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今回紹介いたしますのはこちら。

「DEAD COMPANY(デッドカンパニー)」第1巻 外海良基先生 

幻冬舎さんのバーズコミックスより刊行です。


さて、「Doubt」「JUDCE」などなど、サスペンスモノ、デスゲームモノを得意としてきた外海先生。
月刊ガンガン一筋で連載をされてきた外海先生ですが、今回とうとうスクウェア・エニックスを飛び出し、幻冬舎さんのウェブ雑誌で連載開始となりました。
表紙からしておなじみの動物マスクが見えます本作、その内容もサスペンスものではあるのですが、今までのモノとは少し毛色が違う作品のようで……?


左頬に大きな傷のある青年、亮介。
彼は3年前、とあるとんでもない事件に巻き込まれ、半ば引きこもりのような生活を送っていました。
ですが時間の経過とともに心の傷は徐々に癒えて行き、今日は社会復帰のための第一歩、就職の面接を受けることになっていました。
その面接を受ける会社とは、ゲームの開発会社。
職業安定所で紹介されたときには、ゲーム開発の経験など一つもない自分が何故紹介されたのか、疑問で鳴らなかったのですが……
所員さんによると、「特異な経験をしている」という条件一点で、採用前提の面接が受けられるのだ、と言うのです。
その特異な経験と言うのは……亮介が3年前に遭遇し、世間を騒がした事件のことです。
その事件の唯一の生存者である亮介は、様々なトラウマと、面白おかしくはやし立てるマスコミたちや野次馬に悩まされてきました。
それを見込んで……などと言われても、また自分を見せモノにするつもりなのかと言う怒りしか湧いてきません。
ですが、それでも所員は騙されたと思って行ってみてくれ、と推してきまして……

過去の忘れがたいトラウマがあるとはいえ、やはり生きるために仕事をしなければなりません。
亮介はそのゲーム会社、EDCを訪ねました。
出迎えてくれたのは、棚橋と言う美人の女性。
彼女に案内されたEDCの社内は明るく開けた感じで、一般的に思い浮かべるような、みんながパソコンの前で黙々と作業を続けている、というものとはかけ離れています。
業績も好調で、3年前から始めた世界展開が成功し、昨年の売り上げは何と20億ドル超。
さらに業績を伸ばすため、世界中から優秀な人材を集めて常に新しいゲームを作り続けているのだと言います。
その「新しいゲーム」を作るために、亮介の経験を活かそうと言うのでしょうか。
亮介の思い出したくもない、3年前の事件。
それは……
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誘拐された10人の男女が密室に集められて殺し合いを強要される。と言う、それこそゲームのような事件なのです!
そこに参加していて、生き残ったと言うことはつまり……
そう、亮介も自らの手を汚している、と言う事。
どうして俺を?俺なんかただの人殺しじゃないか、俺はこの手でアイツを……!
そう言いながらプルプルとその身を震わせる亮介。
棚橋は、そんなあなたこそこの会社に必要なの、とある部屋に彼を通しました。
その部屋に並んでいるのは、
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何やら見るからに物騒な、血まみれの拷問道具や刃物に鈍器と言った者ばかり。
しかもそれらの道具はすべて、実際に起きた殺人事件や猟奇事件で使われた道具だと言うのです!
普通ならば警察などに保管されているのが普通ですが、そんな普通すら覆す力があるのがEDCなのだとか。
EDC、Entertaiment DEAD COMPANY。
その名の通り、バイオレンスな描写を楽しむゲームを手掛けるこの会社は、こう言った普通ならば手に入らないものを資料として様々な人気ゲームを生み出しているのです。
が、これだけでは足りない、と棚橋。
もっとリアリティのあるゲームを作りたい、そのためにあなたのアドバイスが必要なの。
貴方にとっては過去を思い出す辛い作業になるかもしれない、でもあの事件を生き残ったあなたの経験はきっと開発に生きるわ。
どうか私たちに力を貸してください。
あたしたちと最高のゲームを作ってみませんか?

