でもそれは日本の法律で、ここは違うだろうと言い返す神野なのですが、とにかくこのままではらちがあきません。
風戸が立ち上がり、俺が見てくると車を降りたのです。
まだ生きてるかもしれないだろ、と歩いて行く風戸。
あの勢いで衝突し、ばらばらになってしまったところはしっかりと見た神野は、生きているわけねーだろ、と心の中でつぶやくのですが……
実際、風戸も生きているとは思えませんでした。
あたり一面に飛び散っている血と肉片。
その中に靴や服がないことから、人間ではないかもしれない、考えるものの……
視界の端に、何か蠢く人の手の様なものを発見したのです!
が、それが何なのかここで知ることはできませんでした。
先ほどの軍用ヘリが突如として車の上に滞空して、風戸達をライトで照らしたのです!!
そしてどこからともなく現れた、防護服の様なものを着こみ、銃を構える数名の男たち!!!
一同を拘束し、謎の施設のせまい部屋へ閉じ込め、隔離してしまうのです……!!
と言うわけで、いきなり得体のしれないものと出会い、監禁されてしまう本作。
本作は風戸達の車が轢いてしまった、謎の怪物を巡るモンスターパニックものとなります。
このモンスターが他に類を見ないほど強力極まりないもので……
こう言ったモンスターパニックでは付き物の、「増える」「死なない」「殺しに来る」三つの要素をすべて高いレベルで保有しているあまりに強力な存在なのです!
この第1巻では怪物の恐ろしさばかりがクローズアップされ、その正体や目的などは闇の中のまま。
とにかくこの怪物が常識では考えられないほど強力な存在である事ばかりが見えてきてしまいます。
そんな怪物騒動の渦中に放り込まれてしまった風戸達ですが、普通の人である彼らがこの騒動をどうにかできるものなのでしょうか?
室井先生のホラーには珍しく、主人公達グループの誰かがものがたりがはじまったばかりであっさり死んでしまう、ということはありません。
バッと登場人物を出し、サクサク減らしていく室井先生らしからぬ展開なのですが……
だからと言って全員生き残れるわけではないでしょう。
誰が生き残り、誰が死んでしまうのか?
今後は室井先生が本格的に牙をむいてくるでしょうし、ただでさえ恐ろしいこの怪物を前にしての絶望が一層強まっていくことは間違いなさそうです!!
着々とひろがっていく、怪物の魔手。
軍隊はこの怪物をどうしようと言うのでしょうか?
風戸達はその渦中をどう潜り抜けて行くのか?
今後の展開からも目が離せません!!
今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!
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