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今回紹介いたしますのはこちら。

「天泣のキルロガー」第1巻 原作・菅原敬太先生 作画・井上菜摘先生 

双葉社さんのアクションコミックスより刊行です。


井上先生は12年にマガジンの漫画賞を受賞してデビューした漫画家さんです。
デビュー後は様々な雑誌で、原作付き作品の作画を主に手掛けられておられます。

そんな井上先生と、「走馬灯株式会社」の、現在も「家族対抗殺戮合戦」を連載中の菅原先生がタッグを組んで描かれる本作。
気になるその内容はと言いますと……?



目の前に倒れているのは、両親の亡骸。
降りしきる雨の中、両親を殺害したそいつは、包丁を振りかざして尋武に襲い掛かってきました。
腕を切りつけられてしまった尋武、バランスを崩して背後のがけから落下してしまい、5メートル下に落下。
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頭を激しく打ち付けてしまい……

尋武は一命をとりとめました。
ですが一週間の昏睡から覚めた彼を待っていたのは、両親のいなくなった家出のひとりぼっちの生活でした。
隣の家族は困ったことがあったら力になるから何でも言ってね、と声をかけてくれたのですが……
旅行先で通り魔に襲われる、と言う悲惨極まりない不幸に見舞われた尋武の気持ちが晴れるはずもなく、力なくお礼だけ返すにとどまるのです。

学校にやって来た尋武ですが、クラスの皆は遠巻きに見てくるばかり。
もともと友達の少ない尋武ですし、そもそもそんな不幸にあったクラスメイトにかける言葉が見つからないのも仕方ないところ。
尋武もそれを承知で、一人静かに過ごしていたのですが……
そこに、同じマンションに住む亜里沙が声をかけてきました。
同じマンションなんだから学校行くんなら呼びに来てよね。
そう言って、以前と同じように気軽に語りかけてくれる亜里沙、尋武を元気づけてようとしてくれているのでしょう、御ベントまで作って来てくれているのですが、やはりそれを受け入れる余裕は尋武にはありません。
食欲がないとお弁当を断り、いつも参加していた美術部の部活にも参加せず、授業が終わるとすぐに帰宅の途に就くのです。
ですが亜里沙も、それなら私も帰る、とついてきます。
彼女が元気づけてくれようとしてくれているのはわかるのですが……尋武はだからこそ、亜里沙に言うのです。
自分に近づかない方がいい、と。
尋武は昔から、不運に見舞われることが多い少年でした。
大事な日に雨が降ったり、もれなく当たる懸賞に外れたり、年中病気や事故に見舞われたり……
両親は自分の不幸に巻き込まれたに違いない。
そう話しているうちに、本当に雨が降ってきました。
自分と一緒にいるとろくなことがないと言う尋武なのですが、亜里沙は折り畳み傘をひろげて半分尋武に貸しながらこう返すのです。
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殺されかけて、崖から落ちてそれでも生きてるんだよ。
そう言うのって、強運って言うんじゃないの?
暖かな亜里沙の心。
その言葉に、冷たく固まっていた尋武の心がようやく溶けだそうとしたかと言う瞬間でした。
たまたま通りがかった男の背後に、「それ」……
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苦悶に歪む女性の顔が浮かんでいるのが見えたのは!!
どう見てもそれ、所謂幽霊です。
恐怖におびえ叫んでしまう尋武ですが、その男にも、亜里沙にも女性の顔は見えていないのです。
せっかくのいい雰囲気も一気に消え、事態が把握できないまま尋武は自宅に帰るのですが……
さみしさを紛らわせるために点けていたテレビに映っていたとある男性タレントの背後に

二人に苦しむ人間の顔が浮かんでいたのが見えたのです!!

やはりあれは気のせいではないようです。
しばらく過ごすうちに、尋武はその顔が何なのかわかってきました。
どうやらその顔は……顔を背負っている人物が、殺した人間の死に際の表情なのです。
いわば殺人の履歴書……
事故で頭を撃ったせいなのでしょうか、望まない能力を手に入れてしまった尋武は、一層その気持ちを陰鬱にするのです。

ですがその能力、あくる日には消えていました。
その殺人の履歴書が見えなくなり、安堵して学校に行った尋武。
するとその日尋武のクラスには転校生がやってきました。
転校生なんてどうでもいい、と思いながら何となく外を見つめていたのですが、そこでまたもにわかに雨が降り始めました。
そこで、尋武は思いついたのです。
初めて見えた時、そして今まで見えていたときも……雨が降っていました。
見えなくなったと喜んでいたときは、晴れていたのです。
そしてあの忌まわしい事件の時、頭をしたたかに打ったあの時も、雨が降っていて……!!
いつも見えるわけじゃない、あれは雨が降っている時だけ見えるんだ!!
自分の能力の発動条件がわかった尋武ですが、そこでさらにとんでもないものとそう有遇することになってしまいます。
件の転校生、琥珀ゆずか。
目を奪われるほどの美少女なのですが、その背後には
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今まで見たことのないほどの、無数の苦悶の表情が浮かび上がっていて……!!
こんな美少女が、こんなにたくさんに人間を殺めている。
にこやかに笑いかけてくる彼女に、尋武はただただ怯えるほかなく……!!



と言うわけで、殺人歴、「キルロガー」が見えるようになってしまった尋武。
そんな尋武の前に、恐ろしいほどのキルロガーを背負った女、ゆずかが現れるところから物語は幕を開けるのです。
ゆずかはなぜここまで人を殺めたのでしょうか?
その理由はこの後明かされることになるのですが……
尋武は、その驚くばかりの理由を知ることになり、ゆずかと協力関係を結ぶことになるのです!
尋武はキルロガーを見る力を使い、殺人者を探し、ゆずかに教える。
そしてゆずかはその殺人者を、あることに使うのです!!
尋武の最終的な目的は、その時は顔の見えなかった、両親を殺した犯人を見つけ出すこと。
果たして尋武はその目的を果たすことができるのでしょうか。
恐るべきキルロガーを背負うゆずかは何者で、尋武は彼女を制御しきれるのでしょうか?
二人の探索と戦いが始まるのです……!!

相も変らぬ菅原先生の発想が生きている本作ですが、その世界観を井上先生が見事に彩ってくれております。
菅原先生の絵柄は少々癖のある絵柄で、ヒューマンドラマやサスペンスの色が強くなってしまいがち。
今までの作品とは毛色の違う、サスペンス要素に加え、ホラー要素と女性キャラの美しさの二点が重要になる本作には、井上先生の華のある絵柄がマッチ!
菅原先生作品の世界に新たな広がりを見せてくれるのです!

その絵柄も相まってより一層先の展開が気になってしまう本作。
尋武の目的、ゆずかの正体、亜里沙との関係などなど、先が楽しみでなりませんね!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!