誰かに頼られたのも久しぶりだったのでしょう。
亮介はさっそく、開発中のゲームのテストプレイをしてみることになりました。
一定時間ごとに投票を行って犠牲者を決めて行く、サバイバルホラーゲームだと言うそのゲーム、売りは投票までの間にプレイヤーが自由に行動できること。
その自由時間の間に自分に有利な道具や情報を手に入れ、投票を有利に誘導していくわけです。
ちょうど時間になり、一人のキャラが犠牲者に選ばれました。
あの事件以来ゲームなんて全く触ってなかったけど、ゲームだとこんなに簡単に人が死ぬのか。
そんなことを考えながら、犠牲者が吊るされる様を眺める亮介。
現状でも完成度は高いように見えるこのゲームですが、柳橋はもう一つアクセントが欲しいと言います。
今の仕様だと逆転要素が足りない、と。
投票するゲームで逆転要素、と言うのは確かに難しそうです。
そこで亮介が目をつけたのは、投票が同数になったらその同数になったプレイヤー療法が犠牲者になる、と言うルールでした。
そこで亮介が考えたのは、同数になった場合、再投票する、と言うシステムです。
そんなことをしてもまた同じ結果になるんじゃないかと言う棚橋ですが、再投票までの時間を通常の投票より短くしてはどうか、と提案。
その時間で説得や買収をするために奔走すれば、必死さから今まで以上の動きが起こり、雹が移動することも十分考えられる、さらに短い時間ゆえに雑な行動も行われ、焦って失敗して自滅する、と言う形でもゲームが動くのではないか……?
その意見を聞いて棚橋は、即座に採用を決定します。
投票回数を増やすと間延びするかと思ったけど、だまし合いが積極的になる分帰って展開が早まるかもしれない。
これでこのゲームはもっと面白くなるわね。
棚橋がそうほくそ笑みますと、周囲にいた開発メンバーも集まってきました。
メンバーたちも、開発の負担がほとんどないのに駆け引きが増えるなんていいアイディアを考えるじゃないか、と亮介を絶賛。
皆が諸手を上げて喜んでくれているのを見て、亮介の瞳には自然と涙があふれてきてしまいました。
何で泣いてるんだろう、俺なんかおかしくて、と涙をぬぐう亮介。
そんな亮介に、棚橋達開発メンバーは温かい言葉をかけるのです。
おかしくなんてない、初めての仕事が上手く行ったら喜ぶのは当然よ、と。
ゲーム会社で働くなど、今まで考えたこともなかった亮介。
ですが、もしかしたらここでなら、もう一度やり直せるかもしれない。
挑戦してみてもいいよな、灯里。
あの事件で犠牲となった幼馴染に心の中で呼びかけながら、これからよろしくお願いします、と頭を下げる亮介。
彼の新しい門出が、祝福とともに始まったのです。

……が。
その裏では、恐ろしい現実が蠢いていたのです。
モニターに表示された、「ゲームの投票システムが変更になりました」「次回の投票から投票が同数の場合<駆け引き>が発生します」「選ばれた2名は時間内に行動をとって下さい」「再投票まではあと5分です」と言う文章。
その文章そっくりそのままのアナウンスが……どこかの、閉鎖された地下空間に流されていたのです!
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その空間に閉じ込められた数名の男女はいがみ合い、殺し合い……
時間になるころには、たった一人を除いてみな息絶えてしまっていました。
自らの手を汚し、それでも生き残ることができた最後の一人は、にやりと笑い……
そこに、時間がやって来た合図のアナウンスが響きます。
さぁみなさん、
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次のゲームの始まりです。


と言うわけで、デスゲームの生き残りの主人公が、デスゲームをモチーフにしたゲーム制作会社に勤めることになると言う幕開けをする本作。
ですがやはりその会社、EDCは普通の会社ではありませんでした。
ゲームにリアリティを出すためと言う名目で、なんと開発中のゲームそのもののデスゲームを実際に起こしていたのです!!
そんなとんでもない会社だったEDCですが、そんなことをしていれば、いくらなんでも怪しい空気は漏れてしまうわけで。
外からEDCを怪しんで近づいてくるものなども現れ、物語は進んでいくのです!

こう言った物語では、主人公が真実に気付くのが一つの山場となり、そこから主人公がいかにして悪行を止めるのか、と言った展開になっていくのが多いもの。
ですが本作はそこがまた一味違いまして、主人公が真実を知るのは意外に早く、そしてその後のどんでん返しまでこの第1巻のうちに描かれるのです!
亜ぁこう言う展開ね、と思わせておいて、そこからおそらく皆様の予想していた物とは全く違う展開になっていく驚きの連続する本作。
所謂デスゲームモノとは一線を隠す展開が楽しめますよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